11月13日、沖縄県那覇市に430MHz帯のD-STARレピータ「JQ6YAA」が新規開設され、運用を開始したが、そのコールサインが「総務省の訓令に違反する文字列を発給したのではないか?」と識者が指摘し、話題となっている。
「今回発給されたJQ6YAAというコールサインは、沖縄のレピータ局への割り当て順として正しくない文字列ではないか?」と指摘するのは、日本におけるコールサイン史研究の第一人者、本林良太氏(JJ1WTL)だ。同氏のブログに掲載された指摘は以下のような要旨である。まずはこの下の表を見て欲しい。
電波法関係審査基準 別表3 識別信号の指定基準 19 アマチュア局
(2) | アマチュア業務の中継用無線局 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
注1: 地方局別の数字の次の2文字は、WA(沖縄にあってはYA)から順次指定する。
注2: 地方局別の数字の次の文字が3文字である呼出符号は、その3文字がYCA(沖縄にあってはYBA)のものから順次指定する。
<指摘の要旨>
・「電波法関係審査基準 別表3 識別信号の指定基準 19 アマチュア局」という表(上に掲載したもの)に、アマチュア業務の中継用無線局(いわゆるレピータ局)に割り当てるコールサインのブロックが規定されている。
・この表によると、沖縄はJR6YA~JR6YZ、JQ6YAA~JQ6YZZがリザーブされている。
・沖縄のレピータ局が増え、従来のコールサインブロック(JR6YA~JR6YZ)が満配になったたため、今回開設された那覇市のD-STARレピータ局から、新しいコールサインブロックに入った。
・しかし上で紹介した「別表3」には欄外に注意書きがついており、その注2には「地方局別の数字の次の文字が3文字である呼出符号は、その3文字がYCA(沖縄にあってはYBA)のものから順次指定する」とある。
・実際、本土側では「JP#プリフィクス+三文字サフィックス」のレピータ局は、サフィックスは「YCAから」発給されている。それとまったく同じように、沖縄においては「JQ6YBAから」発給しないとならないはず。
・なぜ「JQ6YAA~YAZ」を空けているかというのは、推測の域を出ないが、将来2文字サフィックスのレピータ局、JR6YA~YZのコールサインをここに指定変更することを意図したと思慮される。
・つまり今回のJQ6YAAは、沖縄総合通信事務所の“不注意”で発給されたもので、本来は「JQ6YBA」とすべきものだった可能性が高い。
本来割り当てになるべき、レピータ局コールサインのルールまとめ(本林氏による)
本土(含 小笠原) | 沖縄 | ||||
---|---|---|---|---|---|
割当ブロック | 実際の割当順 | 割当ブロック | 実際の割当順 | ||
JR#VA-VZ JR#WA-WZ |
JP#YAA-YZZ | JR#WA-WZ JR#VA-VZ JP#YCA-YZZ |
JR6YA-YZ | JQ6YAA-YZZ | JR6YA-YZ JQ6YBA-YZZ |
本林氏によると、こうしたアマチュア局のコールサインの誤発給はたまに生じており、以前は東海総合通信局で「再割り当てのときのプリフィックスはアルファベット順で進める」はずが、「JQ2」の再割り当て終了後、「JR2」が飛ばされて、「JS2」が指定される事件もあった(被害者15局には後日、JR2プリフィックスのコールサインが指定し直された)。果たしてこのJQ6YAAはどのような経過をたどることになるのだろうか。
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