東京・銀座の中心である銀座4丁目交差点。昭和7(1932)年に建てられ、ランドマークとしてもおなじみの時計塔のある建物、宝飾品などを扱う「和光」のウィンドウディスプレイは、季節ごとに趣を味わえる内容で多くの通行人の目を楽しませている。2017年11月2日から、このウィンドウディスプレイにロボットが大きな雪男にクリスマスイルミネーションを取り付けているシーンが登場。ロボットたちは“モールス信号”で会話していることから、モールス通信を楽しむ愛好家の多いアマチュア無線家の間で話題になっている。
【追記:NHKで架設の様子を放映】2017年12月3日(日)19時
ロボットが大きな雪男にクリスマスイルミネーションを取り付けているシーンが登場する、今回の和光ウィンドウディスプレイ「超」の飾り付けの様子が、NHKが火曜日20時15分から放映している、 「働くオトナは腹が減る!サラメシ」の「勤労感謝の日スペシャル」の回で放映されていたことがわかった。
すでに本放送、再放送ともに飾り付けを紹介した回は終了しているが、「NHKオンデマンド(有料)」でチェックすることができる。興味のある方はいかがだろうか。
モールス符号で話題になっている和光のウィンドウディスプレイのタイトルは「超」。以下、同社ホームページから。
2045年には、AI(人工知能)が人類の知能を超えると予測されています。
AIはどんな未来をもたらすのでしょうか。
冬のウインドウには、寒冷地で働くロボット達が登場します。
彼らは雪深い森でクリスマスの飾り付けを行なっていますが、どうも様子がおかしいことに気がつきます。
雪に覆われた大樹と思われたものは、どうやら雪男の脚のようなのです!
AIを搭載したロボットたちも人間のよう時には慌てたり、失敗したりと、ユニークな存在であるように願いたいものです。
アートディレクター:武蔵 淳
制作を担当したアートディレクターの武蔵 淳氏によると、
「今回のホリディシーズンのウインドウディスプレイは、子供たちを含む、より多くの方に楽しんでもらえるものを目標にしています。
登場しているのは、働くロボットたち。クリスマスの飾り付け作業をしているシーンです。AI(人工知能)が注目され、将来は人間たちの仕事の多くをロボットが奪ってしまうと言われるなか、少しポンコツな面を持ち、人間味あるロボットに演出しました。ロボットたちは、少しレトロで人に安心感を与えるカタチです。
また、和光の時計塔をモチーフとし、顔は文字盤のように丸く、てっぺんには避雷針を付けています。それぞれにメーターやキーボード、ランプなどあしらい、個性的に装っています。
そこで、“ロボットたちの会話をモールス信号にすると面白いのでは”と発想しました。
制作チームの一員で、メカを担当している方が、アマチュア無線技士の資格をお持ちだったので、モールス信号音の作成を依頼しました」と語っている。
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気になるのは、モールス信号でどんな電文を送っている(会話している)のかという点だろう。
動画でお聞きいただければわかるとおり、このモールス信号は欧文で「HR HR BT MERRY Christmas(メリークリスマス) AR」、音楽が流れ続けて「UP DOWN LEFT RIGHT UP DOWN LEFT RIGHT UP UP DOWN LEFT RIGHT」と読み取れる。
最初の「HR HR BT」は“これから本文を送ります”という前置符号で、本文に続く最後の「AR」は送信終了を意味する符号だ。さすがは制作にアマチュア無線家が関わっているだけあって、きちんとした電文送出ルールによるモールス信号であることに驚く。
モールス信号のスピードは、「HR HR BT MERRY Christmas AR」は中級レベル(かつての2アマ国試レベル)の45~50文字/分。ディスプレイ右側のロボット手間にあるボタンを押す前の待機中に聞こえる「UP DOWN LEFT RIGHT…」は、上級レベルの70~80文字/分に設定されているという。
細かく見ると、足をくすぐるロボットにたまらず右足を動かす雪男や、いろいろな作業をするロボットも微妙に動きをコントロールされていることがわかる。また、全体の構成としては2種類のパターンがあり、ロボットの動作に合わせて背景の照明やロボットの光による表情も変化。夜、ライトアップされたディスプレイもきれいだ。
今回のウインドウディスプレイ「超」の展示期間は、11月2日(木)から12月25日(月)まで。22時以降はシャッターが下りるため、その間は見られない。
ぜひ、現地に行ってロボットたちのモールス会話を楽しんでみてがいかがだろうか。(取材協力:株式会社 和光)
和光の時計塔をモチーフに顔は文字盤のように丸く、てっぺんには避雷針を付けているロボットたち
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