メディアの報道によると、何百マイルも離れた航空機や海中のターゲットを特定できる、より長距離のOTH(Over The Horizon)レーダーがロシアの北極圏で来年稼働を始める予定だ。しかしこのニュースは、1970年代と1980年代にアマチュア無線のHFバンドを襲った、いわゆる“ロシアのウッドペッカー”によって生み出された妨害が再び起きることを予告しているかどうかは疑わしい。
有名なOTHレーダーをモニターしている国際アマチュア無線連合(IARU)第1地域のモニターシステム(IARUMS)によれば、ここ数年間OTHレーダーはアマチュアバンドにおいて“当り前の侵入者”になりつつある。周波数ホッピングの技術によって広帯域にわたり干渉を与える原因となっている。
ロシアの「Konteyner RLS」OTHレーダーは、同国のNizhny Novgorod地域から送信され、20mバンド以上でしばしば混信を起こしている。ウッドペッカーではないが、周波数変調されたCW信号(帯域幅は80kHz以上)を1秒間に50回の掃引で広範囲に発射している。さらに信号にはスプラッターが付いていると、IARUMSコーディネーターのWolfgang Hadel氏(DK2OM)が報告している。
ロシア政府のラジオ局であるSputnikは「地域内で6つのOTHレーダー施設が動いている」というRossiiskaya Gazetaの新聞報道を引用して伝えている。同時にさまざまな戦闘機が利用できるできる滑走路が近くで再建されていると、同国のDmitry Buklgakov副国防相は語っている。また他のレポートでは、ロシアは中国にOTHレーダー技術を売り、類似したシステムが2018年に極東で展開されることを示しているという。
OTHレーダーは、広く離れた(250km)送受信のサイトを使用し、通常のレーダーの一般的な限界である水平線を越えて目標物を捉えることができる。送信アレイは幅440mで、36の各種エレメントで構成されている。また3つのセクションの受信アレイは幅1300m、高さ35mと言われている。(ARRLニュース 10月31日 ※許可を得て抄訳転載/(C)ARRL )
●関連リンク:New Russian Arctic Over-the-Horizon Radars Set for 2017 Startup(ARRL NEWS)
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