現在、南極の昭和基地で観測・研究業務に従事している第55次日本南極地域観測隊の越冬隊員は24名。その半数(12名)がアマチュア無線のライセンスを所持し、昼休みなどを利用してアマチュア無線局「8J1RL」を運用している。このほど越冬隊員の1人であるJG2MLI・吉川氏がブログ「こちらは8J1RL南極昭和基地です」の中で、8J1RLの運用に対してアマチュア無線家から寄せられた要望や意見にまとめて回答を行い、注目が集まっている。
第55次日本南極地域観測隊の越冬隊員であるJG2MLI・吉川氏は7月5日、ブログ「こちらは8J1RL南極昭和基地です」に「8J1RLより」というタイトルの記事を掲載した。
吉川氏は『これまでもここで8J1RLの運用方針を少しずつ述べてきましたが、メールで個別に要望をいただくことがちょくちょくあります。ただ同じ返答を個々に差し上げているとキリがありませんので、こちらでまとめて返答させていただきます』とし、『否定的な返答ばかりになってしまいましたがご容赦ください』と前置きした上で、下記5項目の要望や意見について8J1RL側の事情などを説明し理解を求めている。
★回答が掲載された要望事項
[要望1]
・あるモードで呼んでいたら他のモードにQSYされた。もう少し長くやってほしい
[要望2]
・セルフでクラスタに上げてから運用しているようだが、パイルになるとウチの環境では拾ってもらえない
[要望3]
・このバンドのこのモードがコンファームできていないので、いついつにQRVしてほしい
・このモードはあるけど、次はこのモードが欲しいのでスケジュールを組んでもらえないか
[要望4]
・このバンドが欲しいのでワイヤーDPくらいなら簡単に張れるはずだから、やってもらえないか
[要望5]
・QRTアナウンスの数分後に、別のバンドやモードにいることがあるようだけど。”QSY”としてもらえるほうがいい
吉川氏は回答の後で、『これらはいずれも南極という環境、基地の現状をご存じないためのことであるので、いたしかたないと思います。ハム界だけでなく南極の現状を一般に広く知っていただく力が足りてないのを痛感する次第です。今後につきましても個別に頂戴した要望、ご意見につきましてはブログで取りまとめをさせていただきたいと思います』と結んでいる。
なお、回答の中で吉川氏が『個人的には6mで国内との交信を実現すべく5エレを持ち込んだのですが、なかなか難しく。。』と書かれていることに興味を示した50MHz帯ファンもいた。過去の8J1RL運用者によると、同局は1.9~1200MHz帯が免許されているものの「昭和基地での50MHz帯運用は、近接した周波数で電波観測が行われているので事実上困難」ということだった。
要望に対する回答など詳細は、下記関連リンクで吉川隊員のブログを参照してほしい。
【イベント案内】
7月20日(日)の15時から、「関西アマチュア無線フェスティバル(KANHAM2014)」の会場内小ホールで「昭和基地 LIVE中継」が行われる。
このイベントでは、元・越冬隊員の野口氏(JF2ERE)と近藤氏(JG3PLH)による「昭和基地・南極へ行くまでの道のり」の解説や、昭和基地とインターネットで結んだライブ中継などが予定されている。詳細は関西アマチュア無線フェスティバルのWebサイトに掲載されている。
●関連リンク:
・8J1RLより(吉川隊員のブログ「こちらは8J1RL南極昭和基地です」)
・南極教室「昭和基地からのLive中継 ~夢・希望・つながり・南極からのメッセージ~」(KANHAM2014)
・南極OB会
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