hamlife.jp(ハムライフ・ドット・ジェーピー)

注目キーワード:

hamlife.jp > ニュース > 無線グッズ > <AC110V/DC12V/QC3.0/Type-C PDなどの出力端子を装備>ポータブル電源「Anypro OD500N」レビュー


<AC110V/DC12V/QC3.0/Type-C PDなどの出力端子を装備>ポータブル電源「Anypro OD500N」レビュー

2021年4月、見知らぬ会社からhamlife.jpに「取り扱っている製品のレビュー記事を書いて欲しい」という依頼が届いた。製品はACコンセントのほか、DC12V、USB、USB QC3.0、Type-C PDといった出力端子を装備している小型のポータブル電源だという。はたしてアマチュア無線の運用に使えるものなのか、ゴールデンウィーク中に試用したレビューを掲載する。

 

 

中国・深センのAnypro(エニープロ)が販売するポータブル電源「Anypro OD500N」を試用してみた

 

 

 レビュー依頼があったのは中国・深センのAnypro(エニープロ)が販売するポータブル電源「Anypro OD500N」という製品だ(機種名で検索してみると、さまざまなブログにレビュー記事が掲載されているのがわかる)。製造元は同じく中国・深センのBPI(Shenzhen Better Power Battery)社だという。通常、日本のAmazonではAnypro JPによって33,600円(税込み)で販売されており、以下のような特徴があるという。

 

<Anypro OD500Nの特徴(取扱説明書などから抜粋、編集)>

 

●120000mAh/444Wh(3.7V)のリチウムイオン充電池を搭載
●豊富な出力端子
 AC出力:110V 60Hz(純正弦波) ×2口
 USB出力:5V/2.1A ×2口
 DC出力:12V/8A MAX ×4口(シガーソケット変換ケーブル 1個付属)
 Type-C PD 45W対応:5V/3A、9V/3A、12V/2.5A、15V/2A、20V/2.2A ×1口
 USB QC 3.0出力:5V/3A、9V/2A、12V/1.5A ×1口
●定格出力:500W(瞬間最大750W)
●豊富な充電方式
 付属ACアダプタ(AC100~240V → DC19.0V 3.0A)約8時間
 DC入力端子
 付属の充電用シガーソケットで車内充電可能 約15時間
 ソーラー充電用 アンダーソン端子(17~32V 3A MAX)約8時間
●LEDライト(2W)を2基装備。強/弱/モールスSOS/点滅の切替可
●冷却ファン内蔵
●BMS(バッテリー管理システム)によって電圧、温度を適切に管理
●オプションのソーラー充電器を接続可能
●サイズ:290W×200H×120Dmm、本体重量 約4.5kg
●PSE、FCC、ROHS、UN38.3など必要な認証を全部取得
●日本語取扱説明書、保証カード付属

 

 hamlife.jpスタッフ宅に貸出品として届いたAnypro OD500Nは、昔の小型ラジカセを思わせるデザインで意外にコンパクトだ(本体サイズは290W×200H×120Dmm)。本体重量は約4.5kg、八重洲無線のFT-991Aシリーズとほぼ同じ重さだが、取っ手にサスペンションが組み込まれているので、手に取って持ち運ぶ場合にも過剰な重さは感じなかった。

 

Anypro OD500Nの外観。サイズは290W×200H×120Dmm、本体重量は約4.5kg。昔のラジカセのようなデザインだ

 

 フロントパネルにはType-C PD、USB QC 3.0、USB、DC12Vの出力端子が並び、それぞれにスイッチが装備されている。中央には小型ディスプレイを装備し、バッテリーの残量や充電状態、現在ONになっている出力端子などがグラフィックで表示される。

 

フロントパネルにType-C PD、USB QC 3.0、USB、DC12Vの出力端子が並び、それぞれにスイッチを装備。動作状態がわかるディスプレイもある

左側面下部には充電器の接続端子とソーラー充電用のアンダーソン端子がある。右側面はAC110Vのコンセントが2基と2つのLEDライトを装備。ライトはスイッチの切り替えで「SOS(・・・ --- ・・・ )」の点滅も可能

背面パネルの規格表示

Anypro OD500Nの付属品。上は充電用ACアダプター(日本のPSEマークも取得)、左は取扱説明書、中央がDC12V出力用のシガーソケット変換ケーブル、下は自動車からの本体充電用ケーブル

 

 AC出力端子(コンセント)は本体の右側面に2つ装備。到着時点では内蔵バッテリーが未充電だったため、まずは付属のACアダプターで充電を行った(初回の満充電には約11時間かかった)。その後にAC出力端子の電圧を測定すると「111.6V」。日本のAC100Vよりも高いのは米国への輸出を想定してだろうか? 電源周波数は60Hzで安定していた。

 

AC出力端子(コンセント)の電圧は111.6Vだった

 

 ちなみにAmazonの同製品販売ページには「100-110V/50Hz・60Hz変換可能」という記載があるが、本体に電圧や電源周波数の切り替えスイッチは見当たらない。Anypro JPのカスタマーセンターに問いあわせたところ、「AC出力は電器によって電圧と周波数が変更できます。ご安心利用ください」という回答があった。しかし試用期間中に手元にある電気製品を接続してみた限り、出力が自動的に100Vや50Hzに変更されるケースは確認できなかった。

 

