フィリピンを襲った台風30号は、一時、中心気圧895hpa、最大瞬間風速90m/sという竜巻並みの勢力となり、同国内は暴風雨、高潮、洪水、停電などの大きな被害が発生した。特に中部のレイテ島では警察当局が「死者は1万人にのぼる」との見方を伝えている。この災害に対応するため、フィリピン国内では7.095MHzと144.740MHzで非常通信が実施されている。
フィリピンアマチュア無線連盟(PARA)のRamon Anquilan氏(DU1UGZ)は、地元のアマチュア無線非常通信組織であるHam Emergency Radio Operators(HERO)の話として、停電などで現地の無線通信が途絶えていることを伝えた。
また、PARAは「非常用の通信周波数7.095MHzと144.740MHzをクリアに保つよう」要請している。この周波数は、おもに現地での救助活動と復旧作業に利用されている。現地ではSNSなども利用し、対応が続けられているが、先月のM7.2の大地震で被害を受けたままの地域もあり、影響が懸念されている。 (ARRLニュース 11月8日、11月9日 ※許可を得て翻訳転載/(C)ARRL)
【参考】
JARL Webのバックナンバーによると、2012年12月にフィリピンを台風24号が襲った際には、PARAからJARLへ以下のような要請があった。
「フィリピンに接近している非常に強い台風24号(Bopha、ボーファ)に備えて、12月3日にアマチュア無線の災害通信を発動した。IARU第3地域のアマチュア無線家の皆様に、7.095MHz付近を空けていただくよう周知をお願いしたい」
今回の台風30号における非常通信で、PARAからJARLへの要請があったかは未確認だが、JAの7MHz帯の信号はコンディションや時間帯によってはフィリピンまで強力に届く。そのためJAでも十分な配慮が必要であろう。
●関連リンク
・「Amateur Radio Volunteers Ready as Strong Typhoon Hits Philippines」 ARRL NEWS
・「Hams in Philippines Support Critical Communication in Typhoon’s Wake」 ARRL NEWS
・比台風死者、1万人超か=レイテ島、家屋多数破壊-1町で300人犠牲・サマール島(時事ドットコム)
・フィリピンの連盟からの協力要請「台風24号に伴う災害通信の実施について」(JARL Webバックナンバー:2012年12月)
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