12月14日、日本上空を通過する国際宇宙ステーション(ISS)の若田宇宙飛行士とアマチュア無線で交信しようというイベント、「ARISSスクールコンタクト in とちぎ」が、栃木県宇都宮市の帝京大学宇都宮キャンパスで開催され、公募で選ばれた栃木県内の小中学生15人が交信に成功した。その感動と熱気あふれる模様と写真を紹介しよう。
小中学生が、アマチュア無線を使って国際宇宙ステーションの宇宙飛行士と交信するというプロジェクト「ARISSスクールコンタクト」は、JAXAやJARL、関係各団体の協力で各地で行われているが、栃木県内で開催されるのは今回が初めて。学校単位で行われることが多いスクールコンタクトだが、今回は栃木県民の科学技術に対する理解・興味の促進を図る目的の地域団体「とちぎサイエンスらいおんプロジェクト」が主催し、栃木県全域から参加者を募集する形で実施された。
会場となった宇都宮市の帝京大学宇都宮キャンパスには、89名の応募者の中から選ばれた15名の小中学生(中学生2名、小学生13名)が緊張の面持ちでスタンバイ。300名ほど入る同キャンパスの会場内は見学者でほぼ満席となった。
予定時刻にISSが見えてきた頃、キャンパス内に設置した地上局「8N1ISS」から、145.80MHzで国際宇宙ステーションの若田宇宙飛行士(NA1SS)を数回コール。無事に若田さんの声が聞こえ、会場内には感動と安堵の声が広がった。
子供たちは順番にマイクを持って若田さんに質問を送り、若田さんは1人ずつに丁寧に回答。途中、ノイズにかき消された場面もあったが、最後は若田さんからの「さようなら」が届き、会場は拍手に包まれ、無事にミッションが終了した。これでARISSスクールコンタクトの成功は日本で70例目となった。
なお、今回使用した無線設備は、帝京大学宇都宮キャンパス内の航空宇宙工学科研究室に設置され、スピーカーとマイクを会場まで延長して使用。航空宇宙工学科は、衛星の打ち上げを計画しており、そのために設置した地上管制局の設備を使ったとのこと。
また、今回のイベントが不法局の電波で妨害されないよう、関東総合通信局の電波監視部が前日から宇都宮周辺で、不法局、違法局の摘発を実施したという(地上側では仰角を上げると不法局は聞えなくなるが、ISSではかぶってしまう)。こうした関係者の努力が実り、イベントを成功裏に終わらせることができた。<写真・取材協力:ハムのラジオ>
「ARISSスクールコンタクト in とちぎ」のイベントと、実際の交信の模様は、12月22日(日)21時から、茨城県水戸市の「FMぱるるん」で放送される「ハムのラジオ」の番組内で紹介される予定だ。同番組はサイマルラジオにより、インターネット経由の生放送で聴くことができるほか、23日(月)以降は「ハムのラジオ」のWebサイトから、ポッドキャストで聞くこともできる。
<写真で見る「ARISSスクールコンタクト in とちぎ」>
●関連リンク:
・とちぎサイエンスらいおんプロジェクト(Facebookページ)
・ハムのラジオ
・「宇宙」と交信、栃木県内の小中生 若田船長と質疑応答(下野新聞)
・【動画】「宇宙」と交信、栃木県内の小中生 ISS・若田船長と質疑応答(下野新聞 DoSOON)
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