海上保安庁は8月1日、ロランC局として日本でただ1局運用を続けてきた沖縄県の「慶佐次(げさし)ロランC局」(周波数100kHz、空中線電力1500kW)を2015年2月1日午前9時をもって廃止することを発表した。ロランCは航行中の船舶が現在位置を知るために1960年代から運用されてきたが、GPSなど手軽で高精度な電波航法システムが普及したことから利用者が減少、ついに日本国内での全廃が決まった。
ロランCは複数の送信局が同じ周波数で同期発射する信号の「到達時間差」を応用した電波航法システム。長波の100kHzを使用し数メガワットの高出力でパルス波(20k0P0N)を発射するもので、日本周辺の約2,000kmの範囲をカバーし、約500mの測位精度で自船の位置を得ることができた。
日本では当初、米国の沿岸警備隊が運用を行っていたが、1993年に海上保安庁に運用移管された。過去には、東京都の新島、硫黄島、南鳥島、北海道の十勝太にも送信局が設けられていたが、測位精度約10mというGPSを利用した電波航法システムの普及で次第に利用者が減少し、ロランC局は相次いで廃止となり、現在は沖縄県国頭郡東村の慶佐次局(出力1500kW)が残るのみとなっていた。
今回、海上保安庁が慶佐次局を2015年2月1日で廃止することを発表したため、日本からはロランC局の電波は途絶えることになる。またかつてこの施設内にあった「慶佐次ディファレンシャルGPS局」は、一足早く2014年3月16日に廃止され、南西約70kmの「八重瀬ディファレンシャルGPS局」に移転となった。
なお慶佐次ロランC局を管轄する第11管区海上保安本部は、これまで年に1~2回程度、同局の一般公開を行ってきた。廃止となる来年2月1日までに“最後の一般公開”が行われるかにも注目したい。
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●関連リンク:
・慶佐次ロランC局の廃止について(海上保安庁 PDF)
・慶佐次ロランC局(海上保安庁 第11管区海上保安本部)
・ロランC(海上保安庁)
・ロラン(ウィキペディア)
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