一般社団法人 日本アマチュア無線連盟(JARL)のメールマガジン第203号(7月7日付け)によると、国内のテレビ(地上波)放送が2012年3月31日にデジタル放送へ移行を完了して以来、JARLに寄せられる電波障害の相談がほとんどなくなったと伝えている。
アナログテレビ放送が完全終了して2年数か月。JARLに寄せられる、テレビ受信障害の相談の状況などについて、JARLメールマガジン第203号で報告があった。それによると、地上デジタル放送への移行完了後は電波障害の相談はほとんどなくなった一方で、一部の製品において昨年末ごろから、「短波帯の運用でTVIが発生したと」という情報が何件か寄せられようになったという。
JARLでは、こうした地デジテレビの受信障害に関して情報のある方はメールで連絡してほしいと呼びかけている。
●地上デジタル・テレビで確認される受信障害の現状
(JARLメールマガジン第203号から)
アナログ・テレビ放送は、2011年7月24日に全国で一斉に停波の予定でしたが、東日本大震災のために甚大な被害を受けた宮城県、岩手県、福島県の3県に限りアナログ放送の停止が延長されました。
「東日本大震災に伴う地上デジタル放送に係る電波法の特例に関する法律」が公布・施行されアナログ放送終了期日は、2012年3月31日となり、その後、国内のアナログ・テレビ放送は完全終了となりました。
アナログ・テレビ放送が完全終了して、2年数カ月の期間が経過しましたが、JARLに寄せられる、テレビ受信障害の相談の状況等についてお知らせします。
■激減したテレビ受信障害の相談
アマチュア無線が原因となるテレビへの電波障害(TVI)は地上デジタル放送受像機の普及に伴い減少傾向にありましたが、地上デジタル放送への移行完了後は電波障害の相談はほとんどなくなりました。
しかし、ごくまれにですが、従来のアナログ・テレビ用のV/UHF帯兼用の広帯域受信ブースターアンプを現在も使用している世帯においては、144MHz帯や430MHz帯の電波による、広帯域受信ブースターの飽和による受信障害が発生する場合がありますので、今後も注意が必要です。
JARLでは、日本アマチュア無線機器工業会(JAIA)技術委員会等と合同で、地上デジタル・テレビの妨害排除能力(イミュニティー)の確認試験をおこなったことがあります。当時実験を実施した際、その実力には目を見張るものがあり安心していました。
■一部の製品で受信障害が確認される
ところが、昨年の年末ごろから「短波帯の運用でTVIが発生したと」という情報が何件か寄せられています。
情報によりますと「7MHz帯以外の周波数では特に障害は発生しないのだが、7MHz帯で運用すると、わずか数Wでの運用でも画面がブラックアウトして、受信電力不足の警告が表示される」とのことです。
その後事務局には、「同様な現象が10MHz帯でも発生した」という情報も寄せられています。
障害が発生しやすい地上デジタル・テレビは、どうやら2013年秋ごろから販売されている一部の製品のようで、特定の周波数帯域の電波に対する、イミュニティーの不足が確認されている模様です。
なお、上記の地上デジタル・テレビの受信障害に関する既知の事実は次の通りです。
(1)イミュニティーの低い、ある特定のチューナーを使用している地上デジタル・テレビで障害が発生。
(2)発生のメカニズムはコモンモードによる障害ではない。
(3)VHFカットフィルター(ハイパスフィルター)を取り付けることで障害を回避できる。
地上デジタル・テレビの受信障害に関して情報をお持ちの方がおられましたら、下記のメールアドレスまで情報の提供をお願いいたします。
lab(アットマーク)jarl.org
※上記Eメールアドレスは、スパムメール防止のため「@」を(アットマーク)と表記しています。
●関連リンク:
・JARLメールマガジンのご案内(JARL Web) ※第203号の掲載は第204号発行後になる
●いったん広告です: