世界で唯一稼働する旧式のアレキサンダーソン高周波発電機を備えた、スウェーデンの世界遺産「グリムトン長波海岸局」(通称:ヴァールベリの無線局、コールサイン:SAQ)から2016年10月上旬、長波アンテナの火災が発生した。原因はアーク放電によるもので怪我人はなく迅速に消火されたが、損害の範囲を確定し修理を完了するまでしばらく時間がかかる模様だ。
スウェーデンの「グリムトン長波海岸局」を所有・管理するグリムトン世界遺産財団(Grimeton World Heritage Foundation)は、この火災について、「損害の範囲を確定し、修理を完了するまでしばらく時間がかかる。そのため今後の長波送信機SAQによる運用予定に影響を及ぼす可能性がある」と発表した。
同財団によると、運用予定があった10月24日の「国連デー」はSAQからの送信は今回行われない。SAQはこれまで「世界ラジオデー」「アレクサンダーソン日」「国連デー」「クリスマス・イブ」など1年間に数回、決まった日に長波17.2kHzでメッセージ送信の運用を実施してきた。
SAQには1920年代に製造された、旧式のアレキサンダーソン高周波発電機が設置され、かつては大西洋横断の無線通信に利用されてきた。現在では博物館的価値の骨董品となり、特別なイベント時に稼働するのみとなっていた。(ARRLニュース 10月18日 ※許可を得て抄訳転載/(C)ARRL )
●関連リンク:
・Antenna Fire Puts SAQ Alexanderson Alternator Station Off the Air(ARRL NEWS)
・ヴァールベリの無線局(ウィキペディア)
・Radiostation Grimeton SAQ(スウェーデン語・英語)
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