東京大学先端科学技術研究センターは2月21日、「モバイル端末で電波の強さと方向がリアルタイムで分かるARアプリ」の開発に成功したことを発表した。Androidスマートフォンなどを使用し、周囲の電波強度や到来方向を端末の内蔵カメラで撮影した風景画像に重畳して見られ、携帯電話がつながらない場所を調べたり、旅先などで受信できる放送局を調べることが誰でも簡単にできるようになるという。はたしてFOXハンティングや不法電波発射源探査に活用することはできるだろうか!?
東京大学先端科学技術研究センターの発表概要は下記のとおり。
『放送や無線通信に使われる電波は目に見えないため、場所ごとに異なる電波の強度や到来方向を知るには専用の高価な測定器と大きな指向性アンテナを使って実測するしか方法がありませんでした。モバイル端末でリアルタイムに電波の強度を表示できる「電波の見える化」ツールが作製できれば、この問題は解消され、誰でも測定器なしに、たとえば、携帯電話がつながらない場所を調べたり、旅先や外出先でどの放送局が受信できるかを調べたり、TVアンテナの最適な向きを調べることが簡単にできるようになり、モバイル端末の利便性がいっそう高まると期待されます。しかし、このようなアプリケーションを実現させるためには、種々の課題があり実現には至っていませんでした。
東京大学先端科学技術研究センターの長谷良裕 特任教授らは、無線局間の干渉計算用に、非常に高速で計算できる電波強度シミュレータを組み込んだ無線局情報データベースを開発・構築しています。今回、そのデータベースにインターネット経由でアクセスし、電波の強度および到来方向をAR(拡張現実)機能によって視覚的にわかりやすく表示するモバイル端末用アプリケーションを開発しました。
本研究で開発したアプリケーションや技術により、一般のスマートフォンやタブレット等のモバイル端末が電波のヴァーチャル測定器となり、どの携帯基地局とつながるか、どの放送局が受信できるか等がわかる「電波の見える化」ツールとしての実用化が期待されます』
従来「電波の発射源可視化装置」としては、2005年に東芝が開発したものがあるが、非常に大がかりなものであった。方式は違うものの、今回、東大の研究グループがスマートフォンとAR技術で開発した意義は大きい。
今回の発表の詳細は下記関連リンク参照のこと。なお、このアプリのデモ風景は、日本経済新聞社のサイトでも「電波が見えるアプリ開発 東大」のタイトルで詳しい解説の取材映像が公開されている。
●関連リンク:
・モバイル端末で電波の強さと方向がリアルタイムで分かる(電波を見える化するARアプリを開発)(東京大学記者発表)
・「電波が見えるアプリ開発 東大」(日本経済新聞社 取材映像)
・電波発射源可視化装置(東芝レビュー 2005年11月、PDF形式)
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