4年に一度開催される全世界のスカウト最大行事「世界スカウトジャンボリー」が、2019年7月24日から8月1日まで米国ウエストバージニア州のサミット・ベクテル・スカウト保護区で行われる。会場にはICOM Americaが提供する10台の無線機を用いた特設局の「NA1WJ」が設置され、ジャンボリー参加者たちはHFからV/UHFまでオールバンド、オールモードで運用が行える。FT8、衛星通信、D-STAR、Echolinkなどでもオンエアーが可能だ。「NA1WJ」のサポートは各国から集まった約35名が担当し、日本からは持木達夫氏(JH1FEL)、種村一郎氏(JG2GFX)、梶木盛也氏(JE3PPG)の3名が参加する。
※画像は過去のスカウトジャンボリーの様子
ジャンボリー(Jamboree)とは、もともとアメリカで一般的に使われる言葉で、底抜けに騒がしい、陽気なイベントなどを意味する。
今回、世界スカウト機構が主催する4年に一度のジャンボリーが、アメリカ、カナダ、メキシコの3連盟の共同により、アメリカ合衆国ウエストバージニア州のサミット・ベクテル・スカウト保護区で開催される。期間中は160以上の国や地域から4万5千人のスカウトが集まり、日本からも3千人が参加する予定だ。
会場には第24回 世界スカウトジャンボリーのアマチュア無線特設局「NA1WJ」が開局する。特設局のサポートチームは、アメリカ、オーストラリア、カナダ、チリ、フィンランド、ドイツ、リヒテンシュタイン、マレーシア、ネパール、オランダ、ノルウェー、台湾、イギリスのほか、日本から参加する3名を合わせた約35名の陣容だ。
メンバーの1人、梶木盛也氏(JE3PPG)からは「コンディションが悪く、HF(SSB)でも交信が難しいと思いますが、FT8やD-STARでチャンスがあると思います」とのコメントがhamlife.jpに届いた。
以下、梶木氏から届いた「NA1WJ」の概要は以下のとおり。
●世界スカウトジャンボリーでアマチュア無線局「NA1WJ」を運用
第24回 世界スカウトジャンボリーが、2019年7月24日からアメリカ合衆国ウエストバージニア州のサミット・ベクテル・スカウト保護区で開催されます。160以上の国から4万5千人のスカウトが集まるこのジャンボリーは、アウトドア活動だけでなく、他の国を知り、異なる文化を経験し、世界のスカウトと友好を深める機会です。
世界スカウトジャンボリーは、1920年にロンドンで第1回が開催されて以降、オーストラリア、デンマーク、フィリピンなど多くの国で4年ごとに開催されてきました。日本では、1971年に第13回大会が静岡県朝霧高原で、2015年に第23回大会が山口県きらら浜で開催されています。
●世界スカウトジャンボリーとアマチュア無線
アマチュア無線が世界スカウトジャンボリーで始めて運用されたのは、1947年のフランス大会で、ジャック・モンターニュがF9CQ/JAMのコールサインでオンエアーしています。
スカウト運動開始50年を記念して、1957年にイギリスで開催されたジャンボリーでは、初の特設局としてGB3SPが運用されました。
1967年のアメリカ大会では、アイダホ州のファラガット州立公園からK7WSJが、それ以降もスカウトは世界中からオンエアーしてきました。
1957年 GB3SP(イギリス)
1959年 DU1PAR(フィリピン)
1963年 SV1SV(ギリシャ)
1967年 K7WSJ(アメリカ)
1971年 8J1WJ(日本)
1975年 LC1J(ノルウェ-)
1979年 ※イラン大会は中止
1983年 VE6WSJ(カナダ)
1987年 AX2SWJ(オーストラリア)
1991年 6K17WJ(韓国)
1995年 PA6WSJ(オランダ)
1999年 XR3J(チリ)
1003年 E20AJ(タイ)
2007年 GB100J(イギリス)
2011年 SJ22S(スウェーデン)
2015年 8N23WSJ(日本)
●NA1WJ:デモ・ステーション局
今回のジャンボリーでは、NA1WJのコールサインが使われます。このスカウトジャンボリーは、北アメリカでカナダ・スカウト連盟、メキシコ・スカウト連盟、そしてボーイスカウトアメリカ連盟が共同で初めて開催する世界ジャンボリー(North America’s 1st World Jamboree)を意味します。
ジャンボリーの開会と同時に、10台の無線機を用いて、HF、VHF、UHF、衛星通信、D-STAR 、Echolinkの周波数とモードで運用を行い、できるだけ多くのスカウト(目標3000人)にアマチュア無線を紹介します。
●ARDF:フォックスハンティング
デモ・ステーションだけでなく、80mバンドと2mバンドでのARDF(フォックスハンティング)を行います。
もっとあります。これ以外にも、国際宇宙ステーションの宇宙飛行士と交信するARISSコンタクトや、低軌道衛星による交信も計画されています。
またWSPRを搭載した気球を放出する予定です。期間中は大西洋上空を、大会終了後は世界中を漂い、信号を送ってくることでしょう。気球放出と追跡の様子は、インターネットとSNSで情報発信します。ジャンボリーは2019年8月1日に閉会します。
●NA1WJの運用スタッフ
この大会は、世界から集まる9千人を超える成人リーダーが、ISTと呼ばれるボランティアとして、シューティングから食堂運営他まで、すべての大会運営を担います。
