冷戦時代、キツツキが木を突く音のように「パタ、パタ、パタ…」と、短波帯を中心にアマチュア無線家を悩ませ続けた「ウッドペッカー」。その記事の第2弾として、今回は旧ソ連時代「ウッドペッカー」送信所跡の「動画」を集めた。改めてその施設の規模の大きさは、動画だからわかるものばかりだ。
前回、hamlife.jpで「<写真で見る>アマチュア無線家にとっての悪名高き、旧ソ連時代「ウッドペッカー」送信所跡」という記事を2013年12月11日に掲載したところ、大きな反響を呼んだ。
そこで今回は第2弾として、チェルノブイリ原発事故で周辺が立ち入り禁止区域となり、廃墟となった送信所跡の“動画”を集めた。あの忌まわしいウッドペッカーが収録されているノイズ音もある。今となっては、懐かし!?ノイズかもしれない。
アンテナの大きさを改めて動画で見ると、あの当時、ヨーロッパの方向から聞こえるウッドペッカー信号の強さもうなずける。
これは短波帯を利用した「OTHレーダー」と呼ばれるもので、旧ソ連などは潜水艦発射弾道ミサイルの発射試験で核弾頭を追跡するのに重宝したという。ロシアの「Woodpecker」は、1976年7月から1989年12月までの間で世界中で短波帯で聞こえていた悪名高い旧ソビエトの信号だった。「キツツキ」という名で呼ばれるように、10Hzで、鋭い、反復的なタップ音が特徴だった。送信出力は、10MW(10,000kW)と言われている。
施設の詳細は過去記事「<写真で見る>アマチュア無線家にとっての悪名高き、旧ソ連時代「ウッドペッカー」送信所跡」で確認してほしい。
●懐かしい!? まさにウッドペッカーノイズ! その1
●懐かしい!? まさにウッドペッカーノイズ! その2
●タワー&アンテナ上部から撮影。足がすくむ高さだ
●その巨大なDuga-3施設の様子がわかるスライドショー映像
●施設内部の建物にもに潜入してカメラを回し続けている
●廃墟と化したDuga 3をリポート
●「スチール・ヤード」のレーダー・アンテナ(ウィキペディアから)
ソビエト連邦は、1950年代初頭までにOTHレーダーの研究を行い、最初の試作システムである「Veyer(NATOコードネーム「ハンド・ファン(Hand Fan)」)」が1949年に稼動した。続いて、実用型である「ドゥーガ2」がウクライナのムィコラーイウに設置され、1971年11月7日から稼動した。ドゥーガ2は、ソ連の東半分の空域をカバーし、大西洋や太平洋からノヴァヤゼムリャに向けて発射された潜水艦発射弾道ミサイルの発射試験で核弾頭を追跡し、大きく重宝された。
ドゥーガ2に続くOTHレーダーとして、チェルノブイリ近郊のゴーメルに建設された新型OTHレーダー(NATOコードネーム「スチール・ヤード(Steel Yard)」)」)が1976年から稼動した。「スチール・ヤード」は北アメリカ大陸の一部を含む北極海をカバーしており、独特のパルス電波による雑音が中波、短波に入ることがあったため、アマチュア無線の間では「ロシアン・ウッドペッカー」と呼ばれていた。「スチール・ヤード」の2番目のシステムはシベリアに設置され、アラスカを含む北緯48度以北の監視に使われている。
●関連リンク:
・<写真で見る>アマチュア無線家にとっての悪名高き、旧ソ連時代「ウッドペッカー」送信所跡
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