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<社員からの「延期動議」が可決>JARL「第9回定時社員総会」は第2号議題の冒頭で中断し散会

一般社団法人 日本アマチュア無線連盟(JARL)は、2020年6月28日13時から東京都新宿区の民間会議施設で「第9回定時社員総会」を開催したが、第2号議題(役員選任の件)の冒頭で出席社員から「総会の延期(延会)動議」が出され、これが可決されたためこの日の総会は審議途中で打ち切り散会になった。そのため新役員選任の採決は行われておらず、新たな会長・副会長を決める理事会も開催されていない。この日の社員総会の概要をまとめた。

 

 

新型コロナウイルスの感染拡大防止対策を取り、3密を避けて開催された「第9回定時社員総会」の模様

 

 

 JARLは2011年秋の一般社団法人化を機に、会員(正員)すべてに参加・議決の権利があった「通常総会」の制度を廃し、正員から選挙で選ばれた「社員」によって行われる、代議員制の「社員総会」へ移行した。社員の定数は138名だが、現在は一部の地域で欠員が生じているため総数は128名となっている。

 

 その9回目となる定時社員総会が、6月28日(日)13時から東京都新宿区にある民間の会議施設「ベルサール西新宿」で開催された。今回は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、「社員に議決権行使書面提出を強く推奨し、当日の出席を控えてもらう」「準備書面については文書で回答する」「理事の出席もできるだけ控えてもらう」「傍聴人の参加は制限(抽選を実施)」「出席者はマスクを着用し大声を出さない」などの方策を取り、開始から2時間で全議事を終了する方針とした。

 

 開場時はJARL職員の誘導で1階ロビーからエレベーターに5名ずつ乗り8階へ。会議室前の廊下ではソーシャルディスタンスを確保しながら並び、1人ずつ順番に体温測定と両手の消毒を行った上で受付に向かうという形式。受付にも透明のビニールが貼られていたほか、会場内はいつもの長机が使われず、人数分の椅子が間隔を開けながら並んでいた。また用意された傍聴席は6席だった。さらに社員の質問時に使用するワイヤレスマイクロホンは、1人の質問が終わるたびにJARL職員が消毒を行っていた。

 

長机を使用せず、椅子のみを約1.5m間隔で配置

エレベーターから会場に向かう廊下。間隔を開けて並ぶようになっていた

体温測定を受け、両手に消毒薬を吹きかけられる。担当するJARL職員はマスクとフェイスガードを着用し使い捨ての手袋を使用

受付には透明のビニールシートを張っていた

 

 この日の総会に出席を表明した社員は、総数のおよそ3割に相当する38名(1エリア:8名、2エリア:8名、3エリア:12名、4エリア:3名、6エリア:2名、8エリア:2名、9エリア:3名)で実際には34名が出席した。会場に来なかった社員は出席社員へ委任状で委ねるか、事務局へ議決権行使書を提出していた(26日18時締め切り)。議事開始前に事務局が発表した「総会成立審査」の内訳は次のとおり。

 

・議決権を有する社員総数:128名
・議決権の数:128個
・6月28日12時50分現在の出席社員数:34名
・議決権行使書の提出社員:76名
・委任書面による出席社員:15名
・合計出席数:125名
 (定款に規定された過半数64名を超えているので総会は成立)

 

出席した社員は34名。1・2・3エリアの社員が多かった

 

 

総会冒頭から波乱含み

 

 総会は13時に髙尾JARL会長の挨拶で始まった。しかし議長団(議長:JA1STY 鈴木氏、副議長:JA8DKJ 三井氏)を指名し議事に入る前から、出席社員から異議の声が相次ぎ、冒頭から波乱含みとなった。

 

