海上保安庁はきょう2016年9月30日の昼12時をもって、全国29か所の灯台などから送信を行ってきた、中波1670.5kHzの「船舶気象通報局(通称:灯台放送)」の運用を終了した。千葉県銚子市の犬吠埼灯台には、別れを惜しむ受信ファンが複数訪れる中、海上保安庁の職員が停波の準備作業を行い、11時23分10秒から“最後の気象通報”が流された。現地の模様と最終放送の動画を紹介しよう。
1949年の開始以来67年間、船舶関係者や無線愛好者に「灯台放送」として親しまれてきた船舶気象通報が、ついに9月30日の昼12時をもって終了した。千葉県銚子市の犬吠埼灯台には、同灯台からの“最終放送”となる午前11時23分10秒からの送信を現地でワッチし、別れを惜しもうと複数の受信ファンがラジオや録音機材を持って集まった。
午前10時30分には、停波作業を行う海上保安庁 銚子海上保安部の職員も到着し、見学コースや船舶気象通報局のアンテナマッチングを行う「整合機室」の扉などに、「60年間ありがとうございました」という案内板を掲示した。
担当職員によると、犬吠埼灯台からの船舶気象通報の送信は午前11時23分10秒からが最後となるが、「廃止時刻を“12時”と発表していますので、局舎内の送信機の電源は11時台の通報送信後もしばらくそのままとして、12時ちょうどに電源OFFの作業を行います」ということだった。
午前11時23分10秒から、犬吠埼灯台(コールサイン:いぬぼう)としては最後の気象通報がいつもと変わらず自動音声で流された。その模様を送信アンテナから3m離れた地点で動画に収録した。
「各局、各局、各局、こちらは いぬぼう、いぬぼう、いぬぼう。海上保安庁が犬吠埼灯台の気象状況をお知らせします。時刻11時18分、北北東の風7m、気圧1018ヘクトパスカル、波の高さ不明。繰り返します…(略)…おわり。こちらは いぬぼう、さようなら」
犬吠埼灯台からの船舶気象通報は1956(昭和31)年6月1日に、呼出符号JLH、中波444kc、空中線電力400Wでモールス符号(A2)による運用で始まり、1969(昭和44)年2月10日からは現在と同じ中波1670.5kHzのA3Hモードで音声による送信に切り替えられた(呼出名称「いぬぼう」、空中線電力50W)。その歴史ある運用がすべて終了した瞬間だ。
なお本日行われた各地の船舶気象通報局の廃止は、NHKのニュースなどでも報じられ、一部はニュース動画も公開されている(公開期間は数日程度)。詳細は下記関連リンク参照。
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<船舶気象通報の廃止は9月30日(金)の昼12時>全国の「灯台放送」は、もう“今夜”と“明日の夜”の2回しか受信できない!
<9月30日で停波決定、“灯台放送”の受信は今月中に!!>海上保安庁、「船舶気象通報局」29か所すべての廃止を正式発表
<1670.5kHzの“灯台放送”さようなら…>海上保安庁、「船舶気象通報局」などの情報提供手段を終了へ
●関連リンク
・<ニュース動画あり>船舶に気象情報 “灯台放送”が終了 青森 東通村(NHK NEWS)
↑上記ニュースの動画(JAPAN NEWS)
・船舶気象通報が終了 ネット普及で半世紀わたる役割終える 北海道 積丹(NHK NEWS)
↑上記ニュースの動画(JAPAN NEWS)
・船舶向け気象情報・潮岬「灯台放送」61年の歴史に幕(産経ニュース)
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