災害時の医療に携わる医療関係者や救急隊員、災害医療や防災業務に関わる組織などが参加する学会「日本集団災害医学会」の第22回総会・学術集会が、2017年2月13~15日に愛知県名古屋市の名古屋国際会議場で開催され、アマチュア無線に関する学会発表も行われた。
学会初日の13日、「大災害に備えた地域の取り組み」と題した市民公開講座のセッションで、愛知県東海市における行政・民間一体の取り組みが報告された。その中で東海市アマチュア無線非常通信協力会の竹内篤郎氏(JR2BNR)が「大規模災害時の通信手段をより盤石なものとするために-東海市におけるアマチュア無線とデジタル簡易無線配備の取り組み-」と題した発表を行った。
当日の発表抄録によると、発表の要旨は次のようなものだ。
「大規模災害時の通信手段の確保は極めて重要な課題である。東海市ではアマチュア無線とデジタル簡易無線双方の特徴を生かした整備に取り組んでいる。今回その現状について報告する。
アマ無線の使用には無線従事者資格や無線局免許を必要とし、電波伝搬、無線機の取扱いや運用方法の知識・技術の習得が必須となる。一方デジ簡の使用には無線従事者資格が不要であるがため、上記知識や技術の習得も疎かになるおそれがある。双方の無線には通信の相手方、通信事項、電波の形式、周波数や空中線電力等に自由度の差がみられるが、双方を共に配備することで欠点を補完し、長所を生かした運用が可能となる。
震災時には各種多様な通信手段が必要であることは論を待たない。東海市の防災危機管理室には行政無線・衛星携帯電話等のみならず、アマ無線機・デジ簡無線機を常設している。さらに全市挙げての取り組みとして、東海市医師会、東海市防災活動協力事業者協会等にアマ無線、デジ簡無線を配備・拡充を図っており、今後は市民無線ネットワークをさらに整備していく予定である」
この学会発表について竹内氏は、「今回はJR2SQX 中川 隆氏(日本集団災害災害医学会 名古屋大会会長)、JQ2JAQ 説田守道氏(伊勢赤十字病院 副院長)、JF2SYH 辻 隆一郎氏(東海市総務部長 防災担当)はじめアマ無線家皆さんの協力で発表を行うことができました。また地元のJG2GFX 種村一郎JARL副会長にも支援していただきました。
昨年の山形大会に続いて、今年はアマチュア無線の持つ潜在的な通信能力を、医学会の先生方に知っていただきたく発表しました。災害医学会は医師・医療関係者の多くがアマ無線を運用しています。災害時に無線が役に立つのは当然ですが、日頃のアマ無線運用技術が際立って高いことを皆さんに知っていただく発表にしました。アマ無線がなお一層、社会に認知されますように頑張って行きたいです」と述べている。
●関連リンク:第22回日本集団災害医学会総会・学術集会
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