1996年8月17日に日本のアマチュア無線衛星「ふじ3号(JAS-2、FO-29)」が、鹿児島県の種子島宇宙センターからH-Ⅱロケット4号機で打ち上げられて以来、ついに20年が経過した。搭載している100kHz幅のアナログモードV/Uトランスポンダー(ダウンリンク出力1W)は現在も稼働し続けている、しかしパケット通信用のBBSとデジトーカーはもはや機能していない。
同衛星は低軌道衛星で、遠地点高度1323kmの軌道を周回し、およそ2、3か月ごとに衛星通信愛好家にすばらしいDX通信のチャンスを提供している。日本とアラスカ間、北米とヨーロッパ間の交信を含む大陸間の交信は定期的に報告されている。
FO-29を介した最長距離の交信は、2015年8月27日に米国アーカンソー州リトルロック(EM34)のDave Swanson氏(KG5CCI)と、フランスのトルイ(NJ17)のChristophe Lucas氏(F4CQA)の間で樹立した7599.959kmで、これはスケジュールQSOではなく、F4CQAのCQにKG5CCIが応答したものだった。
また2015年のK1N DXペディション(ナヴァッサ島)では、FO-29の2つのパスを使用して合計29QSOが行われた。同島からのアマチュア衛星による運用は1993年に行われたW5IJU DXペディション以来となった。
FO-29は、最も広く使われているリニアトランスポンダー衛星であり、衛星通信の初心者にとっても入門に理想的な存在だ。アップリンクは145.900~146.000MHzのLSBまたはCWで行い、ダウンリンクは、435.900~435.800MHz(USBまたはCW)となる。またCWビーコンは435.795MHzで送信されている(ドップラーシフトにより±6kHz程度の変動がある)。
なおJARLは、FO-29を通してコンファームされた10の異なる局とのQSOにアワードを発行している。(ARRL NEWS 8月30日 ※許可を得て抄訳転載/(C)ARRL)
●関連リンク:
・FO-29 Satellite Turns 20(ARRL NEWS)
・ふじ3号(JAXA)
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