外国とのアマチュア無線資格の相互認証(いわゆる相互運用協定=レシプロ)の締結先が久しぶりに増えた。9月29日にニュージーランド(ZL)と の相互認証が施行され、10月にはインドネシア(YB)との相互認証も施行される見込みとなった。そこで、アマチュア無線のコールサインや法制度研究の第一人者、JJ1WTL 本林良太氏の特別寄稿により、レシプロ制度に分析するとともに、これまでの外国人の日本での運用手段を振り返る。今回はその第2回目だ。
●レシプロに新たな国が加わるのは何年ぶりか?
今回、ニュージーランドがレシプロ対象国として追加されたが、果たしてその前はいつ、どの国と締結されたのだろう。調べてみたら、もう15年もの月日を要していることがわかった。
前回追加された国を覚えておいでの方も、もうわずかであろう。 振り返れば1998年にペルー(OA)が追加されたのが最後だった。
レシプロ(相互運用協定)の対象国については、その時々で「告示」として出されているので、それを併せてたどってみよう。また、レシプロ導入以前に「社団局の構成員だったら運用してもいいよ」とされていた時代があった。 それについても並記する(別途説明)。
免許を与えた国 (1993年10月5日以降は国籍不問) |
発効 | 規定 (郵政省告示~総務省告示) | ||||
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廃止 | 廃止 | 現行 | ||||
社団局の構成員として | W | アメリカ | 1970年9月21日 | S45(1970)告示816
その一部を改正: |
H2(1990)告示246
その一部を改正: |
H5(1993)告示326
その一部を改正: |
DL | ドイツ | 1972年11月30日 | ||||
OH | フィンランド | 1979年10月8日 | ||||
EI | アイルランド | 1981年8月27日 | ||||
相互運用協定 | W | アメリカ | 1985年9月7日 | |||
DL | ドイツ | 1986年5月1日 | ||||
VE | カナダ | 1986年11月16日 | ||||
VK | オーストラリア | 1987年2月25日 | ||||
F | フランス | 1987年5月15日 | ||||
HL | 韓国 | 1992年8月1日 | ||||
OH | フィンランド | 1993年6月16日 | ||||
EI | アイルランド | 1993年6月16日 | ||||
OA | ペルー | 1998年8月1日 | ||||
ZL | ニュージーランド | 2013年9月29日 | ||||
YB | インドネシア | 2013年10月下旬見込み |
このように、対象国が増えるたびに告示を改正しつつ、付け足してきた。ただし白紙改正で“全とっかえ”されたことが2回あった。
・1回目:1990年5月1日
「電話アマ・電信アマ」が「四アマ・三アマ」に改正されたとき
・2回目:1993年6月16日
アマチュアの国籍制限が撤廃されたとき
(このとき同時に、フィンランド・アイルランドがレシプロ対象国として追加された)
●実際の渡航者数はどのくらい?
では対象国ごとの渡航者数を調べて、シアワセ度合をまとめてみよう。 ただし締結時点のデータではなく、最新のデータを用いている。
この図から、アメリカ(W)と韓国(HL)が支配項となっているのが判る。 肝心な今回追加の2国については、具体的には以下となる。
・ニュージーランドへは7万2,080人
(2012年、居住地別統計、国境到着者数、日帰りを含む旅行者数)
・インドネシアへは44万5,066人
(2012年、居住地別統計、国境到着者数、宿泊を伴った旅行者数)
さすがに、一大観光地「バリ島」を抱えるインドネシアに渡る人は結構多い。 渡航者数でみると「13位」にあたる(順に、アメリカ(含 ハワイ)、韓国、中国、台湾、タイ、香港、グアム、シンガポール、ドイツ、フランス、ベトナム、マレーシア、インドネシア)。 一方、ニュージーランドは「35位」なので、ブラジル(34位)・ハンガリー(36位)と同程度になる。 「このうちアマチュア無線家はどのくらいいるの?」ということになろうが、ざっくりとは、日本の場合、「300人に一人がアマチュア無線家」と思っていただければよい。
参考URL(渡航者数): 2008年~2012年 各国・地域別 日本人訪問者数 (日本から各国・地域への到着者数) http://www.jnto.go.jp/jpn/reference/tourism_data/pdf/pdf/marketingdata_overseas_taravelers0826.pdf
次回は、これまでのレシプロの締結先で、渡航先・来航元のどのくらいをカバーできているのかを検証する。
寄稿:JJ1WTL 本林良太
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