外国とのアマチュア無線資格の相互認証(いわゆる相互運用協定=レシプロ)の締結先が久しぶりに増えた。9月29日にニュージーランド(ZL)と の相互認証が施行され、10月にはインドネシア(YB)との相互認証も施行される見込みとなった。そこで、アマチュア無線のコールサインや法制度研究の第 一人者、JJ1WTL 本林良太氏の特別寄稿により、これら新規2か国とのレシプロについて分析するとともに、これまでの外国人の日本での運用手段を振り返る。今回はその第1回目だ。
●ZL・YBとのレシプロ発効へ
アマチュア無線免許の相互運用協定(Reciprocal Operating Agreement,俗に“レシプロ”)の締結先が、ニュージーランド(ZL)とインドネシア(YB、予定)とを対象に、久しぶりに増えることになった。
それは突然だった。2013年9月5日付の『JARLメールマガジン』第185号に、いきなり以下の記事が載ったのだ。
アマチュア無線資格の相互認証について合意
インドネシア、ニュージーランド
JARLおよび関係者の要望を受けて、総務省で検討および交渉が進められていましたアマチュア無線資格の相互認証につきまして、日本とインドネシアおよびニュージーランドとの間で文書が交換され、合意に達しました。
政府間合意の正式発効は文書の交換から60日後の10月下旬となります。
インドネシアおよびニュージーランドのアマチュア資格による日本国内のアマチュア無線局免許申請は、総務省の告示がおこなわれました後に受け付けられます。
なおJARLでは、現在取り扱っています相互認証国と同様に、代理申請サービスを提供する予定です。
これは本当に突然だった。ただし次号(第186号=9月20日付)でフォローがあり、「ニュージーランドとは9月下旬、インドネシアとは10月下旬開始」である旨が補足された。
●まずニュージーランドと発効!
2013年9月27日に官報で発表され、同29日をもってめでたく発効したのが、ニュージーランド(ZL)との相互認証で、ちょうど10か国目の対象国となった。
総務省発表『アマチュア無線技士の相互承認対象国の拡大』
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban09_02000101.html
JARL発表『アマチュア無線資格の相互認証(ニュージーランド)』
http://www.jarl.or.jp/Japanese/2_Joho/News2013/2013_news-9.htm#0927
総務省の発表によると、日本のアマチュアがニュージーランドにおいて運用する場合の資格の対比は下表のとおりで、二アマ以上に限られる。
日本の資格 | ニュージーランドの資格 |
第一級アマチュア無線技士 | General Amateur Operator’s Certificate |
第二級アマチュア無線技士 |
細目は相手国のニュージーランド側によって規定されるが、以下のURLで参照できる。
Amateur radio operators
http://www.rsm.govt.nz/cms/licensees/types-of-licence/general-user-licences/amateur-radio-operators
Radiocommunications Regulations (General User Radio Licence forAmateur Radio Operators) Notice 2013
http://www.rsm.govt.nz/cms/pdf-library/licensing/Radiocommunications-Regulations-General-User-Radio-Licence-for-Amateur-Radio-Operators-Notice-2013.pdf
後者によると送信出力は1000W(Peak Envelope Power、尖頭包絡線電力)までとされているので、ちょうど日本と変わらない。
反対に、ニュージーランドの有資格者に対する日本国内での運用については「平成23年9月27日 総務省告示第366号」として公布された(施行は同29日)。ニュージーランドの有資格者は、日本では一アマ相当とみなされる。総務省のオンライン版の告示集(該当は以下)にも、そのうち反映されるだろう。
電波法施行規則第三十四条の八及び第三十四条の九の規定に基づく外国において電波法第四十条第一項第五号に掲げる資格に相当する資格、当該資格を有する者が行うことのできる無線設備の操作の範囲及び当該資格によりアマチュア局の無線設備の操作を行おうとする場合の条件
平成5年6月16日 郵政省告示第326号
http://www.tele.soumu.go.jp/horei/reiki_honbun/a720350101.html
念のためだが、このH5告示326は改正されて、この告示番号のまま残る。このたびのH23告示366で、「このH5告示326を改正して、ニュージーランドを付け加えますからね」というのが、改正の流れになる。
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