1973年に発売された、トリオ(現JVCケンウッド)の「TS-900シリーズ」。同社の最高機種につけられる“900番台”の型番で登場した初のモデルで、当時は国産アマチュア機として最も高い希望小売価格(TS-900S:264,000円)が設定されていた。今回ヤフオクに、メーカーによる修理調整済みで程度も良好という同機種のトップグレード「TS-900S」と、外部VFO「VFO-900S」、電源付きスピーカー「SP-900S」のフルラインが登場。オークション終了まで残り3日の時点で、すでに30万円以上の入札価格でヒートアップしている。
メーカーによる修理調整済み。発売開始から41年が経過したと思えないほど良好な状態に見える(ヤフオクの画面から)
トリオ(現JVCケンウッド)から3.5~28MHz帯、SSB/CW/FSK対応のトランシーバーとして、1973年に登場した「TS-900シリーズ」は、当時、同社の最高級モデルと位置づけられたエポックメーキングな製品だ。
同シリーズにはTS-900S(入力240W、264,000円)、TS-900D(入力160W、240,000円)、TS-900X(入力20W、235,000円)の3タイプがあり、特にTS-900Sはファイナルに米国Eimac社の送信専用管「4X150A(7034)」を採用した羨望のモデルだった。実際の運用には各タイプに合った専用電源(26,000円~36,000円)が別途必要になり、さらにたすき掛け運用には外付けのVFO-900S(48,000円)も必要となった(※記載した価格はいずれも発売当初の希望小売価格。その後オイルショックによる物価高騰から価格改定が行われた)。
TS-900シリーズは当時としては珍しく、回路の主要部がプラグインユニット化され、受信アンテナ回路と第2IF回路を分離して受信感度の向上を図ったほか、RF-AGC回路、RF信号回路のデュアルゲートMOS-FET(3SK35)を使用するなど、最新の技術を採用していた。またRTTY(FSK)の運用が可能という点も珍しかった。
今回、ヤフオクに出品されたのは、トップグレードの「TS-900S」と、外付けのリモートVFO「VFO-900S」、AC/DCの電源付きスピーカー「PS-900S」の3台が揃ったTS-900Sフルラインだ。
出品者の説明には、
●前回出品中、不具合が生じまして、出品を中止させていただきました。
当時の症状は出力が急に低下したものです。
入札をいただいていた方には申し訳なく思います。
この後ケンウッドのサービスにお願いし、≪修理&調整≫を完了した商品となります。 絶好調に出力されますし、調整により一皮むけた感じがします。Hi.
(ボリュームのガリまで改善していただきました)
修理内容の報告書もお付けいたします。
ファイナルは新品の4X-150Aに交換してあります。
周波数を読むカーソルに若干ズレがありましたが、これも調整していただきました。
予備の新品(新品というか、缶入りの4X-150A未開封品)を1本お付けいたします。
ほぼ新品の6GK-6もお付けいたします。
と、今回で二度目のヤフオク出品となるようだ。メーカーによる修理調整を受けたことで、状態は良好と推察できる(発売開始から40年が経過したモデルでも、修理点検に対応してくれるJVCケンウッドのサービスにも賛辞を送りたい)。
それを裏づけるように、ヤフオクの画像からは外観も内部もきれいな状態に見受けられる。「トリオのTS-900S/VFO-900S/PS-900Sのラインでの出品です。パネル面は目立つキズなく、私的には美品であると思います。 内部もキレイと思います。シャーシーにはキズ、ネジ頭にはさびも多少あります(年代相応かとは思います)」とのコメントも…。
オークションは35,000円からスタートしたが、終了まで約3日を残した12月1日(月)夜の時点で入札価格が「32万5,000円」に跳ね上がり、参加者たちのさらなるヒートアップが続いている。最終的にどこまで価格が釣り上がるのか、落札価格が気になるところだ。
●関連リンク:TS-900S ライン 元箱 取り説付き 実働美品(ヤフオク)
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