2018年9月2~8日、韓国の束草(ソクチョ)市で「第19回世界ARDF選手権大会」が開催され、28の国と地域から300名を超える競技者が参加した。JARLが派遣した日本選手団も4つの競技に参加し、M70クラスでJH5FUL松浦孝行さんが1位に、同クラスのチーム対抗でも日本が1位になるなど優秀な成績を収めた。関係者からhamlife.jpに寄せられた写真とリポートを紹介しよう。
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2018年9月2日~8日、「第19回世界ARDF選手権大会(19th World ARDF Championships)」が韓国東北部の日本海に面した都市、江原(カンウォン)道束草(ソクチョ)市で開催されました。28の国と地域から300名を超える競技者が参加し、JARL派遣日本選手団は27名の選手、2名の国際審判・審判オブザーバー、6名のサポーター等で編成されました。「クラシック競技」の2競技、「FOXオーリング競技」「スプリント競技」の合わせて4つの競技で競いました。
最初の「FOXオーリング競技」は微弱な送信出力のTXが使われ、競技地図に示された地点に行くと受信できるというオリエンテーリングに近い新しい競技です。日頃からオリエンテーリング大会でも活躍しているM60クラスのJR1EYZ 大野政男さんが4位と上位に入りました。そして、3位とは3秒差、1位とは53秒差と僅かにメダルに手が届かなかったという惜しいものでした。
FOXオーリング競技(9月4日)の模様
続いて9月5日の「クラシック第1競技」は、リタイア者と自力でフィニッシュはしたがタイムオーバー者が続出する厳しいコースでした。リタイアを覚悟した競技者は国を超えて自然と集結し共同で対処しました。世界大会では携帯電話などの通信機器の携行が禁止されていることから、地元民を見つけたら韓国語で書かれたヘルプカードを示して大会本部へ連絡してもらい回収を待ちました。競技者は無理をせずにリタイアを決断したことで捜索騒ぎもなく競技は順調に進行しました。
厳しいコースの競技でしたがM70クラスでJH5FUL 松浦孝行さんが1位に、チーム対抗でも同クラスで日本が1位になりました。日本選手団員は表彰式で君が代が流れると目頭を熱くしながら熱唱し、「いつか自分も世界大会で君が代を!」という思いを強くしました。チーム対抗はクラシック競技だけにあるもので、各チーム上位2名の成績を合算して順位が決められます。圧倒的な成績で優勝した競技者がいてもチーム対抗ではメダルを獲得できないこともあります。優秀な1名だけでは上位にはなれないことから、選手層の厚さが求められるものです。
9月6日の「スプリント競技」は各TXの1回の送信時間が12秒間、競技所要時間が30分前後とスピーディな競技です。第17回大会(2014年、カザフスタン)から公式競技になった新しいARDFの遊び方です。日本ではベテラン競技者であっても経験が少ないことから、強化練習会を開催して大会に挑みましたが、上位に入れませんでした。しかし、日本選手は全員が時間内にフィニッシュしましたので今後の競技力向上が期待できます。
スプリント競技(9月6日)の模様
9月7日、最後となる「クラシック第2競技」は標準走行距離は長かったのですが、それほど厳しいコースではなかったようで競技者は順調にフィニッシュを続け、リタイア者とタイムオーバー者は僅かでした。日本選手は全員が制限時間内にフィニッシュしました。この競技でも松浦さんは3位と活躍し、チーム対抗も3位とメダルを獲得しました。
クラシック第2競技(9月7日)の模様
日本代表選手は昨年の「全日本ARDF競技大会」での成績優秀者から選考されました。ほとんどが国際競技大会の出場経験があり、高校生中心のW19/M19クラスの選手も半数が昨年開催の「第3地域ARDF選手権大会」(モンゴル)出場者であることから、今回の好成績は国際大会出場を続けてきた成果です。また、韓国開催で時差がないことから旅の疲れが少なく、競技地域の植生が日本と似ていることも有利に働きました。
全ての競技を終えた最後の夜は夕食を兼ねたさよならパーティー。一緒に写真撮影、プレゼント交換などと各国選手と親睦を深め、次の大会での再会を約束しました。
北朝鮮を望むことができる非武装地帯「高城統一展望台」の模様、大会記念局「HL19ARDF」の運用風景は次ページに掲載!!
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