一般社団法人 日本アマチュア無線連盟(JARL)は2017年12月8日、東京・麹町のホテルで年末恒例の行事「アイボールミーティング」を開催し、総務省や関連団体、アマチュア無線業界、JARL関係者など約140名の参加で賑わった。同行事にはJA1LXGのコールサインを持ちJARL会員でもある小渕優子衆院議員と、“応援団”を自認する逢沢一郎衆院議員も出席した。
JARLは従来、会員やアマチュア無線関係者などによる会費制の「アイボールミーティング」を毎年12月に開催してきた。一般社団法人に移行後の2011年から2015年は開催が途絶えたが、昨年から同行事が復活、会場のホテルルポール麹町(麹町会館)マーブルルームには今年も約140名が出席した。
開会のあいさつで、髙尾義則JARL会長(JG1KTC)は『アマチュア無線は東日本大震災の折にはライフラインが途絶する中、通信手段として大活躍したことは記憶に新しい。しかし近年、アマチュア無線を取り巻く環境は日々変化し“若年層の愛好家”が減っている。このことは若い世代の理科離れ、将来の日本の科学立国に影響を及ぼすのではないかと懸念している』とした上で、『当連盟では昨年から、魅力あるアマチュア無線を若い方に興味を持っていただきたいと考え、22歳未満の皆さんを対象に1年間会費無料で会員サービスを提供する「青少年お試し入会キャンペーン」を開始し、多くの方に入会いただいた。1年を経過し2年目に入り、会員を継続する方も3割強にのぼる。おかげさまで今年度はJARL会員数も“減少”から“微増だが上昇”へ転換の方向性を示している。これもひとえに出席者の皆様のお力添えの賜物と厚くお礼申し上げたい』『連盟としても引き続き若い方々へアマチュア無線の啓発活動、次世代へのアマチュア無線連盟の継承など、より一層努めて充実を図っていく所存だ。ぜひ引き続きお力添えをお願いしたい』と述べた。
また今回は2名の自民党国会議員が来賓として出席した。このうちJA1LXGのコールサインを持ち、JARL会員でもある衆議院議員の小渕優子氏は、『昨年もこの会に出席させていただいたが、1年ぶりにお目に掛かれ嬉しい』『今年の夏は「ハムフェア2017」に出席させてもらった。たくさんの皆さんが集まり賑やかに開催していたのには驚いた。私も会場でモールス信号にトライした。すごく簡単に見えて“絶対できるだろう”と思ったが、やってみると結構できなくて難しいものだとわかった。しかし熱気溢れる対象であり、こうしたものが皆さんの力で楽しまれ、親しまれているところを大変嬉しく思った』『“青少年の理科離れ”“アマチュア無線になかなか若い人が興味を持たない”という話があったが、JARLの皆さんのご協力で若い皆さんを取り込むアイデアが出ていることを聞き心強く思う。皆様のそうした取り組みに、私の父、小渕恵三(JI1KIT)に続き、私も皆様方を今後もしっかり応援していけるよう頑張っていきたい』と述べた。
また衆議院議員の逢沢一郎氏は『私はアマチュア無線の免許は持っていないが、皆さんのいわば“応援団”を自認している。上手で適正な電波の利用について、多くの皆さんに感心を寄せてもらい、理解が進んで欲しいと思っている』『電波利用はどこの国にとっても重要なテーマである。無線電波の利用が、産業や生活や安全の確保や緊急事態の対応を担っている。日本には技術を磨いてきた歴史もある。お互いが誇りを持ちながら国を前に進めていきたい。大いに電波利用とアマチュア無線の世界を盛り上げていきましょう』とあいさつした。
このほか、総務省 総合通信基盤局 電波部移動通信課長 杉野 勲氏は『私も今年の「ハムフェア2017」に参加した。昨年よりも2,000人多い、過去最高の39,000名が来場したということは、長きにわたってアマチュア無線を支えてきた皆さんの力の表れだろう。今年のハムフェアは、子供向けのいろいろな催しがいろいろあったのが興味深かった。それがJARL会員が少しずつ増えるという結果に還ってきたのだと思う』『青少年の育成活動は重要で、総務省でもリテラシー向上のため「電波教室」の開催などを行っている。秋葉原でJARLが行った「WAKAMONOアマチュア無線イベント」も、JARLと地方本部が一体になって行ったと言うことも聞いており、私たちも応用させてもらえればと思っている』と述べた。
さらに杉野氏は2020年の東京オリンピック・パラリンピックに関連し、『今後も無線は混雑し増える一方なので、総務省では「電波有効利用成長戦略」を検討する懇談会を開催し、新しい無線の使い方を話しあっている。2020年の東京オリンピック・パラリンピックのときには一番優れた新しい無線のシステムを世界中の皆さんに紹介できるように準備を進めたいと思っている』『東京オリンピック・パラリンピックの際に“アマチュア無線の記念局”についてのお話もチラチラ伺っているので、ご要望をちゃんとお聞きし準備を進めたいと思っている。これからもJARLやアマチュア無線家の要望をお聞きしながら、総務省としてもアマチュア無線の発展に資する制度として努力していきたい』と表明した。
またJAIA(日本アマチュア無線機器工業会)の相神一裕会長は『JAIAとしても、JARLの皆様やJARL会員の皆様と一緒に、アマチュア無線と業界をますます盛り上げていきたい』と述べた。
アイボールミーティングの後半では、髙尾会長と演歌歌手の水田かおり(JI1BTL)がプレゼンターとなった「お楽しみ抽選会」が行われ、年末ジャンボ宝くじや日本酒、おせち料理セットなどが当選者に贈呈された。
最後は前JARL会長の山之内俊彦氏(JA7AIW)が、来年3月11日に仙台市で開催する「東北復興アマチュア無線フェスティバル」のPRと、その後の3本締めを行い、約1時間45分におよぶアイボールミーティングが終了した。
●関連リンク:JARLアイボールミーティング開催される(JARL Web)
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