宇宙空間からアマチュア無線による交信のパイオニアとなったW5LFL オーウェン・ギャリオット(Owen K. Garriott)氏が2019年4月15日に88歳で亡くなった。同氏はNASAの宇宙飛行士として活躍。スペースシャトルからの「SAREX(the Shuttle Amateur Radio Experiment)」や、その後の「ARISS(Amateur Radio on the International Space Station)」といった、宇宙で行うアマチュア無線活動を正式に確立することを導いた。
ギャリオット氏のNASA時代の同僚で、アポロ11号の月着陸船パイロットとして人類初の月面着陸に貢献した元・宇宙飛行士のバズ・オルドリン(Buzz Aldrin)氏は、「オーウェン・ギャリオットは親友で、素晴らしい宇宙飛行士でした。私は、彼が今日亡くなったということを知り、大きな悲しみを感じている」と哀悼の意を示した。
オクラホマ州の電気技術者だったギャリオット氏は、1973年に宇宙ステーションの「スカイラブ」で2か月間活動した。宇宙から初のアマチュア無線交信を行ったのは1983年のスペースシャトル・コロンビアのミッションとして「スペースラブ1」で10日間活動したときだった。宇宙船の窓にアンテナを貼り付けた2mのハンディ機で運用し、アメリカ西海岸上空で出した最初のCQには多くの局が応答、初交信はモンタナ州のWA1JXNとの間で行われた。
ギャリオット氏は宇宙空間から世界中の局と交信したが、その中には、ヨルダンのフセイン国王(JY1)や、米国の故バリー・ゴールドウォーター上院議員(K7UGA)などの著名人もいた。彼はまた宇宙からの最初のCW交信も行った。ギャリオット氏は宇宙からのハム活動を「楽しい娯楽」と呼び、1984年2月のQST誌に掲載されたインタビューでは「私は勤務時間外にアマチュア無線活動を行うことに成功した。それは本当に楽しい経験で、交信するのは嬉しかった」と述べている。
ギャリオット氏の息子の1人、W5KWQ リチャード・ギャリオット(Richard Garriott)氏はゲームクリエイターで、パソコン用のロールプレイングゲーム「ウルティマ」シリーズの作者として知られているが、2008年10月にソユーズ宇宙船で国際宇宙ステーション(ISS)へ旅行し、米国人で初めて“親子ともども宇宙に行った家族”となった。この宇宙旅行の際、もちろんリチャード氏もアマチュア無線機を持ち込んだという。(ARRLニュース4月15日 ※許可を受けて抄訳/(C)ARRL)
●関連リンク:
・Amateur Radio in Space Pioneer Astronaut Owen Garriott, W5LFL, SK
・W5LFL/STS-9 ※録音した音声あり(CIC:JJ1WTL 本林氏のブログ)
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