国際宇宙ステーション(ISS)に滞在中のJAXA宇宙飛行士の大西卓也氏(KF5LKS)が、2016年8月29日の午前6時40分(日本時間)、ISSから145.80MHzで日本語の“CQ”を出し、これに応答した京都市内のアマチュア無線家2局が交信に成功したことがわかった。ISSの宇宙飛行士がARISSスクールコンタクト以外の「一般交信」として、自ら電波を発射するのは極めて珍しい。この模様はJARL Webと京都新聞で報じられた。
大西卓哉宇宙飛行士は8月20日、鳥取県大山町立大山小学校の児童とARISSスクールコンタクトによる交信を行った。その直後、自身が開設しているSNS(google+)にその報告とともに、ISSからのアマチュア無線用周波数に触れ、「先日、日本の上空を通過したしたときに、この周波数を聴取していたのですが、どなたからもコールがありませんでした」「一度ダメもとでこちらから呼びかけてみましたが、こちらも応答なしでした」「長期滞在中、是非このゲリラ交信をやってみたいので、愛好家の方はISSからの周波数をチャンネル登録してスキャン(?)に含めてみてくださいm(_ _)m」という書き込みを行った。
これを読んだ京都市のJM3DUR 島村隆久氏(JAMSAT理事)が大西宇宙飛行士のgoogle+に、日本時間で8月29日06:38からのパスを指定してワッチする旨を書き込み、半信半疑でその時間帯にスタンバイしていたところ、大西宇宙飛行士による「こちらNA1SS、国際宇宙ステーションです。どなたか日本の方いらっしゃいますか?」という信号を受信、無事に交信に成功したという。続いて島村氏の友人である京都市のJH3BUM 石原氏も交信できたという。
★☆島村氏提供による、大西卓哉宇宙飛行士からの“第一声”の受信音声(この文字をクリックするとwav形式の音声ファイルが登場)★☆彡
JARL Webは9月2日、ニュースコーナーに島村氏の手記を掲載した。交信に至る経緯や交信内容、解説などが詳しく紹介されている。また同氏によると京都新聞からも取材を受け、記事が掲載されたという(9月4日11:50、京都新聞のニュースサイトにも掲載された)。
JARLはこの交信について、「今回の大西宇宙飛行士による一般交信は、一人のアマチュア無線家のブログへのリクエストの書き込みを、見てくださった大西宇宙飛行士自身が、積極的に呼びかけていただき交信に至ったものです。
大西宇宙飛行士の今回の試みは、日本のアマチュア無線界にとっても、たいへん喜ばしいことでもあり、夢いっぱいの、より一層交信への興味をそそられる出来事ではないかと思っています。
これからも、大西宇宙飛行士をはじめISSに長期滞在の宇宙飛行士の方々との一般交信のチャンスがあるかもしれません。
みなさんも、そんな次なるチャンスの到来の時を願って、まずは日頃からマメなワッチに取り組んでみてはいかがでしょうか」と述べている。
●関連リンク:
・国際宇宙ステーションに長期滞在中の大西卓哉宇宙飛行士とのアマチュア無線の一般交信に2名のアマチュア無線家が成功(JARL Web)
・宇宙滞在 大西さんと無線交信に成功 京都の愛好家(京都新聞Web)
・大西卓哉 JAXA宇宙飛行士(google+)
●いったん広告です: