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<SWRを実測してビックリ、分解してさらにビックリ!!>第一電波工業のハンディ用アンテナ「SRH805S」の模造品(ニセ物)に注意

「ダイヤモンドアンテナ」のブランドで知られる第一電波工業の無線用アンテナは、日本はもちろんのこと海外でも多くのアマチュア無線家に愛用されている。そのためか、同社製品を装った粗悪な模造品(ニセ物)のアンテナが一部の海外市場で出回っている。hamlife.jpでは今回、ハンディ機用の144/430/1200MHz帯ミニアンテナとして定評がある「SRH805S」を模造したと思われる商品を独自に入手(某フリーマーケットサイトから送料込み600円で購入)。同社の協力を得てそのSWR測定などを行った。

 

 

第一電波工業の人気ハンディ用アンテナ「SRH805S」のニセ物(模造品)。はたして性能は?

 

 

 第一電波工業のハンディ用アンテナ「SRH805S」(標準価格2,800円+税)は、全長4.5cmのミニサイズながら、144/430/1200MHz帯の3バンドの送受信とVHF帯エアーバンド/150/300/450/800/900MHz帯の受信に対応している。アンテナ端子はSMA-Pを採用。最近のアマチュア無線用ハンディ機の大部分で使用できることから人気を集めている。

 

SRH805Sの“本物”。アンテナ端子はSMA-Pでゴム製のスペーサーも付属してくる

 

 実は最近、このアンテナの模造品(ニセ物)が一部の海外市場に出回っている。アンテナ本体はもちろん、パッケージにも「DIAMOND ANTENNA」のロゴが入り、一見すると本物と見間違ってしまう。しかし細部をよく見るとアンテナやパッケージの印刷が粗く、文字欠けや脱字もある。そしてなにより本物と異なる点は、アンテナ端子がなぜか「SMA-J」になっているのだ。

 

 

一部の海外市場で出回っているSRH805Sの模造品(ニセ物)。パッケージの印刷には文字欠けや脱字があり、ロゴマークも怪しげ。アンテナ本体に印字されている文字は滲みがある。なによりもアンテナ端子が「SMA-J」になっているのが本物との識別ポイントだ

 

 業務無線用のハンディ機にはアンテナ端子がSMA-P(いわゆる「逆SMA」)になっている機種が多数ある(“もし落下させた場合に、無線機本体のアンテナ端子が壊れないようにする工夫”と言われている)が、現行商品のアマチュア無線機で逆SMA端子を使用しているのは八重洲無線のFT-65ぐらいだ。模造品(ニセ物)のSRH805SはFT-65の使用を意識したのだろうか…!?

 

「逆SMA型」のアンテナ端子を採用しているハンディ機の例、八重洲無線のFT-65。外部アンテナを接続する場合は注意が必要になる(写真のアンテナはFT-65の付属品)

 

 hamlife.jpでは第一電波工業に協力を依頼し、“本物”と“ニセ物”両者のSWR特性を同一条件のもとで計測していただいた。なお第一電波工業がハンディ機用のアンテナをどのように測定・調整しているかは2020年3月20日に掲載した下記記事を読んでいただきたい。「購入したハンディ用/モービル用アンテナのSWRを測ってみたら良くなかった」と思っている人には大変参考になるはずだ。

 

 

<第一電波工業がデモンストレーション>メーカーが行うハンディ機用/モービル用アンテナの測定・調整法とは?
https://www.hamlife.jp/2020/03/20/diamondant-ant-sokutei-special/

 

 

第一電波工業でSRH805Sの模造品(ニセ物)アンテナを測定。同社には逆SMA端子のダミー筐体も用意されていた

 

 

★ネットワークアナライザでSWR特性を実測!

 

 

 第一電波工業の協力によりネットワークアナライザで正しく測定した、両者のSWR特性は次のとおり。

 

<「本物」のSRH805SのSWR特性>
・145.00MHz:1.51
・435.00MHz:1.43
・1290.00MHz:1.14

 

 全長4.5cmという超ミニサイズながら“本物”のSRH805Sは144MHz帯、430MHz帯、1200MHz帯の3バンドいずれも良好なSWR値を得ることができた。ハンディ機に取り付けて安心して使うことができるだろう。

 

 

<「模造品(ニセ物)」のSWR特性>
・145.00MHz:10.87
・435.00MHz:2.16
・1295.00MHz:1.36

 

 一方の模造品(ニセ物)は、144MHz帯のSWRが「10」を超え、ほとんど同調していないことが判明。また430MHz帯もSWRが2以上となっている。かろうじて実用になるのは1200MHz帯で1.4以下に収まった。測定を担当した第一電波工業の技術スタッフは「もしこのアンテナで144MHz帯の送信を行うと、ハンディ機の送信部が故障する可能性が高いです」と警告していた。

 

ネットワークアナライザで模造品(ニセ物)のSRH805Sを測定。145.00MHzにおけるインピーダンスは246.45Ω、SWRは10.871という数値が出た

 

 

★アンテナ内部を分解してみると…

 

 SWR測定を終えたアンテナをhamlife.jpが独自に分解し、内部を比較してみた。

 

 まず“ニセ物”はヘリカル状のアンテナエレメントがコネクタの芯線にはんだ付けされているだけ。コネクタ部分を手に持って軽く振ってみると、その振動でバネのように震えてしまう。接着剤も少なく機械的にも不安定だ。

 

模造品(ニセ物)のSRH805Sの内部

 

 これに対し、“本物”は絶縁物でできた円筒(テフロン製?)に、アンテナエレメントがヘリカル状に丁寧に巻かれ(途中でヘリカルピッチが変化している)、マッチング用のコンデンサが入っている。コネクタ部分を手に持って振ってみても振動でエレメント部分が震えることはなく安定していた(下記写真参照)。

 

 内部を比較してみると“本物”はミニサイズにもかかわらず、丁寧な作りであるのに対し、“ニセ物”は簡素な作りで、その結果としてSWR実測値が極めて悪くなったことが推測できる。

 

左が模造品(ニセ物)、右がhamlife.jpが正規販売店で購入した本物のSRH805S。一見しただけで“作り”の違いがわかる

少し高いアングルから両者を比較

 

 第一電波工業は「模造品撲滅のため、関係機関と連携して対応を行っていますが、お客様の大切な無線機の故障を防ぐためにも、ダイヤモンドアンテナは信頼できる無線ショップでお買い求めください。ホームページに当社製品を取り扱う販売店一覧を掲載しています」と案内している。

 

 

 

 

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●関連リンク:
・第一電波工業
・ハンディアンテナSRHシリーズ(第一電波工業)
・販売店一覧(第一電波工業)

 

 

 

 

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