総務省は2017年9月29日、「電波法施行規則等の一部を改正する省令案等に係る意見募集」を同日から10月30日まで行うことを報道発表した。アマチュア無線関連でも、無線局免許証票の廃止、無線局免許状の掲示義務廃止、無線局免許申請書などの様式変更、「固定局」における設置場所変更の検査省略要件の改定など、さまざまな内容が盛り込まれている。
今回の意見募集は、電子申請の普及促進を図るため、さまざまな無線局の免許申請書類を電子申請と様式を整えることや、無線局監理に関する規制緩和を行って、無線局に係わる各種申請や運用について免許人の利便性向上を図るための制度整備を行うというものだ。
内容は多岐にわたっているが、アマチュア無線に関連する主なものを列記する。
◆無線局免許証票の廃止
平成4年の郵政省令(電波法施行規則)でアマチュア局にも適用された無線局免許証票。「送信装置のある場所に無線局免許証票を備え付けなくてはならない」という規則が平成30(2018)年3月1日で廃止されることが改正案に盛り込まれている。
◆無線局免許状の掲示義務の廃止
これまでは電波法施行規則で「前項の免許状は主たる送信装置のある場所の見やすい場所に掲げておかなくてはならない。ただし、掲示を困難とするものについては、その掲示を要しない」と規定されていた。
今回の改正案では「船舶局、無線航行移動局又は船舶地球局にあつては、前項の免許状は主たる送信装置のある場所の見やすい場所に掲げておかなくてはならない。ただし、掲示を困難とするものについては、その掲示を要しない」となり、アマチュア無線局については無線局免許状の掲示義務がなくなる。
なお「無線設備の常置場所に免許状を備え付けなくてはならない」という条項は残る。これも平成30(2018)年3月1日の施行予定だ。
◆社団アマチュア局の理事・定款変更の関連
電波法施行規則43条4項の「社団(公益社団法人を除く )であるアマチユア局の免許人は、その定款及び理事に関し変更しようとするときは、あらかじめ総合通信局長に届け出なければならない。」とあるのを、改正案では「社団(公益社団法人を除く )であるアマチュア局の免許人は、その定款又は理事に関し変更しようとするときは、あらかじめ総合通信局長に届け出なければならない。」と改めるとともに、届出書の様式を明確化した。平成31(2019)年1月1日施行予定。
◆無線局免許(再免許)申請書の様式変更
平成31(2019)年1月1日から、無線局免許申請書の様式が変更され、プロもアマチュアも同じ「A4サイズ縦長」のフォーマットとなり、さらに免許申請書と再免許申請書も一本化されるという改正案だ。また無線局事項書や工事設計書も「A4サイズ縦長」のフォーマットになる予定だ。
◆「固定局」の設置場所変更で、変更検査を省略できる無線設備の要件改定
アマチュア局は「固定局(移動しない局)」の設置場所を変更する場合、無線局変更検査の対象となる。しかし空中線電力200W以下の局であれば、JARDやTSSの保証(いわゆる保証認定)を受けることで検査が省略されていた。
今回の改正案では平成30(2018)年3月1日から、空中線電力200W以下で「当該無線設備が適合表示無線設備のみで構成されているもの」も変更検査の対象外となる。すなわち“200W以下の技適機種”だけで構成されたアマチュア局であれば、設置場所の変更申請は地方総通局へ直接行え、変更検査省略で免許されることになる。
◆FD(フロッピーディスク)申請の廃止
インターネット利用の電子申請よりも早く、平成10年からスタートしたFD(フロッピーディスク)による申請制度が、平成30(2018)年3月1日で廃止されることが改正案に盛り込まれている。
改正案の詳しい内容、および意見の提出方法などは、下記関連リンクの「電波法施行規則等の一部を改正する省令案等に係る意見募集」(総務省)を参考のこと。また日本におけるアマチュア無線のコールサイン研究の第一人者、JJ1WTL 本林氏のブログでもこの改正案の詳しい解説が行われている。
●関連リンク:
・電波法施行規則等の一部を改正する省令案等に係る意見募集」(総務省)
・パブコメ募集:施行規則など改正(CIC:JJ1WTL 本林氏のブログ)
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