アマチュア無線のチームには、約35名のメンバーが割り当てられています。全員が熱心なボーイスカウトリーダーで、ほとんど全員が出身国の無線資格を持っています。アメリカ、オーストラリア、カナダ、チリ、フィンランド、ドイツ、リヒテンシュタイン、マレーシア、ネパール、オランダ、ノルウェ-、台湾、イギリスのほか、さらに多くの国から参加する予定です。日本からはJH1FEL、JG2GFX、JE3PPGの3名が参加します。
●NA1WJの設備
IC-7300、IC-9700、ID-5100A 、HEXビーム、八木、垂直系アンテナ、ダイポールを設置し、大規模な局になる予定です。しかし、太陽は味方してくれそうにありません。コンディションは厳しそうです。
NA1WJは1日18時間運用されますが、スタッフに余裕があれば夜間運用も計画しています。できるだけ多くのスカウトがNA1WJと交信できるよう、SSB、CW、デジタルモードなどの多くのモードで運用します。同時に会場では、できるだけ多くのスカウトにアマチュア無線を紹介する予定です。出力100Wで世界中との交信は困難ですが、ビームアンテナを用いて、できるだけ強い信号が送れるように努力します。
●みなさんの協力が必要です
皆さんにお願いです。無線機のスイッチを入れて、NA1WJと交信してください。交信はコールサインとシグナルレポート交換だけではありません。会場のマイクの前にいるスカウトと会話すること(※)が、アマチュア無線のデモンストレーションになります。
会場では、1台の無線機に4人のスカウトと1人のスタッフがついて交信します。交信相手として、スカウティングやジャンボリーについて質問したり、自分の体験を語ったりできる方が必要です。JOTAと同様です。
シャックにある無線機のスイッチを入れるだけでも結構ですが、夏のキャンプや無線章の講習会、ジャンボリーに併せた週末の集会に無線機を持ち出し、ジャンボリーに参加していないスカウトがNA1WJと交信できると素晴らしいでしょう。
※日本はアメリカと第三者通信に関する協定を結んでいないため、無線資格を持たないスカウトとの交信はできません。資格を持つスカウトやスタッフ(すべて有資格者)との交信は可能です。
●スケジュールと周波数
NA1WJは7月22日から8月2日まで運用しますが、第一声は7月18日ごろになる予定です。ジャンボリー期間中のスカウト向けプログラムは、アメリカ東部標準時の朝8時から夕方5時(日本時間で21時から翌日6時)までです。このあと、有志による一般向け交信が行われます。
●NA1WJのHF運用周波数
80メーター 3.940MHz
40メーター 7.190MHz
20メーター 14.290MHz
17メーター 18.140MHz
15メーター 21.360MHz
12メーター 24.960MHz
10メーター 28.390MHz
6メーター 50.160MHz
D-STAR (レピーター「REF033A」)、DMR(TG 907/9071/9072他)、Echolink(ノード名 *JAMBO*)でも運用します。
●NA1WJのホームページ
もっと知りたい方は、ホームページ <na1wj.net> にアクセスしてください。フェイスブックやツイッターなどのSNS、メーリングリストでは、リアルタイムの情報発信を行います。これらのリンクは、すべてホームページにあります。
次の世代にアマチュア無線を紹介するため、7月22日から8月1日までカレンダーに印を付け、スカウト達と交信してください。スカウトにアマチュア無線を紹介するだけでなく、貴重なQSLカードも手に入れることができます。
備考1
世界スカウトジャンボリーでのNA1WJ運用は、次の協力を得ています。
Icom America:無線機およびレピーター、 MFJ:ローテーター、アンテナ、ヘッドフォン、DX Engineering:アンテナ、ケーブル、分配器、フィルタ、JK Antennas:八木アンテナ、Aluma Tower、 GeoChron、K2BSA、アマチュア無線協会
備考2
毎年10月の第三週末に開催されるジャンボリー・オン・ジ・エア(JOTA)は、1957年にイギリスで開催された世界スカウトジャンボリーをきっかけに始まったスカウトイベントです。レス・ミッチェル(G3BHK、故人)は、アマチュア無線を用いれば、世界中のスカウトが毎年交流できると考えました。それぞれの国の文化や技術を互いに紹介する手段としてアマチュア無線を活用すれば、スカウト間の交流を促進できるため、この取り組みを始めました。JOTAとJOTI(ジャンボリー・オン・ジ・インターネット)には、毎年数百万人が参加しています。
(文責) このプレスリリースは、NA1WJのリリース文をJE3PPGが翻訳し、一部加筆しました。
↓前回、2015年に日本国内で開催された「第23回 世界スカウトジャンボリー」の様子。この記事をチェック!
<写真リポート>海外から訪れたハムに開放! 24時間体制、第23回世界スカウトジャンボリー記念局(臨時局)「8N23WSJ」の運用状況
●関連リンク:
・World Jamboree NA1WJ
・World Scout Jamboree Gearing Up for Significant Amateur Radio Presence(ARRL NEWS)
・24th World Scout Jamboree
・世界スカウトジャンボリー(ウィキペディア)
・Portal:スカウト(ウィキペディア)
・Echolink(ウィキペディア)
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