米国ニューヨークにある国連本部のアマチュア無線クラブ「4U1UN」は独立した1エンティティーとして扱われ、Club LOGのMost-Wanted DXCCリストでは34位にランキングされている。しかしビーコン電波を除くと2015年から運用が途絶え、同年秋に国連創立70周年の記念局「4U70UN」が施設内にある地上庭園からオンエアしたのが最後となっている。だが、この状況はもうすぐ変わるかもしれない。4U1UNは運用再開に向けて準備を進めている。
かつて国連ビル内にあった4U1UNのオペレーションルームは大規模な建物改修工事のために2010年に解体され、無線機器は搬出、屋上のアンテナは取り外された。しかし改修後は部屋を割り当てられることがなかった。
国連アマチュア無線クラブ(UNARC)会長で国連職員のJames Sarte氏(K2QI)は「官僚主義が4U1UNの運用再開における障害になっている」と述べている。「ビーコンの運用を再開できるように管理とセキュリティを確保するだけで、何年もの時間がかかった。2001年の“9.11”以降、セキュリティはより厳しくなり、改修工事が完了したとき、職員はもはや事務総長のフロアのいかなる活動にも参加できなくなった」。
4U1UNを再開するための交渉は数年前から続いているが、元どおりに別館の41階から職員が運用するという計画は実現不可能で、「国連放送から放送ブースの貸与を受け、リモート運用を行うことを考えなくてはならない」と同氏は説明している。「最近、それを実現できる新しい機器(K3、ACOM2000リニアアンプなど)がクラブに寄付され、それらの機器やネットワーク機器が現在設置されている。私たちはまた、リモート運用に必要な専用のクローズドネットワーク回線も持っている」と述べている。
Sarte氏は「残るミッションは屋上にアンテナを設置しテストを始めることだ」と述べている。これは近く実行されるだろう。「4U1UNの復帰を待っている人は多い。しかし国連の管理部門による協力は長年にわたって減少していることを理解してほしい。ここまでの進捗を得るためには、多くの根回しや交渉必要だった」と話す同氏は、仕事の負荷が増え、資金も逼迫しているとしながらも「4U1UNがまもなく復活することを約束する」と結論づけている。(ARRLニュース 2018年8月8日 ※許可を得て抄訳転載/(C)ARRL )
<hamlife.jp追記>
4U1UNのFacebookページによると、このほど国連ビル事務棟の屋上(地上高155m)に新品のバーチカルアンテナ(SteppIR社の「BigIR」)が建設された。
●関連リンク:
・4U1UN UN Amateur Radio Club Operation Could Resume Later this Year(ARRL NEWS)
・United Nations Amateur Radio Club 4U1UN(Facebookページ)
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