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<JARDは反対意見を提出>総務省が「新スプリアス規格への移行期限の延長」の意見募集結果と電波監理審議会からの答申を公表

総務省は新型コロナウイルス感染症による社会経済への影響等から、令和4(2022)年11月30日までとしていた新スプリアス規格への移行期限を「当分の間」延長する方針を固め、無線設備規則の一部改正と関連告示の改正案を作成、同案に対する意見(パブリックコメント)を3月27日から4月26日まで募集していたが、その結果が2021年6月9日に公表された。募集期間中に提出された意見は175件(法人・団体42件、個人133件)。同省はこの結果を踏まえた上で同日開催された電波監理審議会に諮問し「原案を適当とする」答申が得られたことから、近く関連省令の改正を行う予定だ。

 

 

6月9日に意見募集結果が公開された(総務省の報道発表より)

 

 

 総務省は今年3月、新型コロナウイルス感染症による社会経済への影響等により、新スプリアス規格への移行に遅れが生じることが想定されるとして、旧スプリアス規格で免許を受けている無線設備の使用期限(経過措置)を、現行の「令和4年11月30日まで」から「当分の間」と改め、新スプリアス規格に移行していない無線局は「令和4年12月1日以降、他の無線局の運用に妨害を与えない場合に限り使用することができる」との条件を設ける2点を骨子とする無線設備規則の一部改正と関連告示の改正案を作成し、意見(パブリックコメント)の募集募集を行った。

 

 6月9日に公表された意見募集結果によると、期間中に提出された意見は175件(法人・団体42件、個人133件)。アマチュア無線関係の団体ではJARL(一般社団法人 日本アマチュア無線連盟)、JARD(一般財団法人 日本アマチュア無線振興協会)のほか、一般社団法人 日本ローバンド拡大促進協会が意見を提出した。

 

期間中に175件(法人・団体42件、個人133件)の意見が提出された。漁業関係の団体が多いが、放送局や無線機器販売店の意見提出も複数ある

JARLの提出意見

一般社団法人 日本ローバンド拡大促進協会の提出意見

 

 JARLと日本ローバンド拡大促進協会が賛意を示したのに対し、JARDは「改正案で示されている、全ての無線局を対象としかつ期間を限定しないとする新スプリアス規格への移行期限の延長には反対します」とし、次のように述べている。

 

「特に干渉上の影響が大きい等のために個別に免許されている免許局については、個別監理されていることや規格の不統一による将来の円滑な電波利用への影響も大きいものと考えられます。
 このため、仮に免許不要局を含めコロナ禍等により移行が困難な事例があれば、移行期限は原則当初のままとし、無線システムごと免許人ごと等に個別に移行期限の延長を認める制度に修正するべきです。
 新スプリアス規格への移行期間は既に15年を経過しており、世界基準の変更これを受けた総務省の移行方針に従い、これまでアマチュア局を含む多くの免許人等において、金銭面を含め大きな負担を行い移行に積極的に対応してきていることを踏まえた制度とするべきと考えます。
 併せて、総務省において、移行促進のための周知広報や機器の提供体制の充実等円滑な移行のための支援策を強化いただくよう要望します」。

 

 これに対し総務省は「今後、新型コロナウィルス感染症の収束や社会経済状況等の回復を踏まえつつ、移行期限について総合的に検討するとともに、それまでの間については、早期に新スプリアス規格へ移行が図られるよう各免許人の状況に応じて対応していくこととしております」と考え方を表明している点が注目される。

 

JARDは「全ての無線局を対象とし、かつ期間を限定しないとする新スプリアス規格への移行期限の延長には反対」と表明

 

 個人から提出された意見には、賛成意見がある一方で反対意見も多い。反対とする意見には、延長する期間を示さず「当分の間」としていることへの疑問、米国をはじめとする諸外国ではアマチュア局を新スプリアス規定の対象外としている事例があることを挙げて“日本もそうすべき”とするもの、JARDのスプリアス確認保証を受けたことが無駄になるという不公平感の指摘、送信出力10mWの特定小電力無線にも新スプリアス規格を適用することへの疑問、旧スプリアス規格で作られた27MHz帯市民ラジオへの対応を求めるものなども見られた(提出された個別意見は下記関連リンクのPDF資料参照)。

 

 なお総務省は、この意見結果と同時に参考資料を公表。移行対象となる国内無線局(275.3万局)のうち、まだ59.8万局(21.7%)が新スプリアス規格への移行を済ませていないことを明らかにした。このうち旧スプリアス規格の無線局が最も多いのは陸上移動業務の34.9万局(58.4%)で、続く第2位がアマチュア局の18.8万局(31.4%)となっている。

 

意見募集結果とともに総務省が発表した資料より

上記ページを拡大。移行対象となる国内無線局(275.3万局)のうち、まだ59.8万局(21.7%)が新スプリアス規格への移行を済ませていない。最も多いのは陸上移動業務の34.9万局(58.4%)で、続く第2位がアマチュア局で18.8万局(31.4%)を占める

意見募集結果とともに総務省が発表した資料より。本来これらの資料は意見募集を実施する際に公表すべきではないだろうか?

意見募集結果とともに総務省が発表した資料より、今回の省令改正の考え方

 

 総務省は、意見結果を踏まえた上で6月9日に開催された電波監理審議会に諮問を行った結果、「原案を適当とする」との答申が得られたことから、近く関連省令の改正を行うとしている。

 

 総務省の意見募集結果と公表された各種資料は、下記関連リンク参照のこと。

 

 

こちらの記事↓も参考に(2021年3月26日掲載)
<3月27日から意見募集を実施>総務省、コロナ禍のため「新スプリアス規格」への移行期限を“当分の間”延長の方針

 

 

 

●関連リンク:
・無線設備規則の一部を改正する省令の一部改正等に係る意見募集の結果及び電波監理審議会からの答申(総務省 報道資料)
・意見募集に対して提出されたご意見及び総務省の考え方 PDF(総務省)
・意見募集結果とともに公開された参考資料 PDF(総務省)
・無線設備規則の一部を改正する省令の一部改正等に係る意見募集 -新スプリアス規格への移行期限の延長-(総務省 報道資料 3月26日)

 

 

 

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