KickSat CubeSatは技術的問題のため、クラッカーサイズの小型衛星「スプライト」104個を放出できない可能性があると、プロジェクトマネージャーのザック・マンチェスター氏(KD2BHC)が5月3日に発表した。
それぞれが小さなクラッカーサイズという「スプライト衛星」は、地球周回軌道を回る、これまでで最も小さな衛星で、5月初旬に地球周回中のKickSatからリリースされる予定になっていた。
しかしKickSatのマスタークロックで予想外のリセットが発生。その結果「衛星が軌道を外れて大気圏で燃え尽きる前に、スプライト衛星を放出することができないかもしれない」と、マンチェスター氏は述べている。さらに、「地上から放出を指示する無線システムの電波は、衛星側のバッテリーが8Vになるまで正常に受信できないため、地上管制からスプライト衛星放出を命じることができない」と説明している。宇宙船のバッテリーは現在6.5Vで安定した状態に保たれているため、衛星が軌道を外れる前に、8Vまで電圧を上げることは期待できないという。
このトラブルについてマンチェスター氏は、放射線の影響が原因ではないかと考えている。予想外のリセット後、衛星は5月16日にスプライト放出をする秒読みを再開しているが、「KickSatはそれ以前に軌道をはずれそうだ」とマンチェスター氏は指摘している。しかし彼は、Kicksatが多少長く軌道上にとどまる、ほんのわずかな可能性も伝えている。
「少し厳しい状況だが、衛星のコントロールに必要十分なバッテリーが再充電できるかもしれないという、若干の望みがまだある。また、KickSatが5月16日まで軌道上の計画通りの場所に残れるわずかなチャンスもある」。
KickSatチームはここ数日の間、アマチュア無線コミュニティの助けを借りながら衛星を追跡し続けている。「みなさんの支持に感謝する」と、彼は付け加えた。「私は、これがKickSatプロジェクトの終わりでないと約束する」。 (ARRLニュース 5月5日 ※許可を得て翻訳転載/(C)ARRL )
●関連リンク:
・「Tiny KickSat “Sprite” Satellites May Not Deploy」 ARRL NEWS
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