総務省は委員会を設置し、かねてよりワイヤレス（非接触）電力伝送システムに関する技術的条件について検討を行っていたが、この度、「6MHz帯の周波数を用いた磁界結合型ワイヤレス電力伝送システム及び400kHz帯の周波数を用いた電界結合型ワイヤレス電力伝送システムに関する技術的条件」について、委員会報告（案）を取りまとめ、平成26年11月18日から平成26年12月17日までの間、意見を募集すると発表した。400ページ近くある「委員会報告（案）」の資料には、一般社団法人 日本アマチュア無線連盟（JARL）と共に行った実験に対して所見などが記載されている。
「ワイヤレス電力伝送システム（WPTシステム）」とは、身近なところで電動歯ブラシ、電動シェーバー、スマートフォンなどモバイル機器を「送電パッド」の上に置くことで、充電を行うというものだ。
大きいものになると、電気自動車のバッテリーをコードで充電することなく、地面に設置した「送電パッド」の上に駐車して充電を完了させる。さらに家の床下に伝送コイルを引き詰めて、家全体の機器を充電するというアイデアまである。
総務省では平成25年6月から、情報通信審議会 情報通信技術分科会 電波利用環境委員会を立ち上げ、これらの技術的条件について検討を行ってきた。
今回、技術的条件のうち「6MHz帯の周波数を用いた磁界結合型ワイヤレス電力伝送システム及び400kHz帯の周波数を用いた電界結合型ワイヤレス電力伝送システムに関する技術的条件」について「委員会報告（案）」が取りまとめられ、本報告（案）について平成26年11月18日（火）から平成26年12月17日（水）までの間、意見を募集すると発表があった。
「委員会報告（案）」の資料は400ページ近くあり、そのうち100ページから116ページまでの「3.5 アマチュア無線との共用検討」では、委員会とJARLとの間に情報交換会を設置し、各種検討（実験）を行われたことが報告されている。
検討の進め方はアマチュア無線の周波数（135/475kH帯、1.8/1.9/3.5/3.8/7/10/14/18/21/24/28/50/144/430/1200MHz帯）を対象に、「WPTシステムは、基本的には無変調の連続波であるため、帯域外では整数次の高調波成分のみが大きく、特に奇数次の高調波成分がより大きくなる傾向を有している。そのため、WPTシステムがアマチュア無線に及ぼす影響の技術的検討に当たっては、WPTシステムの使用周波数の整数次高調波がアマチュア無線の周波数帯に含まれるかどうかが、干渉の有無の実態を判断するための材料になるものと考えられる。以上を踏まえ、WPTシステムの種別ごとにアマチュア無線に及ぼす影響の技術的検討を行った結果を以下に示す。なお、実際のWPTシステムの測定データについては、本作業班において公表されている資料を引用する。ただし、当該データの妥当性については、2014年7月2日にアマチュア無線連盟の立ち会いの下、実機の確認を行うことによって検証した」としている。
また、JARLからは個々の検討項目に対し、「万が一、アマチュア無線が有害な混信を受けた場合には、電波法第100条及び同法第101条に基づき、WPTシステムの運用者が混信又は障害の除去のために必要な措置を講じる必要があるものと考えられる」との所見が加えられている。
資料を読むと、「誘導式列車無線」などは周波数帯が近いことから影響が大きいことをうかがわせている。意見の提出方法など詳細は、下記の関連リンクから確認してほしい。
400ページ近くある「電波利用環境委員会報告（案）」の資料。アマチュア無線の周波数に対する影響の検討結果が紹介されている（クリックすると拡大）
●関連リンク：
・総務省 電波利用環境委員会報告（案）に対する意見募集
・情報通信審議会 情報通信技術分科会 電波利用環境委員会報告（案）（PDF形式）
・非接触電力伝送（ウィキペディア）
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