総務省は12月19日、「2015年世界無線通信会議(WRC-15)に向けた我が国の暫定見解(案)」に対する意見(パブリックコメント)の募集を開始した。これは2015年11月にジュネーブで開催される「2015年世界無線通信会議(WRC-15)」で審議される、周波数割り当てなどの議題に対し、日本としての統一見解を表明するためのものだ。同会議の議題の中には「5250-5450kHz帯におけるアマチュア業務への二次的基礎での分配」もあるが、総務省の暫定見解案では分配に消極的な内容になっている。パブリックコメントの募集期間は12月20日から来年1月19日まで。
JARLによると、総務省がパブリックコメントの募集を開始した「2015年世界無線通信会議(WRC-15)に向けた我が国の暫定見解(案)」の中で、アマチュア無線に関係している議題は以下のとおり。
議題1.4「5250-5450kHz帯におけるアマチュア業務への二次的基礎での分配」
議題1.6「固定衛星業務(FSS)への追加一次分配」(10.1/10.4GHzアマチュアバンド関連)
議題1.10「22-26GHz帯の周波数範囲内での移動衛星業務(MSS)(地球から宇宙、宇宙から地球)への分配」(24GHz帯アマチュアバンド関連)
議題1.18「自動車用高分解能レーダーのための75.5-78.0GHzにおける無線標定業務への一次分配」(77GHz帯アマチュアバンド関連)
このうち、特に注目されるのは5MHz帯アマチュアバンドの部分だ。開放を実現する上で重要となる議題、「5250~5450kHz帯におけるアマチュア業務への二次的基礎での分配」について、概要と総務省の暫定見解は次のようになっている。
<議題の概要>
決議第649(WRC-12)においてITU-Rに対して要請されている研究結果に基づき、5250-5450kHzの周波数帯において、帯域全体である必要はなく、また、幾つかのポイント周波数でも良いが、目的にかなうスペクトラム量をアマチュア業務に二次的基礎で分配する可能性について検討するもの
<我が国の暫定見解>
5250-5450kHzは、我が国において固定及び移動業務に一次分配で割り当てられ、使用されている。よって、有害な混信の排除を含めたアマチュア業務と既存の一次業務との両立性が達成できるまで、本周波数帯における二次的基礎でのアマチュア業務への新規分配については、適当でない。
ITU-Rにおける各国の研究結果は、統一見解の合意に至らず、異なる結論の研究結果が併記されているため、分配が行われる場合には両立性が確保されるようアマチュア局の運用に適切な制限を求める
5MHz帯(60メーターバンド)は、すでにアメリカやキューバなど一部の国で、二次業務としてスポット的にアマチュア無線への開放が行われている。他方、日本では気象庁、自衛隊、警察庁など複数の一次業務の無線局に周波数が割り当てられているのも事実だ(JJ1WTL・本林氏のブログが詳しい)。
総務省のこの暫定見解のままでは、日本の監督官庁は5MHz帯アマチュアバンドの開放に、現時点で消極的(否定的)という印象を与えることは否めない。アマチュア無線家やJARLを始めとする関係団体から、どのようなパブリックコメントが寄せられ、最終的に見解が修正されるかに注目していきたい。
●関連リンク:
・2015年世界無線通信会議(WRC-15)に向けた我が国の暫定見解(案)に係る意見募集(総務省)
・総務省が、2015年世界無線通信会議(WRC-15)に向けた我が国の暫定見解(案)に係る意見を募集(JARL Web)
・続 472~479kHz分配へ(CIC=JJ1WTL 本林氏のブログ)
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