アイコムのHF/50MHz帯オールモード機、IC-7300。240W×94H×238Dmm/重量約4.2kgというデスクトップタイプの無線機を、高校1年生(15歳)のアクティブなハムが“肩掛け運用/縦置き運用が可能なポータブル仕様”に改造した。工夫と情熱が光るその無線機(ご本人は「IC-7300ハンディ」と命名)の全貌を紹介しよう。
「IC-7300ハンディ」を製作したのは、愛知県のJS2AVK 濱島 守さん(15歳、高校1年生)。ご本人はその改造に至る経緯をこう語っている。
「最初はHFで移動運用をしたくて、FT-817やFT-857を見ていたのですが、固定でも使いたいので、ある程度コンパクトで50W出せて多機能な無線機が欲しいと思い、購入したのがIC-7300Mでした。重さも4kg台と軽いので“持ち運べるな”と感じました」
東京・秋葉原で12月16日に開催された「IC-9700プレ視聴会」の会場で、濱島さんに「IC-7300ハンディ」を見せていただいた。
IC-7300の両側面にアルミ板を固定して取っ手を付け、そこにカメラ用のキャリングベルトを取り付けている。フロントパネル下部にはL字に折り曲げたアルミ板を固定し、BNCタイプの外部アンテナ端子を設けた。驚いたことに、全体がすっぽり収まる合皮製のキャリングバッグも濱島さんの自作だそうだ。
キャリングバッグを外すと、その全体像がわかる。IC-7300の背面(底部)にはアルミ板をコの字に加工してバッテリーの収納スペースを設け、取り外しが容易にできるようにパッチン錠(キャッチクリップ)で側面のアルミ板と固定している。バッテリーはラジコン用のリチウムポリマー電池(11.1V 5200mAh)を利用した。
濱島さんは、製作で苦心した点について、「始めは、IC-7300側面のモービルブラケット用の穴を左右1つずつだけアルミ板を固定していましたが、穴に負担が掛かると指摘を受けたので、横にアルミ板に4つ穴を開け、4つの穴に重量が分散するようにして負担を軽減しました。しかし、アルミ板の厚さが1.5mmと薄かったので浮いてしまいました。そこからまた改善して、アルミ板を3mmに変更。ついでに下部にバッテリーを入れられるようにして、縦置きしながら運用できるようにしたのが現在のスタイルです」と説明してくれた。
実は濱島さんのIC-7300ポータブル化の改造は「月刊FBニュース」の2018年11月号にも掲載されている。しかし、その記事と比較してみると縦置き運用を可能にするなど“さらなる進化”を遂げていることがよくわかる。使いやすさを追求し、今でもコツコツと改良を続けているのだ。
ちなみにホイップアンテナは、しながわハンコ倶楽部の「GAWANT(ガワント)」。14MHz帯以上で同調が取れるアンテナだが、50W出力には耐えられないのでQRP運用となる。現在使用しているリチウムポリマー電池の場合、5W出力で約2時間のオペレートが可能という。
笑顔で取材に応じてくれた濱島さん。イベント参加後は「IC-7300ハンディ」を持って、友人たちと秋葉原の街に繰り出していった。
●関連リンク:IC-7300ポータブル仕様(月刊FBニュース)
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