東南アジアでは12月21日頃から、北東の季節風(モンスーン)が吹き、マレーシア北部やタイ南部を中心に「数十年に一度」という記録的な大雨となり、各地で洪水による被害が発生している。マレーシアのアマチュア無線通信連盟(MARTS)では、ボランティアによって7.110MHzと日没後の3.600MHzで非常通信を実施しており、近隣各国のアマチュア無線団体に対し、これらの周波数付近をクリアにするよう緊急の呼びかけを行った。
ARRL NEWSなどの報道では、マレーシア国内の被害は「過去数十年で最悪の状態」となり、5人が死亡し16万人以上が避難、さらに被災地域の通信は壊滅的となっている。MARTSのジョニー・タン氏(9M8DB)によると、クアラルンプール、クアンタン、ケママン、バチョックの各地でアマチュア無線による非常通信が行われている。当初はV・UHF帯のレピータを使用したが、洪水のために電源供給に問題が発生したことから、通信はその後HF帯に切り換えたという。
洪水の被害は隣国のタイにも拡大、南部にある8つの行政区が被災し少なくとも13人の命が奪われ、184,000世帯に影響を及ぼしている。タイのアマチュア無線連盟(RAST)のチャンプ氏(E21EIC)は、「恐ろしい洪水が8日も続いている。我々も7.110MHzでスタンバイしている」と語っている。
JARLから正式な発表はないが、JAのローバンドの信号はコンディションや時間帯によっては東南アジアまで強力に届く。そのため7.110MHzと3.600MHz付近をクリアにする配慮が必要だろう。
●関連リンク:
・Amateur Radio Volunteers Supporting Emergency Communication Following Flooding in Malaysia and Thailand(ARRL NEWS)
・Malaysian floods get MARTS emcomm help(QRZ.com)
・MARTS
・RAST
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