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【取材動画つき!!】<日本における短波帯の電波監視の要>総務省 関東総合通信局「三浦電波監視センター」訪問リポート

 

(前ページからの続き)

 

三浦電波監視センターにおける電波監視の現状

 

 今回、三浦電波監視センターで担当者から伺った話を紹介しよう。
 同センターの電波監視業務には専門の職員(電波監視官)が交代で従事しており、特に重要無線妨害については24時間対応できる体制がとられているそうだ。

 

 短波帯は1992(平成4)年に船舶通信が衛星やデータ通信に移行して以来、国内の通信は減少傾向にあるが、それでもさまざまな用途で、多数の無線局や放送局が使用している。電波監視は、短波帯以下の周波数すべてを対象として行っており、もし違反局を確認した場合は、その電波を継続的かつ粘り強く監視を続け、発信者の特定を行っていくという。

 

 また、無線局の免許人や一般の方などから不法無線局等の申告があった場合は、監査を実施し、違反事実の確認に努めている。さらにバンドプラン等の制度改正の際には、それに対して優先的な監査も行っている。
 近年人気が高まっているJT65モードについては、申告を端緒に監査を始めたが、依然として1,838kHz、3,576kHzのオフバンド運用などの申告が多く寄せられているため、重点的に監査を実施し、違反者には行政処分を課すこともしているが、併せてJARLなどの関係団体の協力を得ながら、周知啓発・注意喚起にも努めているそうだ。

 

 このほかでは年間で10回ほど、放送バンドの監視を集中的に行い、各国の放送局がITUに登録した内容で送信を行っているか、さらには周波数偏差や電波の質などを精密にチェックしている。

 

 こうした電波監視業務には、電波スペクトル自動記録装置などもあるが、監視を行う職員(電波監視官)が実際に耳で聞いて、経験で判断するところが大きい。とはいえ「短波帯は高い周波数と違って電波伝搬で受信状態が変化します。そのため局の特定には時間が掛かるケースがあります。雑音の中から聞き分け、特定するのは大変です」という。
 しかも電波監視の場合、「聞くこと」が目的ではなく、不法無線局の発信源を特定することが求められる。そのためには測定器を持って何度も現場付近へ足を運ぶ必要がある。そこに職員のスキルが極めて重要であるという話が印象的だった。

 

DEURAS-Hの操作卓を使い、電波の発信地点を測定中。電離層反射で届く外国からの電波にも対応している

 

 また海外から発射される違法電波については、測定器を持って出向くことは不可能だ。こうした場合だが、「例えば短波帯の重要な無線に長時間妨害を与えているような電波があれば、DEURAS-Hで位置を絞り込み、本省(総務省)経由で相手国の主管庁に排除要請を行うといったことも行っています」という。短波帯の電波監視ならではの苦労だろう。

 

 ところで短波帯のアマチュア無線に関連した、年間の違反認知件数は増加傾向にあり、年間ほぼ50件程度だったものが、平成27年度には58件と近年で最も多い件数となっているそうだ。そこで担当者は「アマチュア無線局の免許人には、3点ほど注意喚起をお願いしたい」ということで下記の点を挙げている。

 

★注意点1
 無線局免許状は無線設備のある見やすい場所に掲示し、“うっかり失効”をしていないかを確認してほしい(「免許状をしまい込んでいたので、失効に気付かず運用を行った」という違反事例が多くある)。

 

★注意点2
 周波数は独占・占有せず、“譲り合い”をしてほしい。

 

★注意点3
 JT65モードはソフトウェアの設定に注意。ソフトウェア上の送信周波数の初期値が1,838kHz、3,576kHzのオフバンド周波数となっていることもあるため、十分に確認してほしい。
 また、7,076kHzでは、外国の局との交信は可能だが、日本国内の局同士は通信できない。JT65を運用する前は、バンドプランとソフトウェアの設定に誤りがないかを十分確認してほしい。

 

――もし違法運用を行ったアマチュア無線局を認めた場合、管轄の地方総合通信局(または沖縄総合通信事務所)が電話で免許人に連絡し「行政指導」を行うという。その状況によっては「規正文書」を免許人に送付して正しい運用を求めたり、免許人宅を訪問して任意の調査を実施することがある。そしてこれらを基に行政処分を決定しているそうだ。

 

 

 取材を行って、三浦電波監視センターの設備の巨大さと、職員が短波帯以下の電波監視を実にきめ細かく行っていることに驚かされた。アマチュア局の免許人は、監視されても問題がないよう、電波法に則って無線局免許状の記載事項に従った運用が求められるところだ。

(取材協力/総務省 関東総合通信局)

 

 

 

●関連リンク:
・総務省 関東総合通信局
・国際電波監視の概要(総務省 関東総合通信局)

 

 

 

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