一般財団法人 日本アマチュア無線振興協会(JARD)では例年、夏休み期間などに若年層でも無理なく受講できる時間割にしたり、休憩時間に工夫を凝らした企画を行う小中学生向けの「4アマ養成課程講習会(標準コース)」を開催している。その1つとして、まもなく夏休みとなる2016年7月2日~3日、神奈川県厚木市で地元企業の職域クラブと連携したユニークな講習会が開催された。クラブ関係者から届いたリポートから紹介しよう。
この養成課程講習会は未成年と保護者を主な対象とした4アマ標準コースで、神奈川県厚木市の「アンリツ厚木アマチュア無線クラブ(JE1YEM)」の企画によりJARD主催で行われた。親子での参加も多数あり、9歳から51歳まで33名の受講者のうち小中学生が約半数を占めた。
会場となった神奈川県厚木市のアンリツ株式会社内の施設「プラザ・アンリツ」では、同クラブ員がビギナーズセミナーの講師を務め、アマチュア無線の楽しみ方や運用方法についてを紹介したほか、電波適正利用推進員による電波利用についての講義や不法電波取り締まりの動画上映、パネル展示が行われた。
また講習会場外のホールでは、3アマへのステップアップのきっかけとなるような電信ゲーム、電子工作に興味を持てるよう無線機の解体修理の実演などが行われ、休憩時間には受講者が夢中になってモールス符号を打ち込む姿が見られたほか、特定小電力トランシーバーを持って鬼ごっこが始まるというシーンも見られた。
さらに特徴的だったのは、運用の実感を持ってもらえるよう受講者の多くと同世代である中学1年生のJI1RCV局、中学2年生のJH1JZZ局による運用デモンストレーションや、開局後に地域に溶け込めるよう地元の地域クラブによる展示、ポスター掲出による近隣地域クラブの活動情報提供が行われたことである。
今回の講習会を企画した、アンリツ厚木アマチュア無線クラブ代表のJP1TVC 金澤氏は「免許を取っても無線機を手にすることができる子は少なく、運用の機会を得られず遠ざかってしまう子も多い。地域クラブのイベントなどで運用の機会が得られればと思い、近隣地域クラブから情報をいただき紹介しました。お祭りでのゲスト・オペのチャンスがあることを知って目を輝かす受講者もいました。情報をいただいた相模原市役所アマチュア無線クラブ、FMカオンアマチュア無線クラブ、大和アマチュア無線クラブ、座間アマチュア無線クラブ、横浜青葉無線クラブに感謝いたします」 と述べている。
同氏はまた「2日間の講習会が終わるころには、異なる地域から来た受講者同士で連絡先を交換しはじめるなど、同世代でのコネクションが作られていったことには驚きました。生活圏を異にしながら同じ試験で合格した彼らが開局し、電波で再び繋がるシーンは想像して嬉しいものがありますね」
「神奈川県の県央地区は、東京・晴海の日本無線協会の国家試験会場からは遠く、国試を受けるには不便です。私たちの母体であるアンリツ株式会社は、36式無線電信機やTYK式無線電話機の製造をはじめ、古くから無線通信に関係していますが、かつて社長を務めていた磯 英治(J1SO)が大正15年のJARL結成メンバーの1人であったせいか、こういった活動に協力してくれる社員も多いのです。可能であれば来年も、若者が無線の世界に踏み出す機会を作っていきたいと考えています」と語った。
●関連リンク:
・JARDホームページ
・第4級アマチュア無線技士講習会のお知らせ(アンリツ厚木アマチュア無線クラブ)
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