 またAmazonの同製品販売ページには「同時充放電機能 パススルーに対応」というタイトルで、「本製品はパススルー(同時充放電)に対応して、本体の充電を待たなくてもスマホなどの端末が充電できると大変便利です」という説明が書かれている。ところが取扱説明書には「電源使用中に充電することができません」という、矛盾する注意事項が記載されている。この点について尋ねると「充電しながら使用できますけど、バッテリーの寿命を縮める可能です。だから、お勧めません」という回答が来た。

 

Amazonの販売サイトには「同時充放電機能 パススルーに対応」とあるのだが…

 

 

 気を取り直して、まずは24時間265日稼働しているWIRES-Xのノード局(FTM-100D、10W出力に低減)の電源として使ってみた。安定化電源(アルインコ DM-330MV)と接続してスイッチを入れると、Anypro OD500Nの内蔵クーリングファンがしばらく回っていたが、数分後に自動的に停止した(その後は長時間の送信時など高負荷になると自動で回転)。出力されるAC電圧は変わらず「111.6V」だったが、DM-330MVでは問題なくDC13.8Vに変換できた。

 

 試用している間にノード局にアクセスしてきた利用者が3、4局しかいなかったこともあり、Anypro OD500Nは約22時間の連続使用ができた。バッテリーがこれぐらい持続するなら、災害などでしばらく停電した場合にも心強いだろう。

 

 続いてゴールデンウィークのある日、Anypro OD500Nと2台の無線機(IC-705、FT-991M)などを持って、近所にある眺望の良い空き地で移動運用を行ってみた。

 

三密を避けて近所の空き地で移動運用。FT-991MとIC-705の電源として使ってみることにした

 

 FT-991MはAnypro OD500NのAC出力端子にDM-330MVを接続して50W運用。IC-705には岐阜県のCQオームが発売している「OHM-CP705」(シガーソケットからIC-705に電源供給ができるケーブル)と「OHM-USB705/OC」(モバイルバッテリーのType-C PD端子からIC-705に電源供給ができるケーブル)の両方を交互に試しながら直接DC電源を供給し、10Wで運用を行った。

 

岐阜県のCQオームが発売する、IC-705専用のシガー電源ケーブル「OHM-CP705」(希望小売価格:3,594円)とUSB PD電源ケーブルの「OHM-USB705/OC」(希望小売価格:4,080円)。どちらもAnypro OD500Nで問題なく使用できた。IC-705ユーザーにはありがたい“お助けケーブル”だ

「OHM-USB705/OC」をTYPE-C PD端子に接続したところ

 

 マルチバンドのホイップとダイポールで2時間半ほどHF~430MHz帯で移動運用を楽しんだが、その間も各出力端子から問題なく電源が供給された。電源由来のノイズを感じることもなく出力電圧もほぼ安定。運用終了時点で40%以上の残容量があった。

 

 一方、少々不安があったのは付属の「シガーソケット変換ケーブル」だ。Anypro OD500Nの本体にはシガーソケットタイプのDC12V出力端子が装備されていない。シガープラグを使った車載機器に電源を供給する場合は、本体のDC12V端子(筒型)に「シガーソケット変換ケーブル」を接続することになる。ところがこの変換ケーブルのコードが意外に細く、はたして最大消費電流(12V 8A)に長時間耐えられるのか心配だった。幸いIC-705は13.8V時の消費電流が3A以下と少ないため、この変換ケーブルと「OHM-CP705」を接続してもトラブルなく使うことができた。

 

付属してくるDC12V出力用の「シガーソケット変換ケーブル」がやや細く、最大8A流せるか心配…。IC-705の10W運用であればまったく問題ない

 

 気になる点はあるが、サイズや重量、出力端子の豊富さを考えると、無線家のシャックに1台用意しておいても良さそうなポータブル電源だ。長時間の本格的な移動運用には不向きとしても、発電機が使えないタイミング(セッティング中や燃料補給時、撤収時間が近づいて発電機を停止した後など)で運用を継続するときに役立つ上、移動運用に持参するノートPCやスマートフォンなどの周辺機器の使用や充電にも使用できる。満充電には時間が掛かるものの、自動車の車内からシガープラグで充電できる点も便利だ。

 

豊富な端子を装備するAnypro OD500N。短時間の移動運用や周辺機器の充電などには便利に使えそうだ

 

 特徴の1つとされる「パススルー」がバッテリーの寿命に影響することなく使えれば、シャックでACコンセントと無線機の間に常時Anypro OD500Nを接続しておき、UPS(無停電電源)のように利用できて便利なのだが、この点は非常に残念だ。ただカスタマーセンターへ日本語で問いあわせたら、すぐ正直な回答(hi)が届いた点は評価しておきたい。なお本レビュー記事掲載後、借用したAnypro OD500N一式は返却した。

 

 

 Anypro OD500Nの購入は下記のAmazonリンクから可能だ(出荷は日本国内のAmazon倉庫から行われる模様)。同製品は2021年5月13日現在33,600円(税込み)で販売中だ。

 

 

 

 

 同機種の販売および製品に関する問い合わせは、Amazonの販売サイトから「Anypro JP」へ。

 

 

 

●関連リンク:
・500W Portable Power Station(製造元 Better Power Battery社のサイト)
・Anypro(販売元のサイト。OD500Nの掲載なし)
・IC-705専用 シガー電源ケーブル「OHM-CP705」(CQオーム)
・IC-705専用 USB PD電源ケーブル「OHM-USB705/OC」(CQオーム)

 

 

 

●いったん広告です:

レビュー評価高い Amazonベーシック アルカリ乾電池 単3形20個パック

充電式ニッケル水素電池 単3形8個セット (最小容量1900mAh、約1000回使用可能)