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【特別寄稿】相互運用協定のこれまで~一歩進んだアマチュア無線家をめざして<第1回>

●豪快なZLの資格制度
 いま、ニュージーランドのアマチュア無線の資格は1種類しかない。2004年7月以降、“General” の1クラスしか存在していないのだ。電信の要件の廃止などがあり、とうとう1種類に収斂されてしまった。

 

ZLのアマチュア無線資格の変遷
改正年 資格の数 資格の名称など
1923 2 Grade One, Two
1925 1
1963 2 Non-morse Technicianを追加
1970 3 Grade I, II, III に
1977 4 Noviceを追加
1986 3 General, Limited, Noviceに
2001 2 Noviceを廃止
2004 1 LimitedをGeneralに統合

 

 その代わり、「5~25MHzのバンドに出たかったら,免許から3か月を過ぎて、かつ、50交信をこなしてからね」という、まさに“実践的”な制約が課されている。
 なお、従来あった「資格別のサフィックス」も、「コールエリア(ZL1~ZL4)」も、いまでは消失している。
 実はこれまでも、すでに日本人がニュージーランドに「90日以内で」渡る分には、今回のレシプロ発効を待たずとも、ほとんどハードルがなかった。『New Zealand Association of Radio Transmitters(NZART、ニュージーランド無線送信者協会)』のWebサイトにある『Visitor and Traveller Information』によると、とくに90日以内の往訪であれば、日本人だけに限らず、今回議論のレシプロの枠外として、

Bring a rig with you
No application need be made
No fee is charged (it’s FREE!)

 と、魅力的な文が踊る。唯一の障壁…ともいえない障壁は、「ニュージーランドの免許条件のコピーを携えてね」だろう。
 しかしニュージーランド人にとっては、日本を訪れた際、自国の免許を元にした開局・運用が、このたびようやくできることになる。ただし、いつものとおりかなり“不公平”で、無論、“Bring a rig”という訳にはいかないし、“No application”“No fee”の範囲で済ませるためには、日本の既存の局をゲストオペするしか手段はない。

 

●参考となるサイトのURL
 以下に参考にしたWebサイトを紹介する。 ただし制度が変わっている場合があるので、古い記事の場合にはご注意いただきたい。

Amateur radio operators
http://www.rsm.govt.nz/cms/licensees/types-of-licence/general-user-licences/amateur-radio-operators

Visitor and Traveller Information 【再掲】
http://www.nzart.org.nz/info/visitors/

Changes to the Amateur Radio “Licensing Rules” in New Zealand
https://iaru-r3.org/~iarurthr/13r3c/docs/024.doc

New Zealand Amateur Radio Milestones
http://www.nzvrs.pl.net/ccc/Orbell/milestones%20etc.pdf

Recommendation ITU-R M.1544 『Minimum qualifications of radio amateurs』
http://life.itu.ch/radioclub/rr/rec-1544.pdf

Recommendation T/R 61-01 『CEPT Radio Amateur Licence』
http://www.erodocdb.dk/Docs/doc98/official/pdf/TR6101.pdf

Licensing Information【日本語】
http://www.maroon.dti.ne.jp/k3is/licensing.htm

ニュージーランド免許取得記
http://www.zl2pgj.com/hamradio/menkyo.html

日本人がZL でアマチュア無線の短波を運用するには。
http://www.zl2pgj.com/zllicense.html

●次はインドネシア、これまでも動きはあった!
 インドネシア(YB)については、JA8VE 斉藤OMが2010年から“草の根”で動いていた。

『インドネシアとのハムの相互運用協定締結にお力をお貸し下さい』
http://www.w1vx.net/ja8ve/jyp/ja_yb_project.htm

 この2010年には、インドネシア側の関係者がハムフェアへの来訪に併せて総務省を往訪したり、活動があった。しかし…その後情報が途絶えていた。
 この“ミッシング・リング”を埋めるべく探すと…掲示板『JA meets YB Project BBS』(http://jyp.orange.coocan.jp/)がよさそうだ。
 ここから鍵となる動きをまとめよう。書き込みはすべてYB0AKM(当時)宮村OMによるものだ。

 

YBとのレシプロにむけてのうごき
掲示板への書き込み日 内容
2011年1月18日 インドネシアの外務省と通信省での『口上書』の作成作業が最終段階に.
この『口上書』が,日本の総務省へアマチュア無線資格の相互確認を求めるもの.
日本大使館→外務省→総務省 で届けられる.
2011年5月4日 4月上旬,インドネシア外務省→日本大使館 で『口上書』が発出.
日本大使館→インドネシア外務省 で回答2通が届く.
インドネシアの試験などに関する資料提供を求めるもの.
2011年9月30日 9月28日付でインドネシア通信省→日本大使館 で『レター』が発出.
インドネシアの電波法,資格制度,試験などの問い合わせへの回答.
2012年6月24日 5月上旬,インドネシア通信省→日本の総務省 へ『Response Letter』が発出.
内容不詳.
2012年10月29日 所轄官庁間の交渉は完了したらしい.
2013年6月2日 5月28日の週,インドネシア通信省で関係者を集めた日・インドネシアの『口上書』の交換に向けたミーティング.
「All parties were agreed to speed up this process and set up a target on September 2013.」と合意.
2013年9月10日 ハムフェア2013で発表.
インドネシアとの相互運用協定が年内には発効する運び.

 

  見失っていた間も、粛々と準備は進められていた。さしづめ登場人物は、両国の外務省、両国の大使館、インドネシアの通信省と日本の総務省、ORARI(Organisasi Amatir Radio Indonesia、インドネシア アマチュア無線連盟)と、JARL――であろうか。
 さすがに政府間の交渉ともなると、多岐に亘った。割愛したが『大使あての嘆願書』などの地道な活動も並行して行われている。

 

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