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<新たな“ノイズ源”は必至!?>「PLCの屋外利用」を認める総務省令、いつの間にか昨年9月に公布されていた…

電力線に2~30MHzの高周波を重畳してインターネット通信などを行う「PLC(高速電力線搬送通信設備)」。従来は屋内に限り使用が認められていたが、これを屋外でも利用できるようにする法令(電波法施行規則等の一部を改正する総務省令)が、2013年9月9日に公布されていたことがわかった。PLCの屋外利用が普及すると、アマチュア無線バンドをはじめとする短波帯は「雑音」に埋もれる可能性があり、無線家や短波利用者から懸念の声が上がっている。

 

イベントに出展したPLC機器普及推進のブース。はたして「屋外利用」はどうなるのだろうか

イベントに出展したPLC機器普及推進のブースには屋内用の機器が並ぶ。はたして「屋外利用」はどうなるのだろうか

 

 PLCの屋外利用は、政府(内閣府)の行政刷新会議が2010年6月に「スマートメーターの普及促進に向けた屋外通信(PLC通信)規制の緩和」を検討するよう総務省に指示したことから始まった。これが認められ普及すると、短波帯はノイズが大幅に上昇することから、アマチュア無線家をはじめ、短波帯を利用する関係者(航空通信、海上通信、短波放送、電波天文など)から懸念の声が上がっていた。

 2013年2月、総務省はPLCの屋外利用を推進するための省令改正案をまとめ、「電波法施行規則等の一部を改正する省令案等についての意見(パブリックコメント)募集」を実施。これに多数のアマチュア無線家が反対意見を提出、JARLも反対意見を提出するとともにWebサイトにこれまでの経緯をまとめ、「PLCの屋外利用に反対する」声明を掲示した
 
 その後、総務省が4月10日に意見募集の結果のまとめを公表。アマチュア無線家から出された反対意見に関する見解は下記のようなものだった。

 


「広帯域PLC設備の屋外(分電盤から負荷側に限る)利用については、規制緩和の要望や事業者からの具体的な提案を踏まえ、御指摘の内容についても配意しつつ、情報通信審議会において審議が行われました。許容値については、広帯域PLC設備が無線設備と共存できる条件としてシミュレーション及び実証実験の結果から導出された結果です。
 PLC設備と無線LANは、様々な環境において、それぞれの特性を活かした使用法が考えられます。総務省が把握している混信等苦情相談件数は平成19~23年度で5,437件となっております。このうち、屋内で利用するPLC設備からの漏えい電波により他の無線システムに障害が発生したと確認したものはなく、アマチュア無線業務に混入するノイズは他の原因が考えられます。
 なお、CISPRでPLC設備に関する技術的条件が策定された場合は、可能な限り国際基準に整合性のある規格となるように検討することとしています」


 

 しかし、この内容やその後の動きはJARLのWebサイトには掲載されなかった。そして2014年1月下旬に、一部のアマチュア無線家から「2013年9月9日に、PLCの屋外利用に関する総務省令が公布された」という指摘があり、波紋を呼んでいる。

 その総務省令は「平成二十五年九月九日総務省令第八十六号」で、電波法施行規則等の一部を改正するもの。総務省の「法令データ提供システム」で検索すると、その全文を読むことができた(下記画像)。
 改正された内容は、総務省が2013年2月にPLCの屋外利用を推進するためにまとめた「電波法施行規則等の一部を改正する省令案」とほぼ同じだが、このときの省令案にあった「伝導妨害波の電流及び電圧並びに放射妨害波の電界強度の基準」の変更は盛り込まれなかったようだ。

 

PLCの屋外利用を認める総務省令「平成二十五年九月九日総務省令第八十六号」(総務省 法令データ提供システム)

PLCの屋外利用を認める総務省令「平成二十五年九月九日総務省令第八十六号」(総務省 法令データ提供システム)。施行は公布から6か月経過後の2014年3月9日となる

 

 PLCの屋外利用を認めるこの総務省令(電波法施行規則等の一部改正)は、「公布の日から起算して六月を経過した日から施行する」と定められたことから、2014年3月9日から施行されることになる。
 はたして今後の短波帯は大丈夫だろうか。“いつの間にか”公布されていたPLCの屋外利用を認める省令に、アマチュア無線家の間から不安と憤りの声が上がっている。

●関連リンク:
・平成二十五年九月九日総務省令第八十六号 電波法施行規則等の一部を改正する省令(総務省 法令データ提供システム)
・電波法施行規則等の一部を改正する省令案等についての意見募集(総務省:2013年2月)
・無線設備規則の一部を改正する省令案(総務省:2013年2月)
・高速電力線搬送通信設備に関する電波法施行規則の一部改正について(JARL Web:最終更新は2013年3月)

 ・電波法施行規則及び無線設備規則の一部を改正する省令案等に係る意見募集の結果及び電波監理審議会からの答申(2013年4月10日:総務省)

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