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<写真で見る>アマチュア無線家にとって悪名高き、旧ソ連時代の「ウッドペッカー」送信所跡

冷戦時代、キツツキが木を突く音のように「パタ、パタ、パタ…」と聞こえた「ウッドペッカー」。HF帯のアマチュアバンドで、強力なウッドペッカー信号に悩まされたハムも多いだろう。これは短波を利用した「OTHレーダー」と呼ばれるもので、旧ソ連などは潜水艦発射弾道ミサイルの発射試験で核弾頭を追跡するのに重宝したという。

 

異様を誇る、巨大な「Duga-3システム・アンテナ」(同Webサイトから)

異様を誇る、巨大な「Duga-3システム・アンテナ」(同Webサイトから)

 

  今回、戦争跡や事故などによる廃墟跡を集めたWebサイトに、旧ソビエト連邦が誇る、超巨大な「OTHレーダー」施設を撮影した映像が紹介されている。現在は、チェルノブイリ原発事故により、廃墟と化しているようだが、そのアンテナを見ると、あの当時、ヨーロッパの方向から聞こえるウッドペッカー信号の強さもうなずけるだろう。

 


 「Duga(ドゥーガ)-3」と呼ばれているこの巨大なアンテナ・システムは、チェルノブイリ地区のPrypiat(北ウクライナ、チェルノブイリ原発近く)の近郊にある。現在は発電所事故の影響で、ゴーストタウンと化している。

 それは、初期のミサイル発見システム(超水平線レーダー・システム)として、70年代に造られ、その形状から「Steelヤード」とも呼ばれていた。アンテナは、1989年に使用を中止した。

 ロシアの「Woodpecker」は、1976年7月から1989年12月までの間で世界中で短波ラジオ・バンドで聞こえていた悪名高い旧ソビエトの信号だった。「キツツキ」という名で呼ばれるように、10Hzで、鋭い、反復的なタップ音が特徴だった。多くの合法的な放送、アマチュア無線と業務向けの送信をランダムな頻度で中断させ、世界中の多くの国に何千もの苦情を言われる結果になった。

 1976年に始まった、新しくて強力な無線信号は、世界中で検波され、アマチュア無線通信士によって、すぐに「Woodpecker」とあだ名され、いくつかのキツツキ送信機の送信出力は、10MW(10,000kW)のEIRPと同じくらい高いと推定されていた。その信号の強さゆえに、短波帯におけるアマチュア無線通信や、ラジオ局の放送を途絶させると同時に、電話回線の上にもときどきノイズを与えた。

 このことは、「キツツキ・フィルタ」とノイズ・ブランカーの産業を繁栄させる要因となった。

 

チェルノブイリ原発事故の影響で、1989年から使用されることはなかった(同Webサイトから)

チェルノブイリ原発事故の影響で、1989年から使用されることはなかった(同Webサイトから)

 

●「スチール・ヤード」のレーダー・アンテナ(ウィキペディアから)

 ソビエト連邦は、1950年代初頭までにOTHレーダーの研究を行い、最初の試作システムである「Veyer(NATOコードネーム「ハンド・ファン(Hand Fan)」)」が1949年に稼動した。続いて、実用型である「ドゥーガ2」がウクライナのムィコラーイウに設置され、1971年11月7日から稼動した。ドゥーガ2は、ソ連の東半分の空域をカバーし、大西洋や太平洋からノヴァヤゼムリャに向けて発射された潜水艦発射弾道ミサイルの発射試験で核弾頭を追跡し、大きく重宝された。

 ドゥーガ2に続くOTHレーダーとして、チェルノブイリ近郊のゴーメルに建設された新型OTHレーダー(NATOコードネーム「スチール・ヤード(Steel Yard)」)」)が1976年から稼動した。「スチール・ヤード」は北アメリカ大陸の一部を含む北極海をカバーしており、独特のパルス電波による雑音が中波、短波に入ることがあったため、アマチュア無線の間では「ロシアン・ウッドペッカー」と呼ばれていた。「スチール・ヤード」の2番目のシステムはシベリアに設置され、アラスカを含む北緯48度以北の監視に使われている。

 

 

●関連リンク:

・The abandoned giant Duga-3 system antenna near prypiat

 ・OTHレーダー(ウィキペディア)

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