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【アマチュア無線機Collection】 ヤエスの50MHz帯モノバンド第1号機--FT-620(1972年)

真空管式からIC・トランジスタへ、アナログ周波数表示からデジタル表示へ--アマチュア無線機器が大きな進化を遂げたのが1970年代だった。全国各地のコレクターが所蔵する当時の無線機の数々を取材し、2012年に刊行されたのが『アマチュア無線機コレクション<FT-101の時代>』(三才ブックス)という豪華写真集だ。今回はその誌面から、八重洲無線が世に送り出した、AM/SSB/CWの50MHz帯モノバンド機「FT-620(1972年)」を紹介しよう。

 

 

FT-620は、八重洲無線の50MHz帯モノバンドオールモード機の第1号機として登場した

FT-620は、八重洲無線における50MHz帯モノバンドAM/SSB/CWの第1号機として登場した

 

  AMモードが全盛だった50MHz帯に、初めて登場したモノバンドのAM/SSB/CW固定機がFT-620です。明るいシルバーパネルに、1kHz直読ができるダイヤルと、わかりやすい回転ドラム式の横行ダイヤルを組み合わせ、短波帯と同じ感覚で50MHz帯のSSBが運用できました。

 1972年当時、50MHz帯のSSBに電波が出せるのは、FT-101シリーズなどのHF機にトランスバータを付けるか、トリオの310ラインのように50MHz帯までカバーする一部のHF機、日本電業のLiner6、あるいは無線機を自作した人だけという状況だったため、「SSBのヤエス」が放ったFT-620は非常に衝撃的であり、本格的なSSB時代の幕開けを予感させられました。

 今にして思えば、受信感度は今ひとつで、CWモードのブレークイン機能もないという機種でしたが(なぜかスケルチは装備)、SSBの威力で200km以上離れた地点と交信できたり、スキャッターなど、微弱な信号となる異常伝搬でのDX交信が楽しめるようになり、50MHz帯の楽しみ方の幅が大きく広がりました。

(『アマチュア無線機コレクション<FT-101の時代>』 誌面から)

 

 

【スペック】

●発売開始時期:1972年

●周波数範囲:50~54MHz(52~54MHz 水晶オプション)

●電波型式:SSB/CW/AM

●サイズ:280W×125H×295Dmm

●重量:約8kg

●電源:AC100V、DC13.5V

●最大消費電流:約2A(DC13.5V時)

●最大送信出力:10W(AM4W)

●送信終段名称:2SC1307

●受信方式:ダブルスーパーヘテロダイン方式

●主要機能と特徴 (当時のカタログより抜粋)

▼内蔵VFOにより50~54MHzを8バンド(1バンド500kHz)で連続カバー▼周波数は1kHz直読▼固定チャンネル用水晶発振子を4 個内蔵可能、8バンドで32波の固定チャンネルが設定できる▼高性能ノイズブランカー内蔵、イグニッションノイズ等を完全にシャットアウト▼100kHzキャリブレータ回路(オプション)内蔵可能▼AC/DCの2電源▼AMフィルターをオプションで用意

●価格:69,800円

●JARL登録番号:Y-8

 

100kHz台は回転ドラム式の横行ダイヤル(緑色)で表示する方式だった

100kHz台は回転ドラム式の横行ダイヤル(緑色)で表示する方式だった

 

マイクゲインとプリセレクタのツマミを装備

マイクゲインとプリセレクタのツマミを装備

 

FT-620の背面。DC電源端子はマイクコネクタのような4Pタイプ

FT-620の背面。DC電源端子はマイクコネクタのような4Pタイプ

 

 

【写真集『アマチュア無線無線機コレクション<FT-101の時代>』について】
 日本のアマチュア無線史の中で、無線機器が大きな進化を遂げたのが1970年代でした。送受信部とも真空管を使った大型機が、やがて電力増幅部を除いて半導体化。さらに全部がソリッドステートになり、ICやFETなどのデバイスや、PLLなどの最新技術により小型で高性能なモデルが登場するようになりました。そして家電やカーオーディオメーカーの参入も…。本書はそんな1970年代のアマチュア無線機に「憧れ」や「郷愁」を感じる、すべての人に贈る、初めてのアマチュア無線機写真集です。

 

「アマチュア無線機コレクション<FT-101の時代>」の中からFT-620紹介誌面

「アマチュア無線機コレクション<FT-101の時代>」の中からFT-620紹介誌面

 

 

 

 

 

 

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