アイコム株式会社は2018年11月4日、札幌市で開催された「北海道アマチュア無線セミナー2018」(JARL北海道地方本部主催)で、新製品の144/430/1200MHz帯オールモード機「IC-9700」の全貌を紹介する講演を初めて行った。当日、スクリーンで紹介された内容を抜粋で紹介しよう。
アイコムのIC-9700は昨年の「ハムフェア2017」会場でモックアップが展示され、今年の「ハムフェア2018」では正式に開発発表と試作機の展示が行われた144/430/1200MHz帯のオールモード機だ。同社のHF/50MHz帯機のIC-7300と同一デザインの筐体で、144/430MHz帯までダイレクトサンプリング方式を採用(1200MHz帯はダウンコンバージョンIFダンプリング)、FM/SSB/CWモードだけではなく、AMモードやD-STARのDV(音声)/DD(高速データ)モードにも対応、1200MHz帯もオプションではなく実装(10W出力)していることなどが注目を集めているが、これまで機能の詳細は未発表となっていた。
11月4日に行われた「北海道アマチュア無線セミナー2018」では、同社の高岡氏が「ダイレクトサンプリングはついにV/UHFの世界に ~IC-9700の魅力をご紹介~」と題した約40分間の講演を行い、一般向けに初めて同機種の詳細を公表した。この講演の際にスクリーンで紹介された内容を抜粋で紹介していこう。
まずIC-9700について高岡氏は「世界初となる144/430/1200MHz帯を実装したオールモード機となる」と紹介。「HFからV・UHF帯までを1台に収めたマルチバンド機が市場に多数出ているが、V・UHF帯の操作性は必ずしも良いとは言えなかった」「1200MHz帯は天頂衛星の“みちびき”が1200MHz帯アマチュア無線バンドの一部周波数に被っていることから、今後の1200MHz帯アマチュア無線バンドをどうするかという実証実験が数年間にわたって行われ、その結果“レピータ局は1Wに減力するが、一般のアマチュア局は10Wで運用して構わない”という指針が出たことから、ようやく1200MHz帯を標準搭載した無線機を開発できるタイミングが来たということで開発を正式に始めた」と開発経緯を説明した。なお「1200MHz帯のAMモードに対応したモデルはアイコムとしては初めて」ということだ。
特徴としては「消費電力を抑えたエコな無線機であること」を真っ先に挙げた。受信待受時は1.2A、受信最大出力時は1.8A以下、送信時最大が15A以下で、発熱もIC-910/911と比較して非常に少ないという。またサイズは240W×94H×238Dmm、重量4.7kg、周波数安定度は±0.5ppm以内となっている。
回路構成は送受信ともダイレクトサンプリング方式を採用(144/430MHz帯)。回路構成がシンプルになったことでコンパクトサイズとなり、高級機に匹敵する高性能なリアルタイムスペクトラムスコープを実現できた。部品点数も少なくなったことで「少しはお求めやすい価格にもなる」という。
またIC-7300同様に4.3インチのフルカラータッチパネルを搭載。異なるバンドの2波同時受信が可能(例えば430MHz帯のDVモードと、1200MHz帯のDVモードの同時受信も可能)。さらに430MHz帯で送信しながら144MHz帯で受信といった「テレホンスタイル」の同時送受信も可能なので、衛星通信にも威力を発揮する。ただし同一バンドの2波受信には対応していない。
IC-9700の内部写真(パワーアンプ)、D-STAR関連の特徴、価格と発売時期など、続きは次ページへ!!
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