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【取材動画つき!!】<日本における短波帯の電波監視の要>総務省 関東総合通信局「三浦電波監視センター」訪問リポート

総務省は毎年6月1日の「電波の日」から6月10日までを「電波利用環境保護周知啓発強化期間」、6月中を「不法無線局の取締り強化期間」として、全国で電波の正しい利用のPRや重点的な不法無線局の取締りを行っている。そこでhamlife.jpは、日本における短波帯電波監視の拠点である、総務省 関東総合通信局の「三浦電波監視センター」(神奈川県三浦市)を訪問し、短波帯の電波監視設備と現状を取材した。

 

 

関東総合通信局 三浦電波監視センターの入口。敷地内のログペリアンテナやパラボラアンテナが見える

 

 

 hamlife.jpでは地方総合通信局および沖縄総合通信事務所による「電波法違反による行政処分」の報道発表を逐次掲載している。その中には、短波帯を運用するアマチュア無線局による「免許が失効しているにもかかわらず、開設・運用」「指定を受けていない周波数や電波型式での運用」「使用区別(バンドプラン)違反」といった事案(JT65モードなどでの違反も多数)が含まれ、違反局数は増加傾向にある。

 

 これらの多くは短波帯以下の周波数の電波監視を行う、総務省 関東総合通信局 電波監理部の「三浦電波監視センター」による電波監視をきっかけとして違反が確認されたものである。そこで今回、関東総合通信局の協力で同センターを訪問、短波帯の電波監視設備と現状を取材した。

 

 三浦電波監視センターは、三浦半島の先端に近い三浦市初声町の小高い丘(標高約62m)に設置されている。面積24,882平方メートルの敷地は眺望が良く、晴れた日には西に相模湾越しの富士山、東は浦賀水道越しに房総半島が見える。

 

 同センターは1946(昭和21)年4月、中央電波観測所初声分室としてここに誕生したが、戦前は横須賀海軍工廠通信実験部の受信実験所だった場所で、電波監視におけるロケーションの良さは古くからお墨付きだった場所といえるだろう。

 

三浦電波監視センターは三浦半島の小高い丘に位置する。写真左奥が相模湾から富士山方向だ

 

 現在の三浦電波監視センターの業務は大きく2つある。1つは「国内外から到来する短波帯以下の周波数の電波を監視する業務(短波監視業務)」、もう1つは「人工衛星からの電波を監視する業務(宇宙電波監視業務)」だ。センターには「宇宙国際監視課」と「宇宙国際調査課」という2つの部署が設けられ、職員が敷地内の「本庁舎」と「宇宙電波監視庁舎」で監視・調査業務に従事している。

 

入口には三浦電波監視センターの施設説明が掲示されている。残念ながら同センターの一般公開は行われていない

 

 このうち短波監視業務は、1950(昭和25)年から日本で唯一、国際電気通信連合(ITU)の国際監視局に指定され、日本以外から到来する放送波や通信などの電波監視も行っている。ではまず三浦電波監視センターのアンテナ群から紹介しよう。

 

 

◆三浦電波監視センターのアンテナ

 

 三浦電波監視センターには短波帯以下の周波数を監視するため、7種類10基のアンテナを設置している。受信された電波は地中に埋設された同軸ケーブルを通って庁舎内に届き、空中線共用装置で「短波監査装置」の受信部と「電波スペクトル自動記録装置」に供給されている。また短波監査装置からの遠隔操作で監視周波数に応じたアンテナを選択することができる。ちなみにアンテナ類は常に最良の性能を発揮するよう、専門業者によって年に1度、定期点検が行われている。

 

 まず、敷地内のアンテナの全体像を撮り下ろし動画で見て欲しい。

 

 

【動画】関東総合通信局 三浦電波監視センターのアンテナ群 (画面をクリックするとスタート)

 

 

★回転型ログペリアンテナ(4~30MHz)、デルタ型アンテナ(2~30MHz)
 敷地内に3基設置されている。2基の三角タワーで支えられた太いマストパイプを、タワー基部にあるモーターで回転させている。ログペリアンテナの1基には、タワー頂部を使ってワイヤー式のデルタ型アンテナ(2~30MHz)も張られている。

 

敷地内には4~30MHzをカバーする回転型のログペリアンテナが3基ある。写真はそのうちの2基

もう1基のログペリアンテナにはタワー頂部を利用してワイヤー式のデルタ型アンテナが張られている

ログペリアンテナを支えるタワーの基部。アンテナ回転用モーターはここにあり、長いマストパイプを回転させている。ケーブル類は地中を通って庁舎内に引き込まれる

 

 

★無指向性ログペリアンテナ(4~30MHz)
 タワーの周囲4方向を使って、複数のワイヤーエレメントで構成された、珍しい垂直型のログペリアンテナだ。

 

タワーの周囲に張られたワイヤー式の無指向性垂直型ログペリアンテナ

 

 

★T型アンテナ(100kHz~4MHz)、垂直ダイポール(7~9MHz)、傾斜型アンテナ(3~30MHz)
 本庁舎に隣接して設置。2つの鉄塔の間に張られているのが100kHz~4MHzのT型アンテナで水平部の長さは約45m。鉄塔の中央部から斜めに降りているのが3~30MHzの傾斜型アンテナ(2組ある)、鉄塔に垂直に張られているのが7~9MHzの垂直ダイポールだ。

 

2つの鉄塔の間に張られているのが100kHz~4MHzのT型アンテナ。左の鉄塔には7~9MHzの垂直ダイポールと3~30MHzの傾斜型アンテナが見える

 

 

★宇宙電波監視業務のアンテナ類
 そのほか三浦電波監視センターには、静止衛星監視のためにL/S/C/Ku/Kaバンドをカバーする13m級パラボラアンテナが2基、バックアップ用にバンド別のパラボラアンテナが設置されている。
 また非静止衛星(周回衛星)の監視用として、60~450MHzをカバーするクロスログペリ2×2スタック、UHF帯用パラボラアンテナ、Xバンド用パラボラアンテナも設置されている。

 

本庁舎屋上から見た、宇宙監視業務用のパラボラアンテナ群。直径13m級の大型パラボラアンテナは2基ある

 

 

次ページではいよいよ室内へ! 「三浦電波監視センターの監聴室の設備」を紹介

 

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