 異議の理由は第2号議題(役員選任の件)で、監事の候補者の1名として名前が挙がっていた根本紀正氏(JH1UBU)の無線局免許が現時点で失効していることが社員総会直前にわかり、“正員の要件を満たさないことから監事候補者から撤回する”という情報が会長から各理事へ流れたとされる点。社員に配布された議案書にはこの点が反映されておらず、監事候補者からの撤回も理事会で承認されていないことから“これでは議事に入れない”とするものだった。事務局長が「議案は変更せずに行きます」と説明し、会長が議長団を指名したが、その後もしばらく困惑の声が続いていた。

 

開会あいさつをする髙尾JARL会長

 

第1号議題(令和元年度決算の件)について

 

 第1号議題の審議は、最初に日野岳専務理事が議案説明、佐藤監事が監査報告を行った。今回、監事2名は監査結果を「事業報告およびその附属明細書は、法令および定款に従い、当連盟の状況を正しく示しているものと認める」「理事の職務執行に関して、不正の行為ならびに法令もしくは定款に違反する重大な事実はないと認める」「計算書類およびその附属明細書は、当連盟の財産および損益の状況は重要な点においては適正に表示している」とした上で、今回は「正員資格の要件について引き続き理事会で適正化を図ること」「地方本部会計が適正に運用されるためのルールの改正とその周知を図ること」という2つを早急に実施するように意見を付けたことを明らかにした(監査報告書はJARL Webの会員専用ページで公開)。なお会計監査はJARLが契約している愛光監査法人(愛媛県松山市)が独立の立場で実施している。

 

 続いて社員から事前提出された準備書面に日野岳専務理事が回答。その後、出席社員からの質問に答えた。

 

 髙尾会長は社員16名から出された会計帳簿開示請求についての経緯を説明(5月25日に突然、会計帳簿閲覧請求が届いて驚いた。新型ウイルス拡大防止のため事務局スタッフが半数の状況下で全部の帳簿開示は難しく、どの部分が必要かを代理人経由で回答したが、5月29日に東京地裁に会計帳簿の謄写を求める仮処分請求が出された。取引先など関係者の情報が出てしまうと良好な関係が維持できなくなる可能性があるので、請求の具体的理由を聞きたく裁判所に申し立てたところ、6月5日に東京地裁で意見聴取の場が設けられ、6月8日に開示の仮処分決定が出た。6月10日に異議申し立てを行い、6月23日に当事者審尋があり裁判所の考えが出たことから開示を決めた)。

 

 出席社員からの質問も、開示された会計帳簿の内容によるものが多く、髙尾会長が各地の支部大会などに出席した際の旅費交通費、渉外費、広報活動費の妥当性についての質問が相次いだ。髙尾会長は都度答弁に立ち「JARLの広報として必要な活動で、支部などからの要請で出席している」「地方の意見をヒアリングし、会員の皆様へJARLをより理解してもらうために必要」「懇談会の飲食費は1人あたりに直すと3,000円~3,500円程度」「交通費や宿泊費は実費精算」「手土産は常識の範囲内」「広報大使はノーギャラ、活動時の交通費等は実費精算」「声が掛かればスケジュールの都合が付く限り、どこのイベントにも出席したい」と理解を求めた。社員からは「潤沢な予算がある黒字団体ならともかく、赤字団体なのだからもっと慎重になってほしい」「地方の支部大会は、地方本部長が広報活動を行えば良いのではないか」「地方の意見をヒアリングしても理事会で報告しなければ意味がない」「支部大会等への出張規程や、職員以外に慶弔を行う場合の規定を設けて欲しい」といった意見も出された。

 

 さらに日野岳専務理事に退職金(550万円)が支払われたことにも質問が出たが、「長年JARL職員として勤務し、昨年12月に定年退職した際に支払われたもの。現在の身分は嘱託扱いとなっている」「事務局職員として給与を受けていた時期と、常勤の専務理事として報酬(年額約900万円)を受けていた時期があるが、両者を合算して受け取っていたものではない」「職員の退職金は理事会で承認を得ている」という説明があった。

 

