総務省は2021年3月26日、新型コロナウイルス感染症による社会経済への影響等により、新スプリアス規格への移行に遅れが生じることが想定されるとして、旧スプリアス規格で免許を受けている無線設備の使用期限(経過措置)を、現行の「令和4年11月30日まで」から「当分の間」と改め、新スプリアス規格に移行していない無線局は「令和4年12月1日以降、他の無線局の運用に妨害を与えない場合に限り使用することができる」との条件を設ける2点を骨子とする無線設備規則の一部改正と関連告示の改正案を作成。3月27日(土)から4月26日(月)まで意見(パブリックコメント)募集を行うことを明らかにした。
無線機器から発射される不要な電波を低減させるため、1997年から2003年にかけて開催された世界無線通信会議(WRC)でスプリアス発射の強度の許容値が改正され、日本でも2005(平成17)年12月1日に無線設備規則を改正し「新スプリアス規格」が決定した。経過措置として「2007(平成19)年11月30日以前に旧スプリアス規格で製造された無線機で免許申請ができるのは2017(平成29)年11月30日まで」「すでに旧スプリアス規格の無線設備で免許を受けている場合、その使用は2022(令和4)年11月30日まで」と規定されている。
そのためアマチュア無線界では、旧スプリアス規格で作られた昔のアマチュア無線機が、新スプリアス規格にも適合していることを確認・証明する手段として、JARD(一般財団法人 日本アマチュア無線振興協会)による「スプリアス確認保証」も実施されている。
このほど総務省は「新型コロナウイルス感染症による社会経済への影響等により、新スプリアス規格への移行に遅れが生じることが想定される」として、新スプリアス規格への移行期限の延長(「令和4年11月30日まで」を「当分の間」と改め、新スプリアス規格に移行していない無線局は、令和4年12月1日以降、他の無線局の運用に妨害を与えない場合に限り使用することができる)を行う方針を固め、3月27日から意見募集を行うことを明らかにした。
以下、総務省の発表を抜粋で紹介する。
無線設備規則の一部を改正する省令の一部改正等に係る意見募集 -新スプリアス規格への移行期限の延長-
総務省は、無線設備規則の一部を改正する省令の一部改正及び関連する告示の改正案を作成しました。つきましては、改正案について、令和3年3月27日(土)から同年4月26日(月)までの間、意見を募集します。
●1. 背景及び概要
不必要な電波(不要電波)をできる限り低減させることによって、電波利用環境の維持、向上及び電波利用の推進を図るため、2003年(平成15年)の世界無線通信会議(WRC-03)において、無線設備のスプリアス発射の強度の許容値に関する無線通信規則(RR)の改正が行われました。
国内においては、この改正を踏まえ、無線設備のスプリアス発射の強度の許容値に係る技術基準等の関係省令及び関係告示を改正し、平成17年12月1日から新たな許容値(以下、新スプリアス規格という)を適用し、経過措置として、令和4年11月30日まで改正前の許容値の適用が可能としています。
これまでに、国内の約276万局(携帯電話等包括免許を除く)のうち、約210万局(約8割)は新スプリアス規格への移行が行われているところですが、新型コロナウイルス感染症による社会経済への影響等により、新スプリアス規格への移行に遅れが生じることが想定されます。
引き続き、新スプリアス規格への移行を継続し、各免許人等へ働きかけを行う一方、このような社会経済情勢に鑑み令和4年11月30日とする経過措置を当分の間に改めることとし、別紙1PDF及び別紙2PDFのとおり、関係省令及び告示の改正案を作成しましたので、意見募集します。
【改正の概要】
・経過措置の期限を「令和4年11月30日」から「当分の間」とする
・新スプリアス規格に移行していない無線局の使用は、令和4年12月1日以降、他の無線局の運用に妨害を与えない場合に限り、使用することができる旨の条件を設ける。
●2. 意見公募要領
(1) 意見募集対象(別添1及び別紙2)
<省令案>
・無線設備規則の一部を改正する省令(平成17年総務省令第119号)の一部を改正する省令案(別添1PDF:新旧対照表)
<告示案>
・登録検査等事業者等規則第二十条及び別表第七号第三の三(2)の規定に基づく登録検査等事業者等が行う点検の実施方法等及び無線設備の総合試験の具体的な確認の方法を定める件(平成23年総務省告示第279号)の一部を改正する告示案(別添2PDF:新旧対照表)
(2) 意見提出期間
令和3年3月27日(土)から同年4月26日(月)まで(必着)
※郵送の場合も同日必着とさせていただきます。詳細については意見公募要領を御覧ください。
●3. 今後の予定
当該省令案等について寄せられた意見及び電波監理審議会への諮問に対する同審議会の答申を踏まえ、関係省令等の改正を行う予定です。
なおJARDが行っているアマチュア局向けの「スプリアス確認保証」は、2020年夏の時点で “スプリアス確認保証を受けたのは対象者の1割にも満たない状況” と公表されている。今回の改正が実施されると、当分の間は旧スプリアス規格で免許を受けている無線機は使用を続けられるようになるため、スプリアス確認保証の進捗にも影響が出ることが考えられる。
総務省の意見募集の詳細は下記関連リンク参照のこと。
●関連リンク:
・無線設備規則の一部を改正する省令の一部改正等に係る意見募集 -新スプリアス規格への移行期限の延長-(総務省 報道資料)
・別添1 無線設備規則の一部を改正する省令(平成17年総務省令第119号)の一部を改正する省令案 PDF(総務省 報道資料)
・別添2 登録検査等事業者等規則第二十条及び別表第七号第三の三(2)の規定に基づく登録検査等事業者等が行う点検の実施方法等及び無線設備の総合試験の具体的な確認の方法を定める件(平成23年総務省告示第279号)の一部を改正する告示案 PDF(総務省 報道資料)
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