アマチュア無線家なら誰でも持っている無線従事者免許証。そこに記載されている「免許証の番号」の付番ルールをご存じだろうか? 人気アニメ「ガールズ&パンツァー」では「私、アマチュア無線2級に合格しました!!」と大写しになった従免の番号に“矛盾”があり、ハムの間で話題になったこともあった。この際しっかり覚えておこう。【※本記事は2013年12月に掲載したものです】
2012年秋からTOKYO MXテレビなどで放映された深夜アニメ「ガールズ&パンツァー」(通称:ガルパン)。女子高生たちが戦車でたしなむ武道「戦車道」を描いて大人気となったが、その第10話で主人公の友人の女子高生(戦車の通信担当)が「2アマ」の資格を取得し、無線従事者免許証を披露するシーンがあった。
「実は私…アマチュア無線2級に合格しました!」
「まあ!」
「4級どころか2級だなんて!」
「え、2級って結構難しいんじゃなくて?」
「いやあ、大変だったよ~」
「通信士の鑑ですね」
「明日の連絡指示は任せて。どんなところにも電波飛ばしちゃうから!」
(ガールズ&パンツァー 第10話「クラスメイトです!」 http://girls-und-panzer.jp/story_10.html より)
そしてアニメでは、取得したという「第二級アマチュア無線技士」の無線従事者免許証が大写しになるのだが、その「免許証の番号」が実際とは大きく異なっていたのだ。無線従事者免許証の「免許証の番号」の付番には、無線従事者関係事務処理手続規程で定められたルールがある。その詳細を説明しよう。
<無線従事者免許証「免許証の番号」の付番ルール>
(1)「免許証の番号」のアルファベットの1文字目
免許を発給した地方総合通信局を表す記号で、Aは関東総通、Bは信越総通…といったように10のエリアに分かれ、ほかに沖縄総合通信事務所が「O」となっている
(2)同 アルファベットの2~3文字目(1976年3月31日以前に免許されたものは2文字目のみ)
その従免の発給年度を表す。2013年4月1日~2014年3月31日までに発給されたものなら、ここは「BL」となってるはずだ。また電波法が制定された1950(昭和25)年度から1976(昭和51)年度までの免許証は、ここが「A」から「Z」の1文字となる。
(3)同 アルファベット最後の文字
免許された資格別の記号。4アマなら「N」、第3級海上無線通信士なら「Z」と、上表のようになっている。
★アルファベットに続く、最大5桁の数字
その年度における、資格別の発行番号を00001から連番でつけている。もし5桁の数字の後に「-2」のような“ハイフン付き”のものがあれば、それは「再交付」を意味する。再交付1回目が「-2」、2回目の再交付は「-3」だ。
--では、ガルパン第10話に出てきた「関東総合通信局」発行の「第二級アマチュア無線技士」と記載されていた無線従事者免許証の画像を検証してみよう。
この従免の「免許証の番号(DAGN02354-3)」は、北陸総合通信局(D)で、1982年度(AG)に発行された、第4級アマチュア無線技士(N)の2354番目の免許証で、2回目の再交付(-3)を意味することになるから矛盾は明らかだ。しかも2アマの従免なら発給者欄は地方総合通信局長ではなく「総務大臣」になるはずで、この点でも間違いを犯している。ベースになったのは、アニメ関係者の4アマ従免だろうか!?
なお、アニメ「ガールズ&パンツァー」は、2014年1月8日から毎週水曜の27時に「BS11」で再放送が行われ、全国で無料受信ができる。第10話の“2アマ従免シーン”以外にも見どころは盛りだくさん。「えっ、本当? プロっぽい!?」「全然プロっぽくない。だってアマチュア無線だし」などという会話も登場する。
★無線従事者免許証の付番ルールについては下記記事も参考に↓
(2022年3月19日掲載↓)
<ガルパン以来の快挙!?>人気アニメ「新幹線変形ロボ シンカリオンZ」最終回に“4アマの無線従事者免許証”が登場
(2019年5月17日掲載↓)
<“免許証の番号”に特徴あり>読者提供!! これが「令和元年」の無線従事者免許証だ
●関連リンク:
・無線従事者関係事務処理手続規程(PDF形式:付番ルールは40ページ目に掲載)
・「ガールズ&パンツァー」
・「ガールズ&パンツァー」公式ブログ
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