国土交通省が設置した「航路標識・情報提供等小委員会」は、海上保安庁が行っている情報提供業務の見直しを審議し、利用率が著しく低下している情報提供手段の廃止や集約整理を行う方針を決定した。これを受け、同庁が運営している全国10か所の「無線方位信号所」、巨大船通航予定等のテレホンサービスなど12か所、全国29か所の「船舶気象通報局(中波1670.5kHz)」、全国27か所の「ディファレンシャルGPS」からのテキストメッセージなどは終了となる。すでに同庁は海事関係団体への説明を行っており、2016年7月下旬には一般に向けた広報周知を始める予定だ。
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【最終放送の動画公開!!】中波1670.5kHzの船舶気象通報局(灯台放送)が「最後の日」を迎える--灯台には別れを惜しむ受信ファンの姿も
https://www.hamlife.jp/2016/09/30/senpakukisyou-haishi-inubou/
このうち船舶気象通報は、沿岸海域を航行する船舶の安全を図るため、海上保安庁が全国の灯台などで計測した気象データを、毎時29か所の灯台などから送信しているもので、通称「灯台放送」と呼ばれている。周波数は中波1670.5kHzのH3E(SSBで受信する場合は1669kHzのUSBモード)を使用しているため、広帯域受信機や一部の中波ラジオなどでも受信可能だ。
船舶気象通報局の空中線電力は50W(一部10W)と小出力のため、日中は送信所のある灯台に近い場所でないと受信できないが、夜間から早朝にかけては全国の局がフェージングを伴いながら受信できる。およそ2~3分おきに各地の灯台からの気象情報が次々に聞こえてくるため、アマチュア無線家やBCLファンにも受信対象として親しまれている。
海上保安庁が海事関係団体向けに発表した、情報提供業務の一部終了に関する資料から抜粋で紹介しておこう。
なおhamlife.jpが海上保安庁の担当部署に取材したところ、「船舶気象通報局を近い将来に廃止する方針はすでに出ているが、2016年9月30日に廃止されるかは、まだ最終的な結論に至っていない。決定次第、海上保安庁のWebサイトなどで正式に公表する予定だ」との回答が得られた。
「各局、各局、各局、こちらは○○、○○、○○。海上保安庁が○○岬灯台周辺の気象情報をお伝えします。時刻…」「…おわり。こちらは○○、さようなら」という独特のアナウンスも、早ければあと約2か月で受信できなくなってしまうかもしれない。いまのうちに全局受信に挑戦してみてはいかがだろうか。受信には下記関連リンクの「灯台放送マップ」が便利だ。
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●関連リンク:
・PDF資料 海上保安庁が実施する情報提供業務の一部終了について<海上保安庁>(JHA 茨城県水産試験場漁業無線局)
・船舶気象通報(海上保安庁)
・灯台放送マップ
・航路標識・情報提供等小委員会(国土交通省)
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