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【特別寄稿】相互運用協定のこれまで~一歩進んだアマチュア無線家をめざして<第4回>

外国とのアマチュア無線資格の相互認証(いわゆる相互運用協定=レシプロ)の締結先が久しぶりに増えた。9月29日にニュージーランド(ZL)と の相互認証が施行され、10月にはインドネシア(YB)との相互認証も施行される見込みとなった。そこで、アマチュア無線のコールサインや法制度研究の第一人者、JJ1WTL 本林良太氏の特別寄稿により、レシプロ制度に分析するとともに、これまでの外国人の日本での運用手段を振り返る。今回はその第4回目だ。

 今回からは、日本で運用する外国人ハムの“不遇の歴史”をたどってみよう。まずは「レシプロ前史」である。

●鎖国時代
 昭和25年の「電波法」施行以来、ずっと外国人には免許を与えないことになっていた。昔に無線従事者の試験を受けた方なら、免許を与えない「欠格事由」として堂々と、
日本の国籍を有しない人
という一文が君臨していたのを覚えてるだろう(いまでも)。

 

1950(昭和25)年の電波法の「欠格事由」欄

1950(昭和25)年の電波法の「欠格事由」欄

 

 もっとも、無線従事者の資格は、日本の国籍を有しなくても得ることはできた。しかし、そのあとの「開局」ができなかったのだ。

 

●日本の従免で社団局の構成員

 アマチュア無線において「社団局」の制度が整備された際、外国人でも構成員として運用できるようになった〔1959(S34)年12月22日施行、S34省令31〕。

 ただし、日本語の試験――しかも当時は記述式――を受けなければならないわけで、ビジターにとっては依然ハードルがめちゃくちゃ高かった。また社団自身には、外国人は「代表者は不可、役員の1/3未満、議決権の1/3未満」というシバリもあった〔法5条1項四号、前出〕。

 

●本国の免許で社団局の構成員

 そのような中、まずアメリカを対象に、本国の免許を元に日本で運用することが認められるようになった。 ただし、個人局の開設は依然として不可で、「社団局の構成員として社団局を運用する」ことが前提だった。

 施行規則の改正は1970(S45)年9月3日だが〔S45省令20〕、細目まで整ったのは同21日で〔S45告示816〕、それ以降許されるようになった。

 

1970(昭和45)年の郵政省令第20号より

1970(昭和45)年の郵政省令第20号より

 

 この緩和の決定打は、「当時の駐日アメリカ大使がアマチュア無線家だったから」と言い切って良いだろう(Armin Henry “Hank” Meyer氏、W3ACE)。 Meyer氏はこのあと社団局JH1YDRを運用することになる。

 運用にはいくつかの足かせがあった。日本の“一アマ・二アマの指揮の下”である必要があったり、アメリカのサブバンドを引きずったりする面である。

 のちにレシプロが認められるようになるまでは、この「社団局の構成員としてだけよ」の受け入れ形態が維持された。この間、対象国は、アメリカに加えて、ドイツ、フィンランド、アイルランドにまで広がった(下表)。

 

表 社団局の構成員としての外国人の運用

免許を与えた国
(国籍も同じこと(当時))
発効
W アメリカ 1970年9月21日
DL ドイツ 1972年11月30日
OH フィンランド 1979年10月8日
EI アイルランド 1981年8月27日

 

 次回は「外国人運用の歴史――レシプロのはじまり」と題して、レシプロがいよいよ導入された頃の話を振り返る。

寄稿:JJ1WTL 本林良太

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