こんな無線機をご存じだろうか? 通信機メーカーのトリオ(現JVCケンウッド)が、海外向けに「KENWOOD」ブランドで販売したHF機・TS-520をベースに、リニアアンプで有名な米国のヘンリーラジオ社が試作したという「デジタル表示内蔵モデル」だ。出品者の説明によると、「たったの50台だけ試作され」「テスト品として製造だったため一般には殆んど市販されず、現在残っているのは10台程度だと言われています」とのことである。その珍品がヤフオクに出品されている。
【追記】
11月24日(月・祝)22時に入札は無事終了した。入札件数は7件、「16,800円」で落札された。
なお、出品者からの追加説明で、「このTS-520デジタル表示内蔵モデルの広告がありました」として、1975年10月と記された、ヘンリーラジオがTS-520に組み込んだという「デジタル表示内蔵モデル」の当時の広告が載っている。
82ページの中の24ページ目がそれに当たる。
下記をクリック!(PDF形式)
http://www.wb4hfn.com/KENWOOD/Presentations/KENWOOD_FORUM_2014.pdf
今回、ヤフオクに登場されたのは、1970年代に八重洲無線の「FT-101」のライバルとして登場した、トリオ(現JVCケンウッド)のHF機「TS-520」(海外向け仕様)をベースにした「デジタル表示内蔵モデル」だ。
本来、TS-520シリーズにはデジタル表示内蔵モデルは存在しない。国内向けではTS-520V/Sに「DG-5」という外付けのデジタルディスプレイを接続することで対応したのを思い出すが、出品者の説明によると、
「極僅かだけ試作されたデジタル表示内蔵モデルが存在します。リニアアンプで有名なヘンリー社が作ったものだそうです。たったの50台だけ試作され、テスト品として製造だったために、一般には殆んど市販されず、現在残っているのは10台程度だと言われています」
「このモデルはアメリカで作られ、日本には逆輸入されなかったので、日本で見かける事はこの1台以外まずありえないことでしょう。それだけ珍しいTS-520デジタル表示内蔵モデルを出品いたします」
「基本的にアメリカ仕様であり、ブランドはケンウッドです。VFOユニットの上にデジタルカウンター回路が乗っています」
見慣れたVFOのアナログスケール表示部分はない。そしてVFOユニットの上にデジタルカウンター回路が乗っている
ヤフオクに紹介されている画像を見ると、通電された様子はなく(「電源ケーブルがないので動作チェックはしていない」という説明)、実際にデジタル表示された状態を確認することはできない。ただ、メインのVFOダイヤルの上にあるはずの、見慣れたアナログスケールの表示部分は、アクリル製パネルのようなもので覆われている。
また、手作り感が漂う、“試作機”といったデジタルカウンター回路が、確かにVFOユニットの上に乗っているのだ。
TS-520の「デジタル表示内蔵モデル」、コレクターズアイテムとしては珍品だが、果たしてどのような落札価格になるだろうか。
●関連リンク:
・世界で50台 TS-520 デジタル表示内蔵モデル 整備説付(ヤフオク)
・【アマチュア無線機Collection】 ヤエスFT-101シリーズ最大のライバル見参--トリオ・TS-520X(1973年)
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