関東総合通信局は、主として都や県をはじめとする管内の地方公共団体との防災に関する総合窓口業務を担うことを目的に、2012(平成24)年8月1日に「防災対策推進室」を設置し、情報通信技術(ICT)を利活用した防災、および減災のための施策・対策を推進している。同室が作成した「災害時に活用できる情報伝達手段」には、防災行政無線の整備や臨時災害放送局の運用とともに、災害時に備えた協定として地域アマチュア無線クラブなどとの「災害協定等締結」を推奨。資料で紹介されている「応援協定書」のサンプルは、締結を進めるうえで参考になるだろう。
総務省関東総合通信局防災対策推進室が作成した「災害時に活用できる情報伝達手段」マニュアルには、「東日本大震災の教訓から、災害時における情報伝達手段の多様化・ 多重化の必要性が強く求められています」と説明がある。
「災害時に活用できる情報伝達手段」概要
1 災害時における防災関係機関の情報連絡
1-1 防災行政無線の整備及びデジタル化1-2その他(MCA無線局、簡易無線局、衛星携帯電話等)
2 災害時における住民への連絡手段
2-1 臨時災害放送局
2-3 Lアラート(災害情報共有システム)
2-4 災害・避難情報の一斉配信サービス
2-5 災害用伝言サービス
3 災害対策時における総合通信局の支援
3-1 災害対策用移動電源車の貸与
3-2 災害対策用移動通信機器の貸与
3-3 非常災害時における臨機の措置
4 災害時に備えた協定
4-1 災害協定(放送関係)について
4-2 災害協定(アマチュア無線関係)について
マニュアルは大きく「災害時における防災関係機関の情報連絡」「災害時における住民への連絡手段」「災害対策時における総合通信局の支援」「災害時に備えた協定」の4項目で構成され、最後の「災害時に備えた協定」には、放送関係とともに地域アマチュア無線クラブなどとの「災害協定等締結」を紹介。
「東日本大震災にあたっては、被災地となった地方自治体が地域アマチュア無線クラブ局と災害協定を結んでいたことにより、クラブ局からの協力が最大限に得られ、避難所からの物資調達等の最新の情報、市内巡回による被災状況等、リアルタイムな情報の提供により、救援・救助活動が混乱なく円滑に行われたとの報告もあります」と明記している。
あらためて、災害時におけるアマチュア無線の有効性と、地域クラブなどの活動の重要性がわかりやすく書かれ、地方公共団体との防災に対する意思統一に役立つだろう。
<ボランティアという位置づけだが、免許人が状況に応じて柔軟に>総務省、「アマチュア局による非常通信の考え方」を公表
<「アマチュア無線の活用体制を整備」と明記>総務省、防災関係業務に携わる者を対象とした「非常通信確保のためのガイド・マニュアル」を公表
↓この記事もチェック!
<県内初の取り組み>佐賀県の伊万里アマチュア無線非常通信協力隊、地元警察署と「災害発生時等における情報通信活動に関する協定」を締結
<新庁舎の災害対策センターにアマ無線局を開設>東京都豊島区、「豊島区アマチュア無線協議会(JJ1YXM)」と大規模災害発生時における協力協定を締結
<大規模災害におけるアマ無線活用>JARL岡山県支部、県内11自治体と災害時の応援協定を結ぶ!と山陽新聞が報道
災害時における情報伝達手段として、函南町(静岡県)が地元ハムクラブと連携をスタート!と静岡新聞が報道
<救急車の手配などアマ無線を使い登録員宅から市へ連絡>4月1日から「逗子市災害時通信ボランティア登録制度」がスタート
<町役場と災害時応援協定を締結>9月14日、千葉県山武郡横芝光町防災訓練で地元クラブ局「JQ1ZHO」が公開運用
<地元タウン情報が報道>名張アマチュア無線クラブ(JE2YCR)、名張市役所と「災害時の情報収集に関する協定」を締結
朝日新聞、和歌山県警和歌山北署が初めてアマチュア無線家らを交えた実践的な災害警備訓練を行ったと報道
<通信分野で初めて>岩手県、JARL岩手県支部と「災害時における支援協定」を3月10日に締結
高知新聞、高知県医師会が災害時の通信手段確保のためアマチュア無線の資格取得を推進と報道
諏訪地方のアマチュア無線家、災害時医療通信支援で総合防災訓練に参加
<3.11 東日本大震災発生時のアマチュア無線>総務省はJARLに「被災地の通信確保のためアマチュア局の積極的活用」を要請
●関連リンク:関東総合通信局 災害時に活用できる情報伝達手段(PDF形式)
●いったん広告です: