災害時の医療に携わる医師、看護師、救急隊員ほか各職種の個人や研究者、災害医療や防災業務に携わる組織などが参加する「一般社団法人 日本災害医学会(JADM)」は2019年3月18日から20日まで、鳥取県米子市で「第24回日本災害医学会総会・学術集会」を開催し約2,100名の学会員が参加した。今回はアマチュア無線の災害に対する有用性に関連した発表が4件行われた。
「第24回日本災害医学会総会・学術集会」で行われた、アマチュア無線の災害に対する有用性に関連した発表は次のとおり。
★一般演題(口演)「災害時におけるアマチュア無線の有効性と問題点」
関東労災病院/早野大輔、矢尾 淳
日本赤十字看護大学/高田由紀子
★一般演題(口演)「デジタルアマチュア無線(D-STAR)通信を用いた災害緊急医療情報伝送実験」
東海大学医学部看護学科/大山 太
社会医療法人近森会 近森病院/井原則之
谷 暢子
順天堂大学医学部附属練馬病院/杉田 学
★一般演題(ポスター)「大規模災害時の通信手段の確保-三重県および伊勢志摩地域の取り組み」
日本赤十字社 伊勢赤十字病院 救命救急センター/説田守道
松阪市民病院 救急部/谷口建太郎
三重県厚生連 鈴鹿中央総合病院 臨床工学科/向井慎治
伊勢赤十字病院 医事課/竹野祐輔
★一般演題(ポスター)「アマチュア無線(D-STAR)を使った災害時画像伝送の有用性について」
東海市非常通信協力会 会長、東海市非常通信協議会/竹内篤郎(JR2BNR)
日本赤十字社 伊勢赤十字病院 救命救急センター長/説田守道(JQ2JAQ)
名古屋第二赤十字病院 院長/佐藤公治(JR2TDE)
愛知医科大学 名誉教授 災害医療研究センター/中川 隆(JR2SQX)
このうち「アマチュア無線(D-STAR)を使った災害時画像伝送の有用性について」について、同学会に参加した関係者から届いた情報から抜粋で紹介しよう。
日本災害医学会総会は2016年は山形市、2017年は名古屋市、昨年は横浜市で開催されました。毎年ほぼ同じようなメンバーでアマチュア無線(D-STAR)の災害に対する有用性を報告してきました。
今回、我々はD-STARの画像通信における最適な条件を求め、JARL愛知県支部の訓練の中で使用に耐えるかどうかを検証しました。
D-STARの無線機とスマートフォンを接続し、画像の大きさと解像度が異なる9通りのデータを送り、送信時間や画像の質等の最適条件を求めました。その結果は以下の通りです。
・640ドットであれば10ptまでの文字が読め、送信時間は3分半程度かかる。
・320ドットであれば20ptまでの文字が読め、1分程度で送信することができました。
・画質を落とせば13秒程度で送信可能、この場合は70pt以上の文字となります。
カラー画像では、320ドット以上の画質であれば傷病者の顔色や表情を判断できる画像を1分程度の送信時間で送れます。D-STARによる画像伝送をする場合は、これらの設定を理解して通信すると効率の良い情報伝達ができます。
また昨年10月28日、JARL愛知県支部(東海市非常通信協力会主管)の通信訓練時に実用実験を行いました(愛知県・東浦町共催 津波訓練会場→知多郡東浦町、JARL訓練会場→東海市役所屋上)。
現場での条件の悪い場合の送受信ではレピータを経由してもデータの欠落(ドット抜け)が発生する場合があります。電界強度を強くする等の工夫も必要ですが、同じ情報を繰り返し送信することにより欠落を補完して通信することもできます。
結語としては「D-STARを使った画像伝送は、音声による通信を補完する有用なツールとなる」となります。
●関連リンク:第24回日本災害医学会総会・学術集会
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