 14時33分、議長が質問を打ち切って採決に入る旨を伝えたところ、質問が残っていた社員がこれを不満として「議長解任」の動議を出した。

 

 これに別の社員が「質問を継続させるなら、解任動議を取り下げてもよいのでは?」と提案。議長がこれを受け入れたことから、この後も質問が次々に出され、「昨年の第46回理事会は出席しなかった理事が多数あり流会になったが、これは理事の義務に違反しているのではないか」や「第50回理事会で、田中理事が提案した“総務省に免許の簡素化についての要望書を出そう”という件が否決された理由」などを問う質問もあった(専務理事が「何度も同じ文言で要望書を出すことはないが、今後も要望は出していく」と回答)。

 

議長のJA1STY 鈴木氏(右)と副議長のJA8DKJ 三井氏(左)

 

 15時58分にようやく質問が出尽くしたことから、第1号議題の採決を投票で実施。その結果は次のとおり。

 

・出席社員の総数(委任状含む):49名
・議決権行使書提出:75名

 

★第1号議題の賛成票
・出席社員:9票
・議決権行使書:65票
 合計74票
★同 反対票
・出席社員:40票
・議決権行使書:10票
 合計50票
★同 保留票
・出席社員:0票
・議決権行使書:0票
 合計0票

 

 この結果、賛成多数で第1号議題が可決した(16時34分)。

 

投票用紙を配布するJARL職員

 

第2号議題(役員選任の件)の冒頭で議長団の解任動議

 

 休憩後の16時45分から第2号議題(役員選任の件)の審議が始まったが、冒頭で“第2号議題で理事候補者となっているJA8DKJ 三井氏が議長団を務めるのはおかしい”という意見が出された。

 

 三井氏は「自分の採決時には議長を外れる」としたが理解を得られなかった。また第1号議題で議長を務めたJA1STY 鈴木氏に交代することについても、“三井氏が議長団にいるまま、この議案を進行するのは納得できない”という意見が出て紛糾。その中で社員から「議長団解任動議」が出され、挙手採決の結果「賛成38票、反対11票、保留0票」で解任が可決。急遽、髙尾会長が新たな議長団として、JA1HGY 間下氏と7L1FFN 磯氏を指名する一幕があった。

 

急遽、議長団に指名されたJA1HGY 間下氏(右)と7L1FFN 磯氏(左)

 

 ここまで、第2号議題の実質的な審議に入れないまま30分が経過。全議案審議終了予定時刻の15時を2時間以上も超過していることから、17時16分に社員の1名がこの後の審議を後日改めて行う「延期動議」を出し、この協議のため一旦休憩に入った。

 

 再開後の17時38分に「第9回定時社員総会の、このあとの議事を後日に延期するか」を問う挙手採決が行われ、「賛成39票、反対10票、保留0票」で可決したことから、17時45分にこの日の議事は打ち切られ、散会となった。

 

今後について

 

 JARL社員総会で「議長団の解任動議」や「延期動議」が出され、これらが可決したのは初めてである。今後JARLは「第9回定時社員総会」の続き(続行会)の開催場所と日程を決め、社員などに通知することになる。なお現在の社員および理事、監事の任期は「第9回定時社員総会の終了時まで」と規定されていることから、再開される総会も同じ顔ぶれで、今回の続きから行われる。

 

 続行の第9回定時社員総会が開催された場合、監事候補者1名の撤回についての討議や、役員候補者(理事15名、監事2名または1名?)の就任可否のための討議と採決(1名ずつ投票で実施)が行われるため、終了までには相応の時間がかかるとみられている。

 

 

 

 

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<終了後の理事会で新たな会長、副会長も決定>JARL、6月28日(日)13時から「第9回定時社員総会」を開催

 

 

 

 

●関連リンク:
・JARL第9回定時社員総会開催される(速報)
・第9回定時社員総会議案等について(JARL Web)

 

 

 

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