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<3.11 東日本大震災発生時のアマチュア無線>総務省はJARLに「被災地の通信確保のためアマチュア局の積極的活用」を要請

2011年(平成23年)3月11日14時46分、東北地方の太平洋沖でマグニチュード9.0という、日本周辺における観測史上最大規模の大地震が発生した。場所によっては40mという大津波に見舞われ、東北から関東地方の太平洋沿岸部を中心に壊滅的な被害が発生した。多くの犠牲者、そしてライフラインの壊滅。携帯電話を始めとする電話回線も麻痺し、公共の通信手段が崩壊したなか、総務省は地震発生2日後の3月13日、社団法人 日本アマチュア無線連盟(当時)に対して「被災地の通信確保のためのアマチュア局の積極的活用について」を書面で要請した。

 

3月13日付で、JARLに対し中央非常通信協議会会長(総務省総合通信基盤局長)名で要請があった

3月13日付で、JARLに対し中央非常通信協議会会長(総務省総合通信基盤局長)名で要請があった

 

 

 2011年3月11日14時46分。皆さんはどこにいただろうか。経験したことのない状況のなか、震源に近い東北・北関東方面では最悪の状況に陥っていた。とくに通信手段の確保が急務で、被害状況の連絡、安否確認、救助要請、必要物資の手配などの通信に多くのハムが協力し、アマチュア無線が活躍したことは記憶に新しい。その経験を踏まえ、アマチュア無線技士の資格を取得する人たちも増加した。

 JARLでは、「がんばろう!東北 東日本大震災におけるJARLの活動」と題して、Webサイトで当時の活動状況をまとめて公開している。

 

「JARLでは、地震直後から情報収集活動を開始、3月12日からはこの震災に際して、JARLの地方局や中央局(RL局)において、主に7.030MHz SSBにより非常通信のワッチを開始し、 JARL中央局JA1RLと地方局JA3RL(関西地方)はTwitterによる情報の収集と発信を開始しました(写真は、JARL中央局JA1RLでの7.030MHzの非常通信ワッチ、Twitterによる情報収集・発信のようす)」「JARL中央局・地方局によるこのワッチ体制は、被災地において、何とか大きな被害から免れたアマチュア無線家の方々にも広く伝わり、被災各地やその周辺地域から非常通信周波数を通じて、徐々に伝わってくることとなり、JA1RL、JA3RLが開設しているTwitter等を通じて、現地のリアルタイムの7.030MHz帯の非常通信周波数の情報が配信されていくこととなりました」と記している。

 

 

 また、総務省は地震発生2日後の3月13日に、政府の中央非常通信協議会(総務省総合通信基盤局長)名で「被災地の通信確保のためのアマチュア局の積極活用について」という協力要請をJARLに伝えている。

 

1.各免許人の保有するアマチュア局の無線設備につき、近隣の災害対策本部や避難所に連絡手段として提供または使用させることをご検討いただきたい。

 

2.ただし、各地の電力事情、災害対策本部や避難所の運営状況によっては、提供または使用が難しい場合もある。

 

3.なお、本件の協力要請は、電波法第74条に基づくものではなく、各免許人の善意による自発的な協力を期待するものである。

 

 

 Twitterなどソーシャルネットワークでも、当時アマチュア無線で行われた非常通信の状況などが発信された。その一部を紹介する。

 

【3月12日】7030 宮城県庁からJA7RLによる非常通信

【3月12日】7.030にJARL(日本アマチュア無線連盟)の情報収集局として、宮城県庁内からJA7RL/PとJA7YRL/P が開局しました。【続報】JA7RL/PとJA7YRL/P 宮城県庁内に開局したJARL情報収集局は、夕方以降、7メガがスキップしてしまう恐れがあるため、その場合は3.525MHz(非常通信周波数)を使用する予定とのこと。いまANT設営中だそうです。

【3月14日】日赤宮城(JE7YVP)とのスケジュールQSO用周波数は7.121MHz。現在、津波直撃を受けた気仙沼市の局がオンエアー。JA1RLとQSO

【3月15日】本日、宮城県総務部危機対策課 防災推進班から、近隣に住むアマチュア無線家に対して「情報収集のための無線機を貸与できないか」という正式な依頼があったとのこと。無線機器の完動品を貸与できる。

 

 

 無線機器メーカーや販売店なども協力し、被災地にトランシーバーなどが提供された。また、個人においても使用していないハンディ機をローカル局に呼びかけ、被災地へ送った。

 

●アマチュア無線機器メーカーの「被災地支援」について(2011年4月7日現在、会社名、団体名は当時のもの)

★JVC・ケンウッド・ホールディングス株式会社
 3月16日に簡易無線機200台、特定小電力トランシーバ100台(合計300台)を被災地へ寄贈することを発表。
 4月1日には、被災地の現場連絡用として特定小電力トランシーバ100台と、非常通信用としてアマチュア無線機5台を提供。さらに日本ビクター製のラジオ300台や義援金1,500万円などの寄付を追加発表。

★アイコム株式会社
 3月16日に、特定小電力トランシーバ300台、アマチュア無線ハンディ機200台の寄贈と、デジタル簡易無線機(登録局対応)100台の貸与を発表(合計600台)。

★株式会社バーテックススタンダード
 3月16日に特定小電力トランシーバなど800台の寄贈を決定し、17日に現地へ届けた模様(同社はこれを「未確認」としている)。
 3月22日、日本赤十字社東京都支部のWebサイトに、「この大震災の救護活動に伴い、株式会社バーテックススタンダード様から、特定小電力無線機300台、アマチュア無線5台、無線機用電池など多くの機材を提供いただきました」と記載

★アルインコ株式会社
 3月18日にJARLの要請を受け、アマチュア無線ハンディ機50台を被災地のアマチュア無線局に寄贈

 これ以外にもさまざまなメーカーや団体、ショップなどが機材の提供や義援金の拠出などを行った。

 

7.030MHzなど非常通信のワッチを開始したJARL中央局JA1RL(JARL Webサイトから)

7.030MHzなど非常通信のワッチを開始したJARL中央局JA1RL(JARL Webサイトから)

 

  なお、下記関連リンク「東日本大震災におけるJARLの活動」で、アマチュア無線が担った当時の様子が詳しく紹介されている。

 

 

●関連リンク:

・東日本大震災におけるJARLの活動(JARL Web)

・中央非常通信協議会(総務省総合通信基盤局長)から被災地の通信確保のためのアマチュア局の積極活用について(協力要請)

・中央非常通信協議会会長/総務省総合通信基盤局長「被災地の通信確保のためのアマチュア局の積極的活用について(要請)」(PDF形式)

・総務省 非常時におけるアマチュア局の運用規制の緩和に関する告示改正案に係る意見募集の結果

・総務省 非常時の総務大臣の措置

・東日本大震災(ウィキペディア)

 

 

 

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