国際宇宙ステーション(ISS)のコロンバスモジュールに搭載されているアマチュア無線局(コールサイン:NA1SS)は、2021年1月27日の船外活動で新しいアンテナケーブルに交換して以来、異常が生じ通信不能の状態が続いていたが、3月13日の12時UTCから2名の宇宙飛行士が再び船外活動を行い、問題が発生したと思われるケーブルを元の構成に戻した結果、再稼働に成功した。以下、3月15日付のARRL NEWSからの抜粋・抄訳で紹介する。
コロンバスモジュールからのNA1SSの運用が再開した。1月27日の船外活動で11年前に設置されたARISSの同軸ケーブルを、欧州宇宙機関(ESA)とエアバスによって構築された別のラインに置き換えてからNA1SSに問題が発生していた。具体的な原因はまだ特定されていないが、3月13日の船外活動でアンテナケーブルを元の構成に戻したことが解決策となった。
ケーブルを1月27日以前の構成に戻す計画は、3月5日の船外活動の「緊急時の作業」として予定されていたが、このときは時間を使い果たしたため、作業はマイク・ホプキンス宇宙飛行士(KF5LJG)とビクター・グローバー宇宙飛行士(KI5BKC)の“やることリスト”に追加され1週間後に完了した。
「ARISSの国際チームを代表して、ケーブル異常の調査やトラブルシューティング、最終的な修理を通じてARISSの作業を支援してくれたすべての人に心から感謝します」と、ARISSの国際委員長であるフランク・バウアー氏(KA3HDO)は述べている。バウアー氏はNASA、ESA、エアバス、そしてセルゲイ・サムブロフ氏(RV3DR)が率いるARISSロシアを称賛した。コロンバスモジュールのNA1SSが使用できない期間、ARISSスクールコンタクトはISSのロシアモジュールにあるアマチュア無線局(RS0ISS)を利用して、引き続き実施することができた。
ケーブル修復後の3月14日、ISSが頭上を通過したときに、カリフォルニア、ユタ、アイダホの各州でNA1SSから発射される145.825MHzのAPRS信号が受信でき、ミッションの成功を確認できた。ARISSチームメンバーのクリスティ・ハンター氏(KB6LTY)は、パス中にNA1SSのデジピートにも成功したという。さらに南米と中東の局からの確認報告によりARISSは無線システムの再開を宣言した。
3月13日の船外活動により、ESAによる民間向けの船外実験プラットフォーム「バルトロメオ」も運用可能になった。「昨日はすべての人にとって素晴らしい日だった!」とバウアー氏は喜んだ。(ARRLニュース3月15日 ※許可を受けて抄訳/(C)ARRL)
こちらの記事も参考に↓(2021年3月4日掲載)
<アンテナケーブル配線が原因か?>国際宇宙ステーション(ISS)のアマチュア無線機、異常続く
●関連リンク:ARISS Ham Station in Columbus Module Is Once Again Operational(ARRL NEWS 3月15日